パトリシア・ゲレーロの振り付け、ダニ・デ・モロンの音楽が奇跡を成し遂げた。
久しぶりにフラメンコ舞踊の歴史に残る作品に出会えた。心からそう思う。ガデスの作品やホセ・グラネーロ『メデア』に肩を並べる作品に。
振付、音楽、衣装、装置、照明、すべてが素晴らしい。(音響のみちょっとボリュームが大きすぎて残念)群舞の舞台上での配置や、舞台への登場の仕方、去り方まで、全てに気を抜かず、細部に至るまで考えてしっかり作られている。ダンサーたち、ミュージシャンたちの実力もあって実現できたこと、だと思う。
大舞踊団によるドラマ性のあるフラメンコ舞踊作品は近年ごく稀にしか制作されない。最近ではスペイン国立バレエの、パトリシア・ゲレーロがゲストで主演した『ベジャ・オテロ』くらいだろうか。少人数のカンパニーなら他にもないではないけれど。舞踊をコンセプトで繋いでいく作品に比べて、それだけ難しいということもあるだろう。
『ピネーダ』ではしかも内容をセリフや歌詞にでなく、基本、踊りで伝えている。ロルカが書いたマリアーナ・ピネーダの物語を知らなくても、物語の大筋は理解できるだろう。
自由を求める民衆、体制側による抑圧、恋愛、争い、そして死。ある種、普遍的なテーマであります。
マリアーナ・ピネーダは19世紀の実在の人物で、自由主義者の逃亡を助け、自由主義者の旗を刺繍し、そのことを理由に死刑に処された女性。その話を元にロルカが書いた戯曲がこの作品のベースになっている。
開演5分前に舞台にはエプロンをつけた女性たち、カーネーションの花を作りながらマリアナ・ピネーダの歌を歌う。マイクはなく、歌詞ははっきりとは聞きとれなかったけど、現在に至るまで、グラナダの人々に歌い継がれるような女性だということを表している演出なのかと思ったのですが、オリジナルのロルカの戯曲にあるらしい。
ベージュ茶系の衣装の民衆の中に現れたマリアーナ。鮮やかな緑の衣装は彼女が庶民じゃなく上流の出自である象徴だろう。
Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León |
ベージュ/茶系の衣装の民衆の中に現れたマリアーナ。鮮やかな緑の衣装は彼女が庶民じゃなく上流の出自である象徴なのだろう。
Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León |
Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León |
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死の黒いベールに囲まれたマリアーナのソロ。
Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León |
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