2024年8月5日月曜日

スペイン国立バレエ『エスタンパ・フラメンカ』第63回カンテ・デ・ラス・ミーナス国際フェスティバル

 14年ぶりの公演だというスペイン国立バレエ団。大人数だし、舞台上に柱があったり、ドン長がなかったりと、劇場とは違うコンディションの中、どうやって公演するんだろう、と思ったのですが、素晴らしい公演でありました。

まずは朝、11時半からルベン・オルモ監督によるマスタークラス。これがまた素晴らしいクラスでした。




エスコビージャに始まって、マルカへ、そしてカディスのブレリアへ。1時間半なので曲を丸々というわけではありませんが、材料はたっぷり。
コロカシオンの大切さ、そのためのバレエの大切さ、アレグリアスという曲の持つ特徴。
彼の踊りの中にマティルデ・コラルのエッセンスがいっぱい詰まってて、クラスの後でそれを言ったら、アレグリアスはマティルデのイメージあるしね、と言っていました。アレグリアスで舞台の上歩くところはカディスで海!と飛び出していくような感じだとか、ソレアやソレア・ポル・ブレリアなどと違ってアレグリアスは止まらず回っていく、とか、ああ確かに、と思わせるような言葉が飛び出して見る専門の私にもすごく勉強になりました。

そして夜11時からの公演はエスタンパ・フラメンカ。2021年4月、コロナ禍でまだ座席を一席おきに座ってた時代に、グラン・アントニオへのオマージュとして発表された作品。といっても、初演から色々変更も加えられより良くなっていました。
オープニングは男性群舞によるマルティネーテ。初演の時の茶色い衣装からグレーの正装トラヘコルトになって、よりエレガントになった感じ。
©︎ Kyoko Shikaze

その後は男女パレハによるソロンゴ。
©︎ Kyoko Shikaze

©︎ Kyoko Shikaze

そして華やかなカラコーレス。昔のフラメンコ組曲のカラコーレスを彷彿とさせるバタとマントン.でも振り付けはより複雑という感じで圧巻。振り付けはマントン使いに定評のあるルベン監督。


©︎ Kyoko Shikaze

初演の時、あの上手な子一体誰?と思った、新人だったノエリア・ラモス。年月経って、風格のようなものも出てきました。ムイ・フラメンカです。
©︎ Kyoko Shikaze
        

そしてシギリージャ。女性と男性4人。かつてのローラ・グレコの曲を思い起こさせます。
ソロを踊っているのはイレーネ・コレア。
©︎ Kyoko Shikaze
©︎ Kyoko Shikaze

そしてルベンがマノロ・マリンに捧げたタラント。マノロのパソがいっぱい出てくるのでなつかしく思う人もいるだろうと思ったことでした。初演の時より、振りも整理されて短くなったかな。
©︎ Kyoko Shikaze
©︎ Kyoko Shikaze

最後はニューヨークでパコ・デ・ルシアへのオマージュとして発表されたアルモライマ。舞台いっぱいの群舞で華やかに。パコの名曲にマリオのパソがすごく良くあっていてムイ・フラメンコ!
©︎ Kyoko Shikaze

これはこの秋の日本公演では上演されませんが、ぜひいつか日本でも上演してほしい。
スペイン国立のフラメンコ、すごくレベルアップしています。秋の日本公演もお楽しみに。

©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas

その後監督は市長とフェスティバル監督を壇上に招き挨拶。
©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas

終演後は会場に続く道に国立バレエの名を刻んだものを披露。
ダンサーたちも衣装のままで参加。
©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas


©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas

と盛りだくさんでありました。

この公演を最後にバレエ団は夏休みに入り、9月に活動再開。10月にはバルセロナのリセウ劇場で公演。その後は日本公演のための稽古に集中し、11月に来日です。 お楽しみに。  


   










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