いよいよ来月、セビージャのビエナルが始まります。
今年も第一線で活躍する多くのアーティストたちが出演します。中にはここで新作初演を行う人も。以前は、2年ごとのビエナルごとに新作初演、というのが恒例なアーティストもいましたが、ヘレスのフェスティバルや国外でのフェスティバルなどで行われることも多くなりましたが、フラメンコ界にとってのビエナルは一大イベントであることに変わりなく、他で上演しているプログラムを上演する人もプラスアルファを加えたり、と、ここでしか見ることができない公演も多そうです。
8月28日、アンドレス・マリンとアナ・モラーレスの新作『マタリフェ/パライソ』の稽古風景の記者公開が行われました。
作品の中から二人のデュオ、一曲を見せてくれたのですが、これが素晴らしかった。ドラムスと聖週間の楽隊でお馴染みのコルネットの伴奏で、見せる二人の踊りは感動的でした。いやあ、すごかった。、ビデオを撮影したのでお裾分け。
既存のフラメンコ曲ではないのですが、フラメンコの技術を使って表現しているわけで、改めてフラメンコの自由さについて考えさせられました。フラメンコって、元々、演者のその瞬間瞬間の選択に委ねられる部分が多い、自由なアートだと思うのですよ。クラシックのように確固とした楽譜や振り付けがあってその通りにしなくてはいけないというものではない。でもフラメンコ曲としての決まり事はリズムやメロディなどたくさんある。そんな中から新しいスタイルを、バリエーションを生み出していく歌い手やギタリストたちがいて、またフラメンコ曲に縛られず自由に自らの思いを、考えを伝えるために踊る人たちもいて、今のフラメンコがあると思うわけです。フラメンコ曲という枠からははみ出ているように思えても、その芯には揺るぎないフラメンコがある、という人もいるのも面白い。
で、作品の情報とか全く読まずに観たのだけど、いやあ、びんびん伝わってくるのですよ。アンドレスは人であり、キリストであり、息子であり、アナは恋人でもあり、母でもあり、聖母でもあり。女と男の、いや人と人との、 共感そして分かり合えないところ、みたいなものを私は感じたのだけど、ビデオだとどうだろう。
アンドレスもアナもフラメンコの枠だけにとらわれない自分の表現を探し続けているアーティストだなあ、と。だから、初めての共演なのに、すごくあっているんだなあ、と。面白い。アナがまだ十代の時に知り合ったそう。2022年にスペイン文化省のプレミオ・ナショナル・デ・ダンサを同時受賞したことが今回一緒にやることになるきっかけといえばきっかけとのこと。
とにかく、期待が高まったことは確かです。
記者会見も貼っておきますね。ダンテの神曲とセビージャらしさ。その人その人の天国の探究。みんな色々考えて作品作っているんだなあ、と。