2022年3月1日火曜日

ヘレスのフェスティバル11日目マヌエル・リニャン『ピエ・デ・イエロ』

 タイトルのピエ・デ・イエロ、鉄の足は、マヌエルの闘牛士だった父の通り名で彼に捧げているとのこと。プログラムに、「決闘、伝統との激しい討論、自分の不一致への回答であり、自分の未来への質問。バイオレンスと反逆にもかかわらず理解の抱擁を、出会う腕の暖かさを求める」とあるように、前作『ビバ!』同様、彼自身の性的指向をテーマにした作品といえるだろう。

ドラムとエレキギターによる強烈な音楽の中、上半身裸で、腰高のパンタロンを身につけ、闘牛場の柵にある闘牛士が逃げ込む退避柵ブルラデーラを模した大きな壁にぶつかり、その壁も使ってサパテアードをして踊るマヌエル。ちょっとイスラエル・ガルバンの『アレーナ』を思い出させます。柵の上からコルドベスをかぶった歌い手が歌いかけるオープニングから、パンタロンの上からスカートをまとってのシギリージャ、マラゲーニャ、スパンコールと黒のリバーシブルのジャケットでのカディスのブレリア、黒のブリーフ一丁でアキラ100%?なガロティン、アマルグーラからのファルーカはボンテージで。

©Javier Fergo Festival de Jerez

いやあ、前回のテーマが女装なら今回はハードゲイ?なのかと思わされました。

おそらくこれは彼の自分探しの旅の一環なのでしょう。壁にぶつかり抵抗し、ズボンの上にスカート履いて擬態し、スパンコールと黒のリバーシブルジャケットのように二つの間をいったりきたり、吹っ切って縛られて踊る、ってことなのでしょうか。だとしたら割とわかりやすい。

回転はキレキレだし、踊りはいつもながらにすごいのだろうとは思うのだけど、入ってこない。衣装をここまで徹底する必要があったのでしょうか? 残念ながら私の趣味ではないのです。美的感覚の違い?それとも保守的な観客を挑発しようとしたのでしょうか。いや、趣味は人それぞれだし、表現の自由といえばそれまで、ですが。

今年のヘレス、アナやロシオら女性たちは遥か彼方を見据え、ぺぺやアルフォンソ、ラファなど男性たちは過去を見つめてから、前進する、という感じが全体的なイメージとして感じているのですが、彼もまた前進するために過去を整理しているのかもしれませんね。

エレキギターとフラメンコギター(フアン・カンパージョ)のセッションやバイオリン(ビクトル・グアディアナ)の音楽が救いでした。

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