2026年のビエナルも無事終了。お疲れ様でした。
私も毎日1公演以上は見て全部で36かな? はい、疲れました。劇場まで歩くことも多く、歩数が伸びて健康にもいい? 公演前後に飲むから健康に悪い? 健康的にはプラマイゼロかもだけど,今年のビエナル、見応えのある作品が多く、当たり年だったのではないかと思います。
まずは舞踊、ホセ・マジャ、イサベル・バジョン、オルガ・ペリセ、エステベス&パニョス、ダビ・コリア、アルフォンソ・ロサ。どの作品もレベルが高く、この中で順位をつけるなんてできないほど。個人の身体能力や技術がより高くなっているだけでなく,その技術を使っての表現能力、作品作りの精度がすごい。フラメンコ舞踊、本当にすごいところまで来ています。
イサベル・バジョンは病気をしたこともあり、これが最後の舞台というつもりだったようですが、いえいえ、どうぞこの作品を他の場所でも上演してほしい、というくらい素晴らしいものでした。セビージャの舞踊の粋をぎゅっと凝縮。ダビ・ラゴスら最高の歌い手たちの歌をしっかり聴いて答える。品格のある女性らしい優美な動きと形はいつまでも心に残ります。
| Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León |
ホセ・マジャのフラメンコ性!彼の歌は踊り手の余技なんかではなく歌い手としてもいける、っていうくらいのもの。グイトと一緒に踊っているかのようなソレアでの、重みと深み。
| Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León |
オルガも
| Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León |
エステベス&パニョスも
| Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León |
ダビも
| Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León |
| Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León |
従来の、ストレートなフラメンコ舞踊を一度解体して再度構築しているような気がします。古いものをしっかり学びエッセンスをきちんと表現できるからこそのモダンさというか。型破りは型を学び完璧にできてからとか言われているのに通じる感じといえばお分かりになるでしょうか。フラメンコの色々な決まりから一度外れてスペイン舞踊や現代舞踊などその他の表現を取り入れた上で自分のフラメンコを表現するというか。
で、ベレン・マジャと並んでその先駆者だったイスラエル・ガルバンは、というと、今や、フラメンコの決まりだけではなく、すべてのフラメンコ的なものを排除するフェーズに入ったようで、フラメンコの技術であるサパテアードなどは使うものの、コンパスもあえて避けた、お安い
パフォーマンス的なものだったのは彼のフラメンコを愛した者としては残念でした。
| Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León |
ファルキートも素晴らしい踊り手なので、作品を、自分の踊りをより良く見せる、をコンセプトにして構成演出すればいいのに、あらすじとしての自分語り(何度目?)をショーアップという感じで損をしていると思う。
| Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León |
マヌエル・リニャンはプロデューサー/演出家としても活躍中だけど、自分の演出も上手。ミゲル・ポベダやラファエル・カンパージョ、トマシートら豪華なゲスト陣で、得意のバタ、マントンから始まって最後はマリオへのオマージュと多彩な面を見せた。マリオへのオマージュは、やはり前に進むために過去を振り返る、ということのようにも思えるが、マリオの先取性、現代性を改めて感じさせてくれた。感謝。
| Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León |
カンテはアントニオ・レジェスや
| Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León |
サンドラ・カラスコ&ダビ・デ・アラアルのように、
| Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León |
単なるリサイタルじゃなく、かといって小芝居をすることもなく、舞台への出はけまでちゃんとコントロールした”作品”を作り上げていたのが素晴らしかったです。もちろん、構成演出という包装紙がいいだけでなく、中身が本物だからこそですね。それでいえばエスペランサ・フェルナンデス、ドゥケンデ、ホセ・バレンシアらの『ア・カネラ・イ・クラボ』も良かったです。
また閉幕公演で健在ぶりを印象づけたカルメン・リナーレスも良かったなあ。
あと舞踊伴唱のミゲル・ポベーダとダビ・ラゴスはリサイタルを行う歌い手たちに負けずとも劣らずの素晴らしい歌唱でありました。
1980年代とか,ギターがフラメンコ界全体を引っ張っているという時代もあったんだけど、今業界を引っ張っているのは文句なしにバイレ。で周回遅れでカンテも目覚めてきたという感じなんだけど、作品的にも技術的にも、舞台作品というか見せ方でもギターにはこれといった進化は見られないように思う。ただアレハンドロ・ウルタードや
| Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León |
ダビ・デ・アラアルのように
| Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León |
才能のある若手は台頭してきているし、中堅というよりもはやベテランのディエゴ・デ・モラオや
ダニ・デ・モロンらも |
それぞれに進化した表現で楽しませてくれました。そう,個人の進化はあるんですよ、ただ全体の流れでいうと、マノロ・サンルーカル、セラニート、パコ、パコ・デ・ルシアからヘラルド・ヌニェス,ラファエル・リケーニ(今年の公演も良かった!)、ビセンテ・アミーゴという存在が大きすたのかも。そんな中でもいろんな影響を受けつつも他の誰にも似ていない自分のスタイルを確立しつつあるダビ・デ・アラアルがやっぱり最高でございました。どんな未来が待っているのだろう。
他にも見たくても時間が重なっていてみることが叶わなかった公演がいくつもあるのですが、次回は、なるべく時間が重ならないようにしてもらいたい、と思います。来週中にはヒラルディージョ賞が発表される予定ですが、全部見ることは不可能なフェスティバルで、コンクールのように賞をあげるのはなんかちょっと理解不能な気もします。
ヘレスのフェスティバルの批評家賞は現在、ビジャマルタ劇場公園の中で最も良かったものということなので、全て見ることが可能なので理解できるのですが。
さて2年後は一体どんなフラメンコが待っているのかな。
へれすの