ヘレスに来て早一週間。あっという間だったような長かったような。でも印象に残っている公演が例年より少ないかな、と思いながら19時サラ・パウルへ。今回のフェスティバルは例年より売り切れの公演が少ないのだけれど、真っ先に売り切れとなったのがこの公演。マルコ・フローレスとオルガ・ペリセが出演する「パソ・ア・ドス」。詩人でフラメンコ評論家でもあるホセ・マリア・ベラスケス・ガステルがビルバオでの公演のために企画したもので、二人のパソ・ア・ドス、フランス語でいうとパ・ド・ドゥですね、を中心に構成されている。
昨年はいずれも自らの舞踊団を率いてビジャマルタ劇場で公演をし好評だった二人だけに人気も高く、入り口には多くの切符を求める人の姿があった。ま、たしかにこの二人ならビジャマルタ劇場でやってもそこそこの人気だったことでしょう。
オープニングはカーニャ。長年一緒に踊っている二人だけにいきがあっているけど、マルコの方が女性的曲線的にみえるのはバランス的にどうなんだろう。オルガが男性的かというとそんなわけもないのだけれど、マルコのブラソは円を描くようにまるくやわらかで、ふとみせる仕草もたおやかで、すごく女性的だ。だから凛としたたたずまいのオルガが男性的にみえてしまうのだろう。
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© Festival de Jerez/Javier Fergo
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ベラスケス・ガステルが舞台に登場しナレーション。この人は歴史的フラメンコ番組「リト・イ・ヘオグラフィア・デ・フラメンコ(フラメンコの祭儀と地理)」でフラメンコたちと会話したりしてた進行役をつとめた人で、この作品でも同じ役割。たしかにこういう構成は大劇場にはちょっとむかないかもしれない。彼がパソ・ア・ドスの歴史を振り返り、ピラール・ロペスとアレハンドロ・ベガのカーニャの話をすると、二人が再び登場してマントンのカーニャを踊る。
ベラスケス・ガステルがアントニオ・ガデスとクリスティーナ・オヨスの話をすると、今度はファルーカとティエントス。
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© Festival de Jerez/Javier Fergo
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その後二人もベラスケス・ガステルと舞台に登場。公開インタビューとなります。
小劇場ならではの趣向かも。
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© Festival de Jerez/Javier Fergo
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ここでマルコが「フラメンコは真実、誠実であること。自分はひとつの様式に縛られるのではなく自分を自分のままだしていくのがプーロだ」という旨の話をしたのが印象的。流行の、ありのままの、ですね。自分の中の女性を解放することが彼にとってのフラメンコであり、だから男性的といわれる形に縛られたくないのだ、と読むのは深読みでしょうか。偏見でしょうか。たしかに昔は男性のものといわれた超絶サパテアードを女性もくりだす今だから、女性的な腕の動きを男性がするのもありかもしれない。ユニセックスなフラメンコなのかもしれない。どうしても違和感をもってしまう私は古い人間なのかもしれない。でももうこれは趣味の問題でありまして、マルコはテクニックもあるし、その気になれば男性的な振付けでだって踊れる人なのでしょうが、彼はそれよりも女性的に踊るのをよしとしたわけで、それをどういわれようが関係ない、ってことなんでしょう。で、個人的に私はそのスタイルがあまり好みではないというだけのこと。
マルコの赤い衣装でのアレグリアスもスカートがみえてくるような振り。
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© Festival de Jerez/Javier Fergo
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メルセデス・コルテスのマラゲーニャに続くアバンドラオ。オルガのカスタネットのうまいこと!民族舞踊やエスクエラ・ボレーラ的な動きも非常に上手で、彼女から目が離せませんでした。彼女のボレーラとかみてみたいなあ。できればナニ・パーニョスとのパレハで。
ちなみにマルコはカスタネットなしです。
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© Festival de Jerez/Javier Fergo
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とここまでで8時15分。9時にはビジャマルタ劇場での公演もあり、私はここで客席をあとにしました。基本、19時からの公演は1時間から1時間10分のはずなのですが、こうして延びると困ります。21時からの公演の前にちょっとなにか食べときたいしね。
そのあとソレア・アポラ、カラコーレスと続いたようで、終わったのは30分をまわっていたとか。
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