2020年1月14日火曜日

フランス、ニームのフラメンコ・フェスティバル/エステベス&パーニョス『ソンブレロ』

二日目はまず、ペドロGロメーロの講演。
一般の人のフラメンコのイメージは実は割と新しいものによる、とか、
シルベリオ・フランコネッティがアメリカ大陸から持ってきたものは、コンセプトだ、とか。
日本のお能のように500年以上もの長い歴史があるわけではなく、近代になって成立したものだ、とか。
知ってることも知らないこともとにかくたくさんの情報量で、通訳さん、すごい!に一言でございます。

夜はエステベス、パーニョス『ソンブレロ』。
この秋、コルドバで初演された作品。へレスのフェスティバルでも上演されます。

ディアギレフのバレエ・リュスでの『三角帽子』。その上演過程と、彼らにフラメンコを教えたフェリクス・フェルナンデス“エル・ロコ”の物語。
同じテーマでハビエル・ラトーレもスペイン国立バレエ団に振り付けましたが、これはそれより前に映像としての企画があったのだそうです。ただ、その公演があったので。企画は温めておいたのだと言います。
で、研究熱心なラファエル・エステベスは、より深く掘り下げていきます。
そのラファエルがディアギレフ。
『三角帽子』初演で主演したダンサー、レオニード・マシーンを、ナニ。
フェリクスをアルベルト・セジェス。
作曲家ファリャをヘスース・ペローナ。
と言う布陣。

スペインにやってきたディアギレフ一行がスペイン各地を回り、フラメンコを観て、ダンサーをスカウトし、練習を重ねるが、主役を演じるのが自分じゃないと知り、狂気の淵に落ちていき、英国の病院で生涯終える、というのはよく知られた物語で、ラトーレの振り付けでもこの通りに進んでいきます。
『ソンブレロ』も大きな流れとしてはそうなので、このオフィシャルストーリーは抑えておく必要がありますね。
実際、その経緯を知っていなかったらストーリーはわかりにくいかもしれません。

ディアギレフとファリャとマシーンの一行がやってきて、各地を回ってフラメンコを観て、フェリクスの才能をかって共に歩み始める。
フラメンコ視察の場面で踊られるのはマカローナのアレグリアスだったり

Festival Flamenco de Nimes ©Sandy Korzekwa
帽子のガロティンだったり。
これも当時の舞踊を再現したもので、ダニ・デ・モロンのギターもビセンテ・ヘロの歌も当時のイメージをうまく再現しているのがすごい。
いやあ、脱帽っす。
Festival Flamenco de Nimes ©Sandy Korzekwa


びっくりしたのは、アルベルト演じるフェリクスのサパテアードからファリャが『三角帽子』のファルーカを作曲していく場面で、あの曲をダンサーたちの靴音だけで再現しているのがすごい。びっくりさせられました。
Festival Flamenco de Nimes ©Sandy Korzekwa

1920年代アメリカのダンスのフラメンコへの影響を示唆させたり
Festival Flamenco de Nimes ©Sandy Korzekwa
ディアギレフ、マシーン、フェリクスの三角関係を示唆したり。
Festival Flamenco de Nimes ©Sandy Korzekwa

やがて精神を壊していくフェリクス。
Festival Flamenco de Nimes ©Sandy Korzekwa
それにしてもマシーンを踊ったナニ、バレリアーノ・パーニョスのテクニックの凄さ。
敏捷でしなやかで、リズミカルで、軽やかなのに、重みがある。
バレエダンサー役であるということもあり、彼自身の才能を見事に見せていた。

Festival Flamenco de Nimes ©Sandy Korzekwa
そしてそれに対するアルベルトのフラメンコも素晴らしい。
二人でのシーンはもう一度見たい。
Festival Flamenco de Nimes ©Sandy Korzekwa

Festival Flamenco de Nimes ©Sandy Korzekwa
へレスで再見できるのが楽しみでございます。

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