11月1日はマエストランサ劇場でラファエル・リケーニ新譜『ネルハ』発表記念コンサート。
ギター祭でのペドロ・シエラのコンサートにも行きたかったけど、まだ神様でも仏様でもないので同じ時間に違う場所にはいられない。残念。芸術の秋、こういうことが結構あって、ペーニャに劇場公演に、普段はそんなにフラメンコ公演が多くはないセビージャだけど(意外でしょ?タブラオはたくさんあるけど劇場公演はビエナル除くとあまり多くないのです)、芸術の秋、特にフラメンコが世界無形文化遺産に制定された11月は公演ラッシュ。この後もセントラル劇場でのフラメンコ公演シリーズがあるし、マエストランサ劇場でも来週も公演があります。そのほか、ペーニャ、トーレス・マカレーナも毎週3回は公演があるし、悩みは尽きない秋の夕暮れ、でございます。
さてリケーニ。ご当地出身ということもあり、満員とまではいかないものの8割は入っていたかな。演奏も落ち着いていて、単なるギタリストというより作曲家としての魅力も発揮した一夜だったように思います。なんかいつの間にか髭も白くなってサンタさんみたいなラファエル。62歳。
公演は二部制で、一部はソロでフラメンコ、二部は新譜と名曲をトリオで、という構成。新譜の公演なら新譜を収録順に演奏するんじゃないかと思っていたのである意味イレギュラー。
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| ©︎ Teatro de la Maestranza/Guillermo Mendo | 
『ミネリーコ』という、アルバム『エレンシア』(2021年)収録曲で始まり、ソレア・ポル・ブレリア、1993年『セビリア組曲』収録の『パセオ・デ・エンスエニョ』。スペイン国立バレエ公演では男女のパレハで美しいパドドゥになっていたのを思い出します。そして美しいグアヒーラ、『ブリサス』は1987年、ドイツ録音のCD収録。『エレンシア』収録のファルーカではマリア・モレーノが登場。別珍の緑のジャケットに黒いパンタロンに巻きスカート?のような不思議な衣装で参加。肩パットが動きを美しく見せることを邪魔している。エバ・ジェルバブエナ風の動きはいいだけに衣装が残念。で、ラファエルがちゃんとずっと踊りを見ながら演奏しているのもいい。ソリストの公演にダンサーがゲスト出演、だとそうじゃない時もあるからね。
 ©︎ Teatro de la Maestranza/Guillermo Mendo
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| ©︎ Teatro de la Maestranza/Guillermo Mendo | 
二部はチェロ奏者との共演で新譜の曲から。でもアルバムでの収録順とは関係なく進んでいく。ネルハ洞窟の発見の話を語っていく作品と聞いていたので意外。チェロ奏者はアメリカ人らしいけど、へえにフラメンコの知識がないのがかえって幸いなのか、民族楽派のクラシックにも通じるような曲だからなのか、相性もいいようで美しい音楽を数曲聴かせてくれました。チェロ奏者が去り、イスラエル・ガルバンなどと共演しているパーカッション奏者、アントニオ・モレーのが登場して水音なども駆使して雰囲気も変わる。そこにサルバドール・グティエレスとマヌエル・デ・ラ・ルスのサポートギタリストが登場し、数曲。再びマリア・モレーノが登場。カスタネットも使ってアバンドラオを。これは新譜の中の曲。
でもここからはまた昔の曲、1986年のソロとしての初のアルバム収録のファンダンゴ・デ・ウエルバ『ア、ニーニョ・ミゲル』をトリオで。名曲。これとヘラルドの『カーニャべラル』が、当時、ギター・ソロのアルバム買うたびにびっくりさせられていたこと、あの時の新鮮な驚きと嬉しさを思い起こさせてくれます。昔は良かったのノスタル婆になってしまったのでしょうか。その後また新譜に戻り2曲。『ブレリアス・デ・アルマ』でのマヌエルの早引きも印象的だけど、なんというか、でしゃばらずでもしっかりと仕事をしますという感じの厚みのあるトリオの音、好きです。
スタンディングオーベーションにこたえて最後はまた一人でトレモロの美しい『コヒエンド・ロサス』
休憩挟んで2時間超、観客は皆満足して家路に着いたに違いありません。



