2025年10月31日金曜日
セビージャ ギター祭 マリア・エステル・グスマン/エドゥアルド・トラシエラ
2025年10月30日木曜日
セビージャ・ギター祭 ロレンツォ・ミケリ/ホセ・マヌエル・レオン
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| ©︎ Festival de la Guitarra de Sevilla |
セビージャ・ギター祭 マヌエル・バレンシア
セビージャ、ギター祭、先週はクラシックギターの公演が続いていたのですが、今週はフラメンコ公演が続きます。
28日は、セビージャの美術館でマヌエル・バレンシアのリサイタル。小雨模様でしたが、無料ということもあってか開演前には長い長い行列が。
会場は美術館の常設展示室。壁には宗教画が並部ところに椅子がずらっとならべられ、その奥にポツンと椅子が一脚。マイクも照明も、特別なものは何もありません。
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| ©︎ Festival de la Guitarra de Sevilla |
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| ©︎ Festival de la Guitarra de Sevilla |
最後はブレリア。これはもうお手のもの。
2025年10月21日火曜日
エドゥアルド・ゲレロ『デバホ・デ・ロス・ピエス』
10月19日はセビージャ、マエストランサ劇場でエドゥアルド・ゲレロ。
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| ©︎ Teatro de la Maestranza/Guillermo Mendo |
作品は4年前ヘレスのフェスティバルで初演。歌い手がイスマエル・デ・ロサからヘスス・コルバチョに、踊り手の一人はアルベルト・セジェスからフリア・アコスタに、と一部のキャストが変わっているけど基本は同じ。舞台上での白い衣装への着替えから始まり、白いゴムのリボンのようなものでできたカーテンが舞台3面に。
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| ©︎ Teatro de la Maestranza/Guillermo Mendo |
カーテンにビデオが映写されたりとか、今っぽい演出。フラメンコ曲の間にノイズが入ったり、もそうですね。
でももう、最初に映像を使い始めた頃のような新鮮さや驚きはなくて。正直、はいはい、そうですかって感じ。よっぽど上手い使い方しないと逆効果かも。
大きなシンバルを紐づけて踊ったり、カディスのカルナバルで使うピトーと呼ばれる楽器で会話したり歌いながら踊ったり。色々工夫しているのはわかる。
ビデオのレメディオス・アマジャが歌うタンゴを踊り、最後はパレスチナ解放のメッセージと共にソレア。最後はピエタのようなポーズの上に出演者たちが白い衣装を脱ぎ捨てておしまい。これはフラメンコも世界の一部で繋がっているという意味なのかしらん。タイトルは足の下、という意味だから足の下の大地、地球は全部繋がっている、ということ?
昨年の夏、昔ながらの、じゃないけれど、彼の歌を踊るフラメンコに大興奮したけど、だからかなあ、エドゥは本当にすごいダンサーだと思うのだけど、映像で気が散って、フラッシュライトに目を背けるってのは年ですかね。踊りそのものを、主役を、よりよくみせる演出なら大歓迎なんだけど、演出が目立ちすぎるのは好きじゃないっていうか。でもこれが彼が望んだものなわけで。エバのコンテぽいイントロにも通じるけど、いいアーティストには好きなことをする自由があって、こっちはそれを見るしかないんですね。はい。これもエドゥ。でもやっぱ私は去年の夏のエドゥが好き。そういうのがもっと観たいってのは間違い無く私のわがまま。わかってます。ごめんよ。
2025年10月20日月曜日
セビージャ、ギター祭 ホセ・アントニオ・ロドリゲス
今年もセビージャ、ギター祭が始まりました。
フラメンコ公演は今日が初日。エスパシオ・トゥリーナでホセ・アントニオ・ロドリゲスのリサイタル。
マイクなしの生音、ギター一本での真剣勝負。
コルドバ出身。ビセンテ・アミーゴより3つ年上で、ウニオンやコルドバなどコンクールでも先に優勝、ソロデビューも早かった。オーケストラとの共演曲も発表しているベテラン。
ソレアやコロンビアーナ、ファルーカなど次々に演奏。マリオ・マジャなどへの舞踊作品も多数作曲してるだけに、ブレがない。耳に心地よい、聴きやすい曲。
最後に演奏したマンハッタン・デ・ラ・フロンテーラはやはり名作。
フェスティバルのfbにビデオがあったのでリンク載せときますね。
来週はマヌエル・バレンシアやホセ・マヌエル・レオン、エドゥアルド・トラシエラ、5日には菅沼昌隆さんも登場します。
2025年10月18日土曜日
スペイン国立バレエ マドリード、テアトロ・レアル(王立劇場)公演『メデア』
日本にもファンの多いスペイン国立バレエ団の、マドリードのオペラハウスでの公演は、振付家ホセ・グラネーロへのオマージュとして、彼の作品『レジェンダ』、『クエントス・デ・グアダルキビル』『ボレロ』そして『メデア』という4作品とバレエ団メンバーによる男性ソロの新作小品というプログラム。
『ボレロ』や『メデア』は何度も日本で上演されているし、他の二つも初演時に見てるし、マドリーに行くまでもない、はずなのですが、今回出かけて行ったのは、エバ・ジェルバブエナがメデアを踊るということから。自分一人だけだったり、群舞がいたりと作品によって変わるもののの、98年にカンパニーを創立して以来、基本、自分の思うままに作品を作って踊ってきた彼女が、物語の要素のあるフラメンコ作品の古典とも言える、名振付家の作品の主役を踊るというのだ。これは行くしかないでしょう。
一部はアルベニスの曲にホセ・ルイス・グレコ(ホセ・グレコの息子、ローラ・グレコの兄)の曲を組み合わせ、男女のソリストと群舞で見せるスペイン舞踊作品。女性たちが奏でるカスタネットと男性の力強いサパテアード。男性衣装のたっぷりした袖が、動きをより美しく見せてくれるのに注目。
続くソロ作品、初日は監督補佐のミゲル・アンヘル・コルバチョの新作で、スルタン風?にも見える、長めのジャケットやベストやマントをスカートのようになびかせて、スカルラッティのピアノソナタの生演奏で踊るというもの。スカートを履かずともスカートのような効果を出す衣装、色々みんな工夫していますね。力強く美しい。なお偶数日はエドゥアルド・マルティネスが自身で振り付けた民族舞踊系の曲『アリエイロ』だったそうです。
『クエントス・デル・グアダルキビル』は、セビージャ出身の作曲家トゥリーナの曲に振り付けた男女のパドドゥ。南国風の雰囲気の中、久しぶりに帰ってきた恋人との逢瀬。94年の初演ではアントニオ・マルケスとローラ・グレコが踊ったパレハをカルロス・サンチェスとミリアム・メンデスが踊る(ダブルキャストで奇数日はデボラ・マルティネスとマティアス・ロペス)のだけど、ミリアムにローラが重なって見えてきて涙。マルケスもこういう、伊達男的な役柄を演じるのが本当に上手だったよなあ、など思い返すなど。
そしてボレロ。日本では必ずと言っていいほど上演されてきたグラネーロのボレロ。アールデコ風の装置と衣装。華やかでスペイン舞踊の魅力に溢れているいい作品、古典として次の世代へ伝えたい作品の一つだと思うのだけれど、スペインで上演されることはあまりなく、最後に上演されたのは90年代だったといいます。日本公演の時に、これは日本でしかやらないから装置が置いていこう、なんて冗談が飛び出るほどでありました。確かに振り付けは今の複雑で超テクニックが必要なものに比べると驚くほどシンプルかもしれないけど、サパテアード、回転、ポーズ、舞台の上のコンボジション、装置を使っての人の出入りなど本当によく考えられていて、最後の盛り上がりでスタンディングオーベーションとなったのも頷けます。
休憩を挟んでいよいよ『メデア』
なんの前知識がなくともストーリーがわかるという名作。これまでに見てきたメデア、アナ・ゴンサレスはひたむきで、ローラ・グレコは物狂い、マリベル・ガジャルドは母の愛、エステル・フラードは存在感、と言った具合に私にとってそれぞれのイメージがあるのですが、、エバのメデアは恨みのメデア。ぐじぐじ恨みつらみを募らせていく感じ。魔法のシーンの魔女っぽさもこの恨み晴らさじ、的な感じで、ローラの愛ゆえに狂ってブレーキ効かない感じとは別物のように見えました。
物語作品をあまり踊ってきていない、基本、自分の振り付けを踊る彼女に取ってはすごい勇気のいる挑戦だったと思うのです。マドリードの条例で暴力シーンがある作品に子役を出せず、子役を18歳の人が務めることとなり、ただでさえ小柄なエバにとってはマイナスな状況もあったのですが、演じ切った彼女に拍手。
イアソンのフランシスコ・ベラスコやクレオンテ(花嫁の父)のクリージョも重厚感がでて、よりリアル。花嫁のエステラ・アロンソも本当にかれんで適役。
若者たちにチンピラ感が出ないとか、不満がないわけじゃなかったけど、名作は名作。王立劇場公演は日曜までだけど、7月にはサルスエラ劇場でメデアは再演されるそう。24時間経った今でもマノロ・サンルーカルのドラマチックな音楽がずっと頭の中で響いているのでありました。
ギターもオケも生演奏。オケはボレロもちょっと重いな、と思うところもあったし、メデアでも間合いがあれれ、ってとこもあったけど(いつも録音のを聴き慣れているせいかも)、音の分厚さはさすが。ですね。
スペイン国立バレエ団はこういった古典的な作品から先日の『アファナドール』のような超現代的な作品まで幅広いレパートリーを持っているのが魅力でありますね。そう、パリのオペラ座バレエや英国ロイヤル・バレエ団などと同じように。
2025年10月8日水曜日
日本フラメンコ協会新人公演配信を観て2025 その4 3日目舞踊
新人公演感想続きです。
かなり辛口に思えるかもですが、こうすればもっと良くなるはずなのにと思ったことをついいいたくなってしまうのです。ごめんなさい。
3日目
9月26日(金)
B-39 「アレグリアス」
身体も表情も緊張でかたくなってるのかな。水色の細かいフリルの段々が可愛いドレス。上半身そるとか傾けるとか肩を動かしてみるとか、もう少し柔らかい雰囲気出るとよかったね。
B-40「シギリージャ」
無伴奏の歌サリーダからの足、回転で始まる。黒い衣装。歌をゆっくりゆっくりマルカール。自分なりのイメージ持っているような感じ。気持ちのいいポイントからちょい遅く入る感じがあったりする。ちょっと芝居がかった去っていくとこかっこいい。
B-41 「ソレア」
歌をゆっくり丸カールして始まる。黒い衣装に白刺繍のシージョ。自分なりのイメージがあって、踊っているような感じ。ソレアなんだけど、時々こぼれてしまう微笑みに踊ることを楽しんでいる感じがあっていい。
B-42 「ソレア」
赤い衣装。ポーズや動きを順番通りにやってるだけみたいに見えてしまうのは何故だろう。ソレアという曲がどういう曲なのか、一つ一つの振り、動きの意味、方向性を考えよう。気持ちと動きを繋げよう。とにかくいっぱいいろんな人のソレア見てイメージを作っていくといいのでは。
B-43 「ソレア」準奨励賞
紺の衣装に黒のシージョ。ゆっくりゆっくりマルカール。マヌエラやらエバやらイメージを持って踊っている感じ。踊る喜びで笑顔になってしまうのがB41と同じ。気持ちありすぎて先走らないように。
B-44 「シギリージャ」
黒い衣装にきん刺繍のシージョ。気持ちに技術が追いつかない感じの拙いところはあるが気持ちというか自分のシギリージャのイメージはあって踊っているような。首が前にでるというか下向きすぎな気もする。そういう人多いですね、暗い曲だからといって下ずっと見てるのも変。顎をあげていきましょう。ブラソあげていく時手首曲げて手が落ちて残ってしまうように見えるのとか、腕から手の動きも見直すといいかもです。
B-45 「バンベーラ」
紫のシンプルなお衣装。まず、なぜソレアでもソレアポルブレリアでもなくバンベーラなのか、ということを考えるべき。そしてどんなふうに踊りたいかをイメージ。歌を聞いて歌に反応して踊りたい。観客を意識しよう。稽古ではなく皆に見てもらうものなのです。せっかくの伸びやかな歌がBGMにしかなってない。もったいない。
B-46 「ティエント」
一人で踊っている感。自分の世界に浸ってしまっていて外の音は聞こえていないような。振り優先。意味わからずに動いているような感じがしてしまう。スカート上げすぎだったり、ひらひらさせ方がフラメンコぽくないのだけど多用。衣装のデザインのせいもあるのかな。
B-47 「タラント」
ファルセータをマルカール?して始まる。ベージュに黒レースのお衣装。袖はスケ生地水玉、花なし、櫛のみ。曲についてのイメージはありそう。下向き加減だと首がめり込んで見えてしまうので顎あげたほうが綺麗。タンゴで突き抜けていく感じとか構成的にはまちがってない。
B-48 「ソレア」
黒衣装、金刺繍シージョ。自分のイメージはあって踊っていそう。回転もできている。ただ首が落ちちゃう。首の線綺麗なので勿体無い。しっかり前見て。
B-49 「ロマンセ」
曲のイメージに合った、東欧ヒターナ風というか、ノマドなキャラバンヒターナ風衣装をちゃんと選んでいるし、この場合はこの三つ編みも正解。これは曲のイメージにあった衣装を選んだいいお手本。手は手、足は足というふうに部分部分が別々で全体のつながり、なめらかさというかこなれた自然な感じがない。動きに余韻、、間合いを考え、待ちを入れるといいのでは。
B-50 松本 美緒「ソレア」
黒のシンプルなワンピース。シギリージャみたいな雰囲気のソレア。多分、そんなソレアをイメージして踊っているのだろう。睨む目力。迫力。ムチョコラヘなソレア、ありだと思います。
B-51 「シギリージャ」
赤いワンピースにジャケット。どこか南米風にも見える衣装、袖口のふわふわの意味?_腰のフリンジの意味。シギリージャという、フラメンコの曲種の中で最も深刻で悲劇的な曲には相応しくない気がする。回転要練習。最後も狐につままれたような。
B-52 「グアヒーラ」
フリルに赤い縁取りのある黄色のツーピースにカスタネット。あわただしくあっちへこっちへと動くのは、ゆったりしたイメージのグアヒーラには遠いような。アストゥリアス入れたりは面白いけど、なぜ?
B-53 「アレグリアス」
意気込みよし。意欲はありそう、楽しんでいる感もいい。ただまだ色々余裕なさそうなので踊り込んでいくと良くなるかも。いっぱい見ていっぱい踊って前進あるのみ。
B-54 「タラント」
サリーダなしの歌から突然始まるのは時間制限に合わせてなのかな。ちょっとびっくり。黒い衣装に赤紫のフレコのシージョ、黒バックに黒衣装でほとんど見えない。顎引きすぎ上向こう。一瞬、顎上げた時、背筋もスッと伸びてムイフラメンカでかっこよかった。腕長くて綺麗なのでブラソの表現鍛えるといいんじゃないかと思ったり。
日本フラメンコ協会新人公演配信を観て2025 その3 2日目舞踊
二日目の感想。
2日目 9月25日(木)
B-13 『ソレア』
伝統的な衣装、トラヘ・コルトで。シンプルなサパテアードを間合いよく決めるオープニングは気持ちがいい。首が前に出ちゃうのかな、ちょっと猫背ぽくなったり、ブラソもどこか不自然。首の位置や重心、コロカシオン見直すといいかも。
B-14 「ソレア・ポル・ブレリア」
紺の衣装に黒に金の刺繍のシージョ。マノにあんまり気を使ってない感じでパーが多いような。楽しそうに、というか踊ることを楽しんでいるように見えるのはいいし、リズムに呼応するところとかもいい。
B-15 斧田 あす香「ソレア」
メリハリつけて踊っている。上半身が硬い感じ。身体使い、そらすとかもあっていいし(オープニングのあげた腕をずっと引っ張る感じで少しそらすというか斜めになる感じにするとか)、もっと全体のバランス考えると良くなるだろう。
B-16 「カーニャ」
深緑に黒の短い上着。衣装のキラキラは最近の流行りだけど、ない方がいい。というか、チャケタなしで無地のシージョとかでも良かったかも。カーニャはシギリージャほど深刻ではないもののシリアスな曲なので。しっとりした、カーニャらしい始まりからアップテンポに。コラへなカーニャ。首の位置。顎引いたり、下見ることが多いのは何故だろう。舞台いっぱいに大きく踊れる人だし、顎あげて上を見るほうがより美しい。
B-17 「ソレア」
黒い衣装に、ブランカ・デル・レイのマントン風、黒に白の刺繍のシージョ。とザ・ソレアな衣装。動きが拙い感じ。衣装の袖口のひらひらのせいで腕が短く見えてしまうような。全体の動き、真っ正面じゃなく斜めの構など、研究の余地あり。気持ちはありそう。
B-18 「シギリージャ」
紫のベロア。回転上手。袖なしでブラソがどうしても目立つので中途半端な動きというか振りを最後まできちんとやらずに次に頭がいってるみたいなところが気になってしまう。舞台大きく使おうとしているのは良い。屈んだり、顎引きすぎるとかは減らした方が。首が詰まった衣装なので顎引くと首がなくなってしまう。
B-19 「アレグリアス」
アレグリアスらしい笑顔がとてもいい。楽しんでいる感じ。ブラソは肩から意識して動かすといいかも。転んでもすぐ立ち上がって挽回したのは偉い。衣装のスカート部分が軽くて持ち上がりすぎるから下のエナグアがしっかり重そうなんだろうけど、スカート高く持ち上げるなら、腰のところがピッタリしてないもっとうえの方からゆったりたっぷりとした衣装の方が良かったかもですね。
B-20 「アレグリアス」
赤系花柄に薄いオリーブグリーンのマントン。アレグリアスならマントン白の方が良かったかもだけど、この色のマントンならカーニャとかペテネラでも良さそうですね。B4と同じような感じでマントン技を次々に見せて。もう少し布地が厚く刺繍多めの方がマントンが綺麗に動くと思うけど、マントンも高いですしね。
B-21 「グアヒーラ」
白にピンクとベージュのフリル。大判アバニコ、ペリコンは片面黒じゃない方がいいかも。上半身硬い感じがするし、最後の方、力技みたいになってるところあるけど全体的にもっとグアヒーラならではの南国風、リラックスしたムードが欲しい。
B-22 「カンティーニャス」
細身の長身。白い衣装で満面の笑顔で登場。肘曲げる時90度は避けるとカクカクした感じにならないんじゃないかな。もっと踊り込んでいくと良くなる気がする。
B-23 「グアヒーラ」
白いワンピースに赤いペリコン。南京豆売りの歌から始まるのは粋な演出。歌がゆったりした雰囲気をうまく作っているのでそれにもっと乗ったらいいような。グアヒーラはキューバ、南国を意識するが勝ち。ぬけが大切。
B-24 「グアヒーラ」
ビダリータの歌から始まるのはなぜ?。紫のコーラに紫のペリコン。のち、青系(スカート下のカンカンの色)の小さいアバニコに変えるのも理由がわからない。バタ、ぺちゃんとしていて、すぐひっくり返るのであまり綺麗じゃないし、効果的じゃない。最後扇二本持ちも大きさ違うのであんまり綺麗じゃない。シンプルな基本のグアヒーラ
B-25 「タラント」
豪華なマントンにワインカラーのシンプルなワンピース。ただ基本、タラントにマントンは合わない。そこをあえてやるなのであれば、タラントらしさをどうやって出すか考えるべき。ソブリオ、抑制された、地味でシリアスな曲なので、華やかに見えるのは避けたい。となると地味な、暗めの一色だけのものか無地のものになるんじゃないかと思う。最後、マントンを芝居がかって抱くのはどういう物語があってのことなのだろう。
B-26 「タラント」
タラントには薔薇の花がついた派手なブラウスは似合わないのでは?。袖の段々フリルも腕の動きを綺麗に見せない。タラントは地味な抑制された曲だということを考えて衣装を選びましょう。着たい衣装で踊りたい踊りを踊っているんだと言われればそれまでですが、衣装も含めて舞踊の表現なので、曲についての理解が少ないと思われても仕方ないかも。エプロンつけてのタンゴとか合いそうな感じ。
B-27 「ソレア・ポル・ブレリア」
目力ありますね。歌をちゃんと聴いて、リズムを感じて、自分の今の全体の形を意識することも必要。姿勢、足、回転、基本練習をしっかり。いっぱい見ていっぱい踊る。
B-28 「シギリージャ」
赤いバタ・デ・コーラにカスタネット。シギリージャのバタ、パリージョは難曲で誰もがおあ踊れるわけじゃない。首を前に出しで顎引き、肩が上がり、という形は美しくない。背も丸めない方がいい。バタもデザインのせいか、布地の材質か、ぺちゃんとした感じ。
B-29 「タラント」3
緑花柄ワンピに紫別珍シージョ。シンプルな振り付けだけに、まあいや目線などで、想いを込めるなどすれば個性も出てきそう。フラメンコは、音楽をバックに踊るものではなく、歌や音楽を聴いてそれに誘発されるものがある舞踊であってほしい。
B-30 「ソレア・ポル・ブレリア」奨励賞
黒い衣装に青いシージョ。勢いと力強さ、こう踊りたいというイメージがある踊りに見える。回転は基礎練でもっと良くなると思うし、体をそるひねるなど全体で踊ることを意識するともっとずっと映えると思う。
B-31 「シギリージャ」 奨励賞
黒だけどキラキラのバタ。カスタネットで始まる。バックが黒でバタの動きがよく見えない。なぜお団子ではなく、三つ編みで花も櫛もつけていないのだろう。喪服にしてはキラキラが変だし謎。マントンの時引っかからないように花つけないとかはあるけれど。首を前に突き出し、顎引くのは綺麗じゃないし、屈みがちなのも気になる。カスタネットは上手。
B-32 「アレグリアス」
整列水玉のバタに白地に赤い花刺繍のマントン。ばたがぺちゃんとした感じなのはカンカン不足?パリッとしてたらもっと良かったのでは。
B-33 「ファルーカ」2.5
男装。白いパンタロンとトップスにピンクベージュぽい短い上着。ファルーカも地味系なので、白より黒、もしくは上着も白の方がベターでは。B11といい、ファルーカで白い衣装を選ぶのは、漫画『白のファルーカ』の影響なんでしょうか。あれフィギュアスケートのお話ですよね。ファルーカの特徴であるキリッとした直線的な感じ、男性的に揃えた指で表しているのかな。ただファルーかにつきものの回転は苦手なようなのが残念。あれがピシッと回れて決めれるとめちゃかっこいいと思います。
B-34 「タラント」
抑制されたシリアスな曲、タラント。曲のイメージをちゃんと表現。衣装は黒一色でなく抑えた色味のシージョつけるとかもう一工夫あっても良かったかも。フレコついてるからつけなかったのだろうけど。まあいや思い入れの感じなど表現もいい。個人的には今年のダントツ一等賞。
B-35 「ソレア」
バタ・デ・コーラに黒字に金の刺繍のマントン。黒い衣装で黒いバックは見にくい。白ホリか照明強くしないとみづらすぎ。バタ上げすぎ、太もも見せてはいけません。技術はありばたさばきも悪くはない。マントンも今流行りの慌ただしい感じでの技博覧会。ゆっくり丁寧に、アルテを意識すると違う扉が開くはずかと。
B-36 「ファルーカ」
シンプルな振り付け。女性の先生についていらっしゃるのでしょうか、ブラソ、マノが女性的。女性のサパテアード、男性のバタ・デ・コーラも普通になり、軍部でもユニセックスな振りも多い今日この頃ではございますが、男性舞踊の粋たるファルーカでこのマノはないんじゃないかと。マノの形としては綺麗なんですけどね。ここは指を揃えて直線的な方がファルーから叱ったように思います。回転すごくゆっくり回りますね。ここもピシッと決めてファルーカらしさを出して欲しかったかと。
B-37 堀口 心太朗 奨励賞
大人顔負けの少年。最初空いてた口が一文字に結ばれる。ほぼずっと顎引きすぎだったり、マノがパー多かったりとかありますがセンスがいいのは確か。ジャケットの丈も少し長い方がもっとカッコ良かったかも。ジャケット無しでも良かったかも。
B-38 脇田 美鈴「ソレア・ポル・ブレリア」
エレガントな衣装。髪のあしらいで、フラメンコというよりエスティリサーダぽい。ソレア・ポル・ブレリアという曲、また振りからしてもう少し普通の、というか、ヒターナぽい方が良かったような。
2025年10月7日火曜日
日本フラメンコ協会新人公演配信を観て2025 その2 1日目カンテ、ギター、群舞、舞踊
それぞれのパフォーマンスについて個人的な見解を
1日目 9月24日(水)
C-01 「タンギージョ」
歌い出しや所々ほんの少し音程外すところもあったが、歌詞の意味わかってセンティード入れて歌っているのがわかる。完璧ではないがよくこなれている。
C-02 「ファンダンゴ・ナトゥラル」
思い切りと意欲はいいが、音程、コンパス、発音。課題は多い。かグロリアはメロディアスで歌いたくなるのはわかるが、やはり音程と歌のセンティードをしっかり理解して歌うべき。
C-03 「サエタ・イ・マルティネーテ」
意欲はいいし、時々、おおっと思わせるところもないではないが、サエタは聖像へうたいかけるものであるし、自分に歌うのでなく、届くように、声をまっすぐ前に出すようにした方がいいのではないかとは思う。
C-04 「アレグリアス」
パワフル。音程、コンパスはそれほど悪くないが発音、Rrとr 、lの違いも意識、またカタカナ発音を直すと格段に良くなるはず。
C-05 「ミラブラス」
歌う喜びに溢れるアフィシオン。発音、意識しているように見えるがまだもっとよくできる。
C-06 「コロンビアーナ」
コロンビアーナは力入れずにもっと伸びやかに歌ってほしい。
C-07 「ソレア」
味はある。クセもある。でもlとrなど発音時に英語ぽくなったりもするがおおむねそう悪くない。
C-08 「ブレリア・ポル・ソレア」
声がいい。音程コンパスも悪くない。今日の中ではかなり上位。最後の音程惜しい。
C-09 「ティエント、タンゴス」
声が前に出ているのはいい。どこかヒターナ的な開き直ったような度胸と愛嬌というか、タンゴ・エストレメーニョの最初のスピードとかもいい。音程はもっと直せると思うけど、フアナ・ラ・レブエロ的な魅力あり。
C-10 「ソレア」
気分はフェルナンダ。声はいい。感情表現も悪くない。でもカタカナぽい発音、音程をより正確にするといい。
G-01 「グラナイーナ、ドン・コルテス・マジャ」
トレモロの美しいドイツ在住フラメンコギタリストの曲をさらりと演奏。緩急とか強弱とかもう少し考えるとよりフラメンコに聞こえるのでは?
G-02 「ソレア」
気持ちはあるけど、いろんな要素を入れ込みすぎな感じはある。気持ちがせいているのかも。自分のことフラメンコのイメージというのは持っていそう。
群-01 「ソレア・ポル・ブレリア」
小さい人3人、お姉さん4人。マントンの中から表れ舞台全体に散らばっていくオープニングかっこいい。基本みんな同じ振り付けだがフォーメーションなどで見せてくる。最後ビセンテの曲の歌で踊るとことかビセンテに見せたくなる。しっかり踊れていて、子供のための振り付けとかそういう感じではないし、フラメンコを楽しんでいるようで何より。転んでもすぐ立ち直っているのも偉い。舞台にアクシデントはつきものだけど咄嗟にすぐ戻れる反射神経すごい。拍手。
群-02 3 「マルティネーテ」
バストンで女性3人。同じ振りだけでなく組み合わせなど工夫しているところがいい。
群-03 「シギリージャ」
同じ振付が多いが首の角度や腕の高さなど細かいところを揃えてないのはあえてのことだろうと思う。フォーメーションを変えるなど工夫はしているし、迫力はある。でも、群舞でしかできない表現までには行ってない気がする。
群-04 『セラーナ」
超速で始まるのはなぜ?曲のイメージに合わないと思う。青と赤の衣装。白のスカーフかぶってカラニェ帽というのはミラグロスの昔のビデオへのオマージュかとも思うが花が小さいせいもあってか白い部分が大きくバランスが良くない。柄物の方が良かったかも。オリジナル(では正面から見ると白い部分は右にしか見えない)見てバランス工夫してみるといいかも。正面かほぼずっと同じ振りなのは対比で見せようという意図かな。
B-01 「タラント」
リズムや足に不安定さはあるが一生懸命表現しようという意欲は感じるし、舞台を大きく使うところもありうまくまとめている。
B-02 「ソレア」
黒地に白水玉なフラメンカな衣装。気持ちが入っている感。マヌエラ好きなんね。回転ちょっと弱いかも。
B-03 「ソレア」
赤の衣装。回転苦手?。肩が前にでがちなのを治し、腕動かす時は迷いなく、ちゃんと指先まで意識していくともっと美しくなる。
B-04 「カンティーニャス」
白い衣装に華やかなマントンが映える。ただマントン技忙しい。多分暗転で終わるはずがうまくいかなかったんだろうけど振付終わっても舞台からさる時までアーティストということを意識していきたい。
B-05「ソレア・ポル・ブレリア」
全体的に硬い。体を柔らかに使う、腕長くて綺麗なのだから表現の可能性があると思うので体全体のコーディネート考えたい。また劇場の大きな舞台を大きく使う方法も考えたい。
B-06 「シギリージャ」
丁寧に踊っている感じはある。体全体、腕やマノの使い方などももう少し工夫してもいい。最近スペインでもキラキラ流行りなのですが、個人的にはシリアス系にはあまり合わないと思います。目力ありますね。
B-07 「カンティーニャ」
舞台大きくつかうのはいいのだけど、丁寧さがもう一つ。一個一個の振りをセンティードを考えつつ、丁寧に。いろんな人のを見てイメージするといいかも。ってこれはみんなに言えることですね。
B-08 「ソレア」
幕開け。緊張してるのか表情がない。途中から少しずつ、曲に入っていくような。感情を表に出さない人が多い日本人には表情は難しいのかもだけど、少しオーバーでもいい。振り付けの構成を見ていくときに表情のイメージトレーニングするとかもいいかも。
B-09 「アレグリアス」
最初スカートちょっとあげすぎだとは思うけど、とにかく楽しそうで、溌剌としている、華がある。文字通り、アレグリアス、喜びが見ているこちらにも伝わってくる、。真正面向く時、片方の肩をちょっと引いた少し斜めの構えの方がより綺麗に立体的に見えるはず。舞台も大きく使っているし、飛び跳ねたりしてもムイ・フラメンカだと思います。最初と最後の女声コーラスもいい雰囲気。
B-10 「シギリージャ」
真紅の衣装、体幹弱いのかな?回転後ふらつく。細部も丁寧に。顎上げた時の方が横顔のラインも綺麗だからあまり顎は引かない方がいいかも。綺麗な形も時に見せるんだけど、シギリージャの曲が持つ厳格さ、厳しさ、痛み、苦しみ、悲劇はあまり見えない。もっと柔らかい感じの曲の方がこの踊り手さんには良かったかも。
B-11 「ファルーカ」
白い衣装。ご自分でイメージがあって踊っているのかもですが、回転がずれたりでピシッと止まれないのはファルーカ的にはマイナス。とにかくきっちりした形作ってほしいのがこの曲。スカートがモモのところまでスリムなので足をパッと引いた綺麗な形作れないのかも。
B-12 「シギリージャ」
黒い衣装、前屈みで始まる。暗い曲というイメージなのか、前屈みになりがちだけど、胸開いて大きく踊ってほしい。振り付けはちゃんとまとまってはいる。
2025年10月6日月曜日
日本フラメンコ協会新人公演配信を観て2025
まずはカンテ。カンテの基本はまずコンパス、発声、音程、メロディの正確さ、だと思うのですが、それに加えて日本の場合は発音も重要になってきます。その発音、特に日本人がにがてなL とR、RRの区別が今回もあやふやな方がいらしたように思います。Rを意識しすぎてRR になってしまったり。歌を勉強する方はスペイン語もちゃんと勉強された方が必ず良くなると思います。カタカナではなくちゃんとアルファベットを見て読んで理解して歌うべきです。日本語とスペイン語は発音で共通するところが多いというのは事実ですが、全部が同じではありません。またそれぞれの曲の深い理解も必要です。歴史を学び、曲ごとのキャラクターを理解するということですね。センティード、方向性を間違わない、というのも大切ですね。その意味で1日の長があったのが齋藤克己さんだったと思いますので、準奨励賞受賞も納得です。
ギターはお二人のみの参加。お二人ともいろんな要素をちょっと詰め込みすぎなようにも感じました。フラメンコギターはクラシック等と違って決められた曲を演奏するのではなく、自分で構成も考えて、作曲(先駆者たちの曲を演奏という場合もあります、今回も一人目の方はそうですね)、演奏とすごく大変です。あれもこれもと詰め込みたくなる(踊りでもありますよね)のもわかる気はするのですが、マイナスしていき、効果的な構成を考えるというのもアリではないかと。
舞踊は毎年同じことを言っているような気もしますが、まずは基本を大切に。どうしても最初に足に意識が入ってしまうのだとは思うのですが、コロカシオン、姿勢はとても大切です。腕の動き、手や指で作る形、体全体のコーディネート、表情、衣装に至るまで、踊りは全身で表現するものなので、あらゆることを考えなくてはいけません。踊る曲、そのキャラクターを理解することも重要です。その曲はシリアスな曲なのか明るい曲なのか、どんな背景を持っているのか、歌詞はどんなことを歌っているのか(歌っているものが多いのか)、どんな踊り手たちがどんな風に踊ってきたのか、などを考えて、自分なりのイメージを持つことが大切です。あなたが踊る振り付け自体は先生に振り付けてもらったものそのままだとしても、この動きはあの踊り手のあの動きのイメージで、などと考えるのもいいと思います。ただ振り付けをなぞるだけではなく、自分なりに咀嚼する、とでもいうのでしょうか。
今年も顎引きすぎ、下を見過ぎな人がとにかく多い印象です。ひょっとするとカメラの位置からそう見えてしまうのかも、ですが、頭を上げ、顎を上げると首の線も美しく見えてくると思うのです。
今年、踊りで印象に残ったのは二人。
初日にアレグリアスを踊った鈴木 映留捺さんと二日目にタラントを踊った角谷 のどかさんです。溌剌とした鈴木さんからは踊る喜びを感じましたし、華があると思います。角谷さんは抑制された感情表現でタラントという曲のイメージをちゃんと掴んで表現しているのが良かったです。
近日中に全員への短評も考えていますがまずはこの辺で。









