いやいや、良きコンサートでありました。
セビージャ、ギター祭、クラシックとフラメンコのジョイントコンサート第3弾。
日本からはるばるやってきた菅沼聖隆が登場。日本のフラメンコ界になくてはならない存在と思うほど、活躍しているのだけれど、セビージャ高等音楽院でクラシックギターを学び主席で卒業。2017年にはこのフェスティバルのコンクールで優勝していると言う実力者。
その彼のセビージャ凱旋。
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| ©︎ Festival de la Guitarra de Sevilla |
プログラムはフェスティバルのオフィシャルページによればマヌエル・マリア・ポンセ『エストレジータ』、ラウロ『ベネズエラ組曲』、予定されていた自作の曲に代えてアルゼンチンのキケ・シネシの『シエロ・アビエルト』、モンターニャ『コロンビア組曲』そして自作の『チャカレラ・ロカ』。一曲目もメキシコ人作曲家の曲であり、全編、中南米テイスト。
リズミカルでメロディアスな曲が多く、私のようなクラシックギター素人にも聴きやすい、親しみやすいプログラムでした。
クラシックギターというと、一つ一つの音にこだわり、思い入れたっぷりに演奏する、というイメージがあったけど、それって偏見だったんだな、と。リズムも奏者の自由な采配でテンポも変わるとか。
フラメンコのリズムの絶対感との対象でそう感じてしまう演奏を聴いたことがあったからだとは思うけど、お前にクラシックギターの何がわかるというのだ、と自分を叱る。
はい、そのくらい楽しかったです。ジャンルとかに関係なく、もっとたくさん聴きたいという感じ。最初の一音から、音が立っているというか、音が大きく存在感があるのにびっくり。彼の演奏、クラシックでもフラメンコでもそれ以外のジャンルでも一度は聴いてほしいし、私もまた聴きたい。
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| ©︎ Festival de la Guitarra de Sevilla |
合間のちょっとしたおしゃべりも過不足なく、スペイン語で曲の説明をしたあと日本語でも話、少し笑いをとるところも含め、エンターテイナーだな、と。
今度はフラメンコの演奏もぜひしにきてくださいまし。
続くフラメンコはマヌエル・エレーラ親子が登場。
1976年セビージャ生まれの父は主に歌伴奏で各地のフェスティバルなどで活躍中。自作のソレア。伝統的な、オーソドックスなソレアらしいソレア。
 | ©︎ Festival de la Guitarra de Sevilla
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| ©︎ Festival de la Guitarra de Sevilla |
同姓同名の息子マヌエルは2003年生まれというから22歳。コルドバ高等音楽院フラメンコギター科に学び、ヘーレン財団コンクール、コルドバ青少年コンクールをはじめ、オスピタレやハエンなど各地のギターコンクールで優勝している。自作のタンギージョ。
その後はデュオで、『エル・ビト』、サビーカスとニーニョ・リカルドのデュオ曲『ラ・カリナ』など次々に。
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| ©︎ Festival de la Guitarra de Sevilla |
リケーニが演奏してから他のギタリストも演奏するようになった聖週間の行進曲『アマルグーラ』やらファリャ『はかなき人生』というクラシックのレパートリーから、パコ・デ・ルシアの『愛のうた』、最後はニーニョ・ミゲル『バルス・フラメンコ』とたっぷり演奏。
知っている曲が多かったし、ちゃんと練習してきたな、という演奏だったけど、特別な何かはあまり感じられないというか、原曲と微妙に違う間合いや音がちょっと気になってしまったかも。違和感はどこからきているのかなあ、音程が微妙にズレてるとか?うーん、よくわからない。
ギターデュオって大昔にパコがリカルド・モドレーゴや兄ラモン・デ・アルヘシラスとの者があるけど、その後はあまりないなあ、と。クラシック奏者のホセ・マリア・ガジャルドがリケーにやミゲル・アンヘル・コルテストやってたのくらいかしらん。最近聞いたのはニーニョ・リカルドを演奏するホセ・アセド親子で、うーん、親子デュオが流行り?ってことじゃないとは思うけど。