まずはカンテ。カンテの基本はまずコンパス、発声、音程、メロディの正確さ、だと思うのですが、それに加えて日本の場合は発音も重要になってきます。その発音、特に日本人がにがてなL とR、RRの区別が今回もあやふやな方がいらしたように思います。Rを意識しすぎてRR になってしまったり。歌を勉強する方はスペイン語もちゃんと勉強された方が必ず良くなると思います。カタカナではなくちゃんとアルファベットを見て読んで理解して歌うべきです。日本語とスペイン語は発音で共通するところが多いというのは事実ですが、全部が同じではありません。またそれぞれの曲の深い理解も必要です。歴史を学び、曲ごとのキャラクターを理解するということですね。センティード、方向性を間違わない、というのも大切ですね。その意味で1日の長があったのが齋藤克己さんだったと思いますので、準奨励賞受賞も納得です。
ギターはお二人のみの参加。お二人ともいろんな要素をちょっと詰め込みすぎなようにも感じました。フラメンコギターはクラシック等と違って決められた曲を演奏するのではなく、自分で構成も考えて、作曲(先駆者たちの曲を演奏という場合もあります)、演奏とすごく大変です。あれもこれもと詰め込みたくなる(踊りでもありますよね)のもわかる気はするのですが、マイナスしてい気、効果的な構成を考えるというのもアリではないかと。
舞踊は毎年同じことを言っているような気もしますが、まずは基本を大切に。どうしても最初に足に意識が入ってしまうのだとは思うのですが、コロカシオン、姿勢はとても大切です。腕の動き、手や指で作る形、体全体のコーディネート、表情、衣装に至るまで、踊りは全身で表現するものなので、あらゆることを考えなくてはいけません。踊る曲、そのキャラクターを理解することも重要です。その曲はシリアスな曲なのか明るい曲なのか、どんな背景を持っているのか、歌詞はどんなことを歌っているのか(歌っているものが多いのか)、どんな踊り手たちがどんな風に踊ってきたのか、などを考えて、自分なりのイメージを持つことが大切です。あなたが踊る振り付け自体は先生に振り付けてもらったものそのままだとしても、この動きはあの踊り手のあの動きのイメージで、などと考えるのもいいと思います。ただ振り付けをなぞるだけではなく、自分なりに咀嚼する、とでもいうのでしょうか。
今年も顎引きすぎ、下を見過ぎな人がとにかく多い印象です。ひょっとするとカメラの位置からそう見えてしまうのかも、ですが、頭を上げ、顎を上げると首の線も美しく見えてくると思うのです。
今年、踊りで印象に残ったのは二人。
初日にアレグリアスを踊った鈴木 映留捺さんと二日目にタラントを踊った角谷 のどかさんです。溌剌とした鈴木さんからは踊る喜びを感じましたし、華があると思います。角谷さんは抑制された感情表現でタラントという曲のイメージをちゃんと掴んで表現しているのが良かったです。
近日中に全員への短評も考えていますがまずはこの辺で。