8月も終わりということで、ビエナル夏の陣の全体的な感想をば。
この8月の週末にサン・ヘロニモ修道院庭園で行われた公演は、9月5日からのものとは別に、伝統一辺倒ではないフラメンコを集めたものでした。
フラメンコには日本の能や歌舞伎ほど長い歴史はありません。およそ200年あまりで、ジャズよりちょっと古く、クラシックバレエよりも新しい。写真や鉄道と同じくらい、という感じです。いわばモダンアート。近代のものなのです。そして時代の空気を呼吸して姿も変わってきました。
パコ・デ ・ルシアによって見出され、フラメンコに加わったペルー生まれの楽器カホンは今や、フラメンコ以外でも使われるくらいポピュラーになったし、ピアノやバイオリン、フルート、サックス…ギター以外のいろんな楽器で演奏されることも、もう珍しくありません。
でね、コンピューターももうその一つになっているんだなあ、と思ったことであります。
コンピューターを使った音作り、ビデオとの融合。そんなものも既にフラメンコの表現の一つなのですね。
伝統的、古典的なものも、新しいものもどちらでも、いいものはいいし、よくないものはよくない。新しい試みをするから悪いというわけではなく、伝統をなぞるからいいというわけでもない。新しいからいいというわけでも古いから悪いというものでもない。
今回で言えば、アルトマティコとロス・ボルブレ(と彼らが参加したラウル・カンティサノ)のアプローチは面白かったけど、掘り下げていないカリファト3/4はつまらなかった。自分の音楽をやっていくうちになんか新しくなってる、というリカルド・モレーノも楽しかった。アンダルシア・ロックの草創期を駆け抜け75歳いまだ現役のグアルベルトには敬意しかない。
結局、愛と敬意。そして自分で探求していく力。それが大切。これって伝統的な形のフラメンコをやる人でも変わらない、という結論。
ビエナルのおかげで、これまであまり縁がなかった新しいアプローチを知ったのは、本当に良かったと思います。感謝!
さて今週末からは劇場公演が始まります。楽しみ!
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