2026年10月6日火曜日

ビエナル総括

 2026年のビエナルも無事終了。お疲れ様でした。

私も毎日1公演以上は見て全部で36かな? はい、疲れました。劇場まで歩くことも多く、歩数が伸びて健康にもいい? 公演前後に飲むから健康に悪い? 健康的にはプラマイゼロかもだけど,今年のビエナル、見応えのある作品が多く、当たり年だったのではないかと思います。

まずは舞踊、ホセ・マジャ、イサベル・バジョン、オルガ・ペリセ、エステベス&パニョス、ダビ・コリア、アルフォンソ・ロサ。どの作品もレベルが高く、この中で順位をつけるなんてできないほど。個人の身体能力や技術がより高くなっているだけでなく,その技術を使っての表現能力、作品作りの精度がすごい。フラメンコ舞踊、本当にすごいところまで来ています。

イサベル・バジョンは病気をしたこともあり、これが最後の舞台というつもりだったようですが、いえいえ、どうぞこの作品を他の場所でも上演してほしい、というくらい素晴らしいものでした。セビージャの舞踊の粋をぎゅっと凝縮。ダビ・ラゴスら最高の歌い手たちの歌をしっかり聴いて答える。品格のある女性らしい優美な動きと形はいつまでも心に残ります。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León


ホセ・マジャのフラメンコ性!彼の歌は踊り手の余技なんかではなく歌い手としてもいける、っていうくらいのもの。グイトと一緒に踊っているかのようなソレアでの、重みと深み。

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オルガも

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エステベス&パニョスも

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ダビも

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アルフォンソも

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従来の、ストレートなフラメンコ舞踊を一度解体して再度構築しているような気がします。古いものをしっかり学びエッセンスをきちんと表現できるからこそのモダンさというか。型破りは型を学び完璧にできてからとか言われているのに通じる感じといえばお分かりになるでしょうか。フラメンコの色々な決まりから一度外れてスペイン舞踊や現代舞踊などその他の表現を取り入れた上で自分のフラメンコを表現するというか。

で、ベレン・マジャと並んでその先駆者だったイスラエル・ガルバンは、というと、今や、フラメンコの決まりだけではなく、すべてのフラメンコ的なものを排除するフェーズに入ったようで、フラメンコの技術であるサパテアードなどは使うものの、コンパスもあえて避けた、お安い
パフォーマンス的なものだったのは彼のフラメンコを愛した者としては残念でした。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

ファルキートも素晴らしい踊り手なので、作品を、自分の踊りをより良く見せる、をコンセプトにして構成演出すればいいのに、あらすじとしての自分語り(何度目?)をショーアップという感じで損をしていると思う。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

マヌエル・リニャンはプロデューサー/演出家としても活躍中だけど、自分の演出も上手。ミゲル・ポベダやラファエル・カンパージョ、トマシートら豪華なゲスト陣で、得意のバタ、マントンから始まって最後はマリオへのオマージュと多彩な面を見せた。マリオへのオマージュは、やはり前に進むために過去を振り返る、ということのようにも思えるが、マリオの先取性、現代性を改めて感じさせてくれた。感謝。

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カンテはアントニオ・レジェスや

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サンドラ・カラスコ&ダビ・デ・アラアルのように、

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

単なるリサイタルじゃなく、かといって小芝居をすることもなく、舞台への出はけまでちゃんとコントロールした”作品”を作り上げていたのが素晴らしかったです。もちろん、構成演出という包装紙がいいだけでなく、中身が本物だからこそですね。それでいえばエスペランサ・フェルナンデス、ドゥケンデ、ホセ・バレンシアらの『ア・カネラ・イ・クラボ』も良かったです。


また閉幕公演で健在ぶりを印象づけたカルメン・リナーレスも良かったなあ。


あと舞踊伴唱のミゲル・ポベーダとダビ・ラゴスはリサイタルを行う歌い手たちに負けずとも劣らずの素晴らしい歌唱でありました。


1980年代とか,ギターがフラメンコ界全体を引っ張っているという時代もあったんだけど、今業界を引っ張っているのは文句なしにバイレ。で周回遅れでカンテも目覚めてきたという感じなんだけど、作品的にも技術的にも、舞台作品というか見せ方でもギターにはこれといった進化は見られないように思う。ただアレハンドロ・ウルタードや

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ダビ・デ・アラアルのように

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

才能のある若手は台頭してきているし、中堅というよりもはやベテランのディエゴ・デ・モラオや


ダニ・デ・モロンらも


それぞれに進化した表現で楽しませてくれました。そう,個人の進化はあるんですよ、ただ全体の流れでいうと、マノロ・サンルーカル、セラニート、パコ、パコ・デ・ルシアからヘラルド・ヌニェス,ラファエル・リケーニ(今年の公演も良かった!)、ビセンテ・アミーゴという存在が大きすたのかも。そんな中でもいろんな影響を受けつつも他の誰にも似ていない自分のスタイルを確立しつつあるダビ・デ・アラアルがやっぱり最高でございました。どんな未来が待っているのだろう。

他にも見たくても時間が重なっていてみることが叶わなかった公演がいくつもあるのですが、次回は、なるべく時間が重ならないようにしてもらいたい、と思います。来週中にはヒラルディージョ賞が発表される予定ですが、全部見ることは不可能なフェスティバルで、コンクールのように賞をあげるのはなんかちょっと理解不能な気もします。

ヘレスのフェスティバルの批評家賞は現在、ビジャマルタ劇場公園の中で最も良かったものということなので、全て見ることが可能なので理解できるのですが。

さて2年後は一体どんなフラメンコが待っているのかな。


へれすの


2026年10月4日日曜日

カルメン・リナーレス『ペルラス・ミジャレス』

 カルメン・リナーレスが1996年に発表した『アントロヒア・デ・ラ・ムヘル・エン・エル・カンテ』は、タイトル通り、カンテにおける女性、すなわち女性の歌い手たちの歴史に残る歌唱をカルメンが再現した、CD2枚組の名盤。ペリーコ・デル・ルナールの『アントロヒア・デ・カンテ・フラメンコ』同様、カンテのお手本として後進たちに親しまれてきた。そのアルバム発表30周年を記念したコンサートがビエナル閉幕公演となりました。

1951年生まれというから75歳。さすがに30年前と同じようにはいかないけれど、豊かな知識と経験に裏打ちされた歌唱は、ゲストのマリナ・エレディアが言うように”ダマ・デル・カンテ”カンテの貴婦人の名にふさわしい品格。


Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León
 

96年のビエナルの時と同じように、ファンダンゴ・デ・ルセーナとロンデーニャで始まる。96年はパコ・コルテス、ミゲル・アンヘル・コルテス兄弟の伴奏だったけれど、今回はパブロ・スアレスのピアノとサルバドール・グティエレスの伴奏で。その後はアレグリアス/カンティーニャス、ティエントス、バンベーラ/ファンダンゴ・デ・ウエルバ(最後に歌ったファンダンゴが素晴らしかった)とつづき、ピアノとギターで、パコ・デ・ルシアの『愛のうた』『シルヤブ』の演奏があり(なぜこの選曲?)、後半はゲストと。ロシオ・ルナとはグラナイーナ、マラゲーニャ、タランタ。マリア・テレモートとはソレア・ポル・ブレリア、マリナ・エレディアとはタンゴ。シギリージャはラファエラ・カラスコの、ピアノ伴奏でのサパテアードのイントロで始まり、歌に入ると顔つきまでシギリージャになるのがすごい。いつもながらにかたちの美しさは屈指。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

そしてブレリアではロシオ、マリア、マリナと次々に歌い、コーラスのアナマリとロサリオも歌い、ラファエラが踊る。カルメンの真紅の衣装は素敵だったけど他はみんなバラバラで、ガラ感もなかったのはちょっと残念。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

最後、アントロヒアの次のアルバムに収録されたトナをカルメンが歌う。ビエナルの生みの親で初代監督ホセ・ルイス・オルティス・ヌエボの作。心に沁みます。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León


その歌詞がいいのでコピペして訳も置いときます。

De vez en cuando la 'vía'
Parece una fantasía, y
Cuando menos lo esperas te da
Lo que más querías y aunque luego se la lleva
Pero no te desesperes, mira
Que ella es así
Mira que cosa es la 'vía'
La 'vía'
Tal como es
Un ramito de ambrosía y en el huerto de la
La hiel
La 'vía' que conocemos
Ay
La 'vía' que tanto amamos
Con sus horitas de dulce
Y sus finales amargos
Ay
時に人生は/夢のようで/思いがけない時に/一番欲しかったものをくれる/その後奪い去るけれど
でも絶望しないで/そんなもの/人生ってものは/人生は/そんなもの/不老不死の花束と苦しみの畑
私たちが知ってる人生は/こんなにも愛している人生は/甘い時間と/苦い最後



ちなみにこちらが96年のプログラム。出演者たちのサイン入っていますが、ご参考までに。


2026年10月3日土曜日

アルフォンソ・ロサ「ヘスト・ミニモ』、サンドラ・カラスコ&ダビ・デ・アラアル『ポエマ・デ・ラ・リベルタ』

 なんてすごい贅沢な夜だったことだろう。20時からはロペ・デ・ベガ劇場でアルフォンソ、22時半からはサンドラとダビ。どちらの公演も今年のビエナル、どころか近年屈指の公演で身体が震えるほどだった。

まずはアルフォンソ。先日のエステベス&パニョスやダビ・コリア同様、とにかくすごい身体能力で踊り続ける彼らに圧倒され、終演後はくらっとするほど。

黒いシャツにパンタロン。バックも黒。床に置かれた小さな灯りに照らされて踊り始めるとやがてその光が上がっていき、音楽のない中踊るアルフォンソとカレン・ルゴ、アゲダ・サアベドラとジョエル・バルガス。舞台の四隅に下がる赤いロープ。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

4人の踊り手が同じ振りで踊っているかと思うと微妙にタイミングをずらしたり途中からその振りを引き継いでいったりと、ソロとも群舞ともいえない形で踊り続ける。靴音や体を叩く音が音楽。フラメンコの伝統的、典型的なかたちや動きをめちゃくちゃゆっくりすることでコンテンポラリー・ダンス度が一気にアップしたりするのも面白い。パズルのように踊る4人。アントニオ・プルガがトナを歌って場に入り、喧嘩をするように踊り、イスマエル・エル・ボラも歌い、リズムで遊ぶ。床をする音で音楽を作りギターが入る。


ファンダンゴからファルーカへ。アルフォンソのソロ。絶品。グイトもマノレーテもペラオもラファエル・デ・コルドバも…フラメンコ男性舞踊手たちのエキスがぎゅっと濃縮されている。真似ではなくそのふりをただなぞっているのではなく、彼らの哲学みたいなものを引き継いで踊っているという感じ。姿勢、姿の良さ、腕や手の位置も五ミリずれたら違うという完璧な位置に絶妙に入る。わお!

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

悶絶してたら続いてソロでソロンゴを踊ったカレン・ルゴがまた凄すぎて比ええ、となる。体幹が凄すぎる。え、その姿勢からそこへ、っていうような動きはコンテンポラリーぽいんだけどでも同時にめちゃフラメンコで最高。

ブレリア・アロマンサーダ?を踊ったアゲダも先日のフアン・トマスとの公演の時よりもずっとよかった。いやこんなに踊れる人だったのねと自らの不明を恥じる。

ギタリストが踊り手に混じって前に出てきて、踊り手たちがギターを弾いているポーズで踊り、その後は音をそのまま形や動きにしたかのように踊る。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León


ジョエルのタラントはパリージョで、カスタネットを使うのはチンチンを使って踊ったフェルナンダ・ロメーロを思い起こさせるし、カルメン・アマジャへのオマージュ風の振りもあり、これもまたすごかった。ジョエルは先日のエステベス&パーニョス『ドンセジャス』にも出演していたけれど、観るたびに成長を感じさせる。若いって素晴らしい。
Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León
そこにアゲダも絡んで美しいパレハを見せる。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

そこからのブレリアがまためちゃくちゃすごくてここで終わりかと思いきや、また最初のパターンに戻る。個人的にはブレリアで終わって欲しかった気もするけど、車輪が一回りした、という感じなのだろう。先日のエステベス&パニョスの公演も最初に戻るという形で終わったよね。

興奮冷めやらず友達と感想語り合いながらセントラル劇場に向かう。

そのセントラル劇場で観た公演をどう表現したらいいのだろう。ひたすら美しく愛に溢れていて、過去を振り返り未来を見つめ…芝居の助けを借りる必要もなく、美しい照明ときちんとした音響(耳栓しないですんだ初めての公演かも。で耳栓無くした😢)で、しっかりカンテを、ギターを、伴奏伴唱者たちのアルテを満喫。



Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León


幕が開くと真ん中にダビがいてギターを弾きはじめる。その繊細で優しい響きに早くも涙。いやあ、なんでこんな風に優しい音が出るのでしょう。そこへ上手のテーブルにつくパルマとコーラスのホスエ・セグラ、ベルナルド・ミランダ、ロス・メジ、パーカッションのリト・マネス、下手のバースツール(というの?背の高い椅子)に座るフアンとベルナルド、パリージャ兄弟も登場。サンドラの後ろに踊り手のホセ・マルドナードが立って帽子を被せる。コルドベスはぺぺ・マルチェーナのトレードマークでもある。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León



ぺぺ・マルチェーナとその時代をテーマに、昔のSPレコードみたいに曲名を言ってから歌う形で、私のようにようにマルチェーナに詳しくない人にも親しみやすくしてくれているのもありがたい。それがレコード収録そのままの形なのか、サンドラ流に変えているのかはわからない。でもその歌い回しの絶妙さに舌を巻く。音程の真ん中を射抜いていく形。完璧。その歌いっぷりに酔い、ダビの決して背中を押さず寄り添い、時に導く伴奏。愛だね。ひたすら美しい音楽。


Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

コーラスもただのコーラスではなく、サンドラと絡み、伴唱するし、最後は一人ずつ素晴らしいファンダンゴを歌ってくれた。

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フアンのフルートとベルナルドのバイオリンだけなのに、オーケストラであるかのように厚みが出る。


Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

そしてホセ・マルドナード、セビジャーナスやソロンゴを踊る(これまだ体の使い方とか感覚とか最高!)だけじゃなく、その場で根っこと鳩の絵、そして二人のジャケットに目を描き上げる多才さ。

全員総立ちなのも納得。いいもの見るとエネルギーが補充されて元気になるね。幸せになるね。


今年のビエナル、なんかすごい公演多くないですか?



2026年10月2日金曜日

マリナ・エレディア『エン・リベルタ、エル・カミノ・デ・ロス・ヒターノス』、パリージャ兄弟『エレンシア』


Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León 


グラナダ出身の歌い手マリナは、ファリャ『恋は魔術師』などで内外のオーケストラと共演も多く、そんなとこから始まった企画で、ヒターノたちの歴史をうたうもの。プログラムに記載はないけれど作曲編曲はホセ・ケベド“ボラ”とジョアン・アルベルト・アマルゴス。数多くのフラメンコたちのオーケストレーションをも手がけている人。

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オーケストラをフルに使って厚みのある音楽を作り出し、それに負けない存在感のマリナ。

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口跡もよく、ちゃんと歌詞が聞こえてくる。ただ、マイクは使っているもののオーケストラに対し音量が低めだったのは残念。それでもアレグリアス、甘やかなナナ、ブレリア、タンゴとしっかりオケでのフラメンコを堪能させてくれた。プログラムに書いていない休憩を挟んで二部はオーケストラが去り(だから休憩が必要だったのね)、最初は俳優が登場し、一部の歌詞と同じような内容を語り、マリナの乳で歌い手のハイメ・パロンがトナを歌う。下手からエバが登場、舞踏というか、とにかく超ゆっくり、上手へと歩みを進める。舞台中央のマリナが歌いかけ、ファルーカ。ざんばら髪で、タフタ地のような張りのあるバタ・デ・コーラ、顔がほぼ見えない照明の暗さもあいまっておどろどろしい。ファルーカぽいブラソとかもみせるけど、女性らしい動きもあったりで不思議な感じでございました。

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その後、エセキエル・モントージャとのデュオでフラメンキート、すなわち伝統的なフラメンコ曲じゃない、ポップ風フラメンコ風曲を歌い、そこですでに21時45分となり、私は退出したけど最後はルンバだったそう。

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タクシーが案の定捕まらず徒歩35分でアラメーダ劇場到着。パケーラの伴奏で来日もしたパリージャ・デ・ヘレスの兄のギタリスト、フアン・パリージャの息子でフルート奏者のフアンとバイオリン奏者のベルナルド。アントニオ・カナーレスやホアキン・コルテスらの舞台に欠かせなかった彼らの音楽が初めて主役となってビエナル登場。フアンはコルテスの音楽監督だったけど、他にもマノロ・サンルーカルカル、カルメン・リナーレスらとも共演している超実力派。今年の2月、ヘレスのフェスティバル直前にヘレスで行われたコンサートもめちゃよかったので期待大。

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オープニングはモライート・チーコに捧げたブレリア。フルートかっこいい。次はゲストのルビオ・デ・プルーナとタンゴ。ルビオは声がめっちゃフラメンコ。ギターはクーロ・カラスコ。


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そしてソレアはホセ・エル・ガトのキーボードからはじまる。かっこいい。フルートのソロが入り、バイオリンが歌い、ギターのファルセータに続いてルビオ。良き。ベルナルドのタンギージョ。

『シンコ・トレロス』のメロディが始まりディエゴ・カラスコ登場。ディエゴは歌わず朗唱。そこから『アルフィレレ・デ・コローレス』へ。フィエスタ番長健在。


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アレグリアスはフアンの息子でエレキギターのマヌのソロなどもあり、そのマヌのソロで始まるファルーカは速度の変化に加え、メロディにどこかピアソラ風味もあって面白い。フアンがひいおじいさんフアニチ・マニヘーロのカンテとサビカスやアルトゥロ・パボンのファルセータが入っているというけど「ララ(おかしな)」と紹介したシギリージャにはルビオとクーロも再び加わる。確かに伝統的な重厚で厳格なシギリージャではなく超速でライトな面もあるのだけどルビオの響きが伝統の中へと引き戻していく感じ。フアンは舞踊伴奏をすることも多いのでそういったものが反映されているのだろうな。

ジャズのテイクファイブのブレリア・バージョンがめっちゃかっこよくて、そこにフアンのフルートでカルタヘネーラが入ってくるのとか、最高でございました。

最後はディエゴ・カラスコも舞台に上がりブレリア。ディエゴの『ホセ・モンヘ・クルス』で盛り上がったところにディエゴが「20歳になったばかり」とカレーテを呼び込んで、おんとし86歳、でも衰え知らずの御大が踊る。アルテ!

アルテで舞台がいっぱいになる。フラメンコ楽しい!

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

締まりかかった幕を開けて踊り続けようとするカレーテ。いやあ、楽しかったです。

でも作品としてあちこちで上演するためにはもう少ししっかりした構成が必要かも。中身は悪くないのに見せ方でとっ散らかってしまった感。音響もひどかったしね。







2026年10月1日木曜日

マイテ・マルティン『アルケロヒア・デ・ロ・プーロ』

 20時からロペ・デ・ベガでマイテ・マルティンのリサイタル。

ギターのホセ・ガルベスと舞台には二人きり。昔ながらのスタイルで、マイテの繊細な熱唱を堪能できるものと思ってた。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

残念ながらマイテも人間だから、調子の悪い日もあるのだろう。でもそれにしても、で、ある。声が出てない。写真を見ていただけるとお分かりのようにずっと3階席に向けて歌っているかのよう。普段はこんな風に歌わない。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

マイテといえば完璧な音程で絶妙な節まわしを繊細に聴かせる人って思っていて、それを聴きにいったつもりが、音程が以前の彼女とは別人のように不安定で、いや、それでも多くの歌い手たちの中ではあっている方と思う人もいるかもだけれど、メロディも微妙に違ったり、レトラが聞き取りにくかったり、っていう感じで、またタンゴやブレリアも非常に間延びしたテンポで、キレがない。どの曲を歌っても同じ調子で、曲の性質、たとえばシギリージャの厳格さやブレリアの熱、カンティーニャの軽快さなどが見えてこない。

また伴奏もどれだけ音を少なくするかに挑戦しているのですか?ってくらい弾かない。私は音詰め込む演奏よりは余白を残した演奏が好みとはいえ、物には限度っていうものがある。伴奏は歌をサポートするものだけど、歌に従うだけじゃなく時にリードするものって思うんだけど、彼は従うばかりで導くことはない。マイテはギターも弾く人だから、彼女がそうさせているのだろうとは思うけど。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

というわけで美しい劇場で悶々とした1時間半?でございました。