2021年4月27日火曜日

エスメラルダ・ランカピーノ シングル発表

エスメラルダ・ランカピーノはランカピーノの孫の歌い手。

そのシングルがspotifyやamazonで配信開始されたことのプレゼンテーション。

シングルは若い子が好きそうなルンバ↓なのですが、


このプレゼンテーションではタンゴとブレリアを、パコ・レオンのギターとパルマ2人、カホンという構成で。

これがもうすごかった! まずはタンゴをひとくさり。


ね、ね、ね。

でお次はブレリア。


ナチュラルで、カマロンが歌っていた歌詞を歌っても、そのままコピーしてるのではなく、歌詞に彼女なりのセンティードを添えて歌っているのであります。音程、リズムとかいうことないし、これで14歳って、どんだけすごいん。

本人、踊る方が好きだそうですが。いやあ、フラメンコの未来は明るいねえ。

ちなみに闘牛士、クーロ・ロメーロ(写真の白髪の紳士)やフアニート・ビジャールが来ていて、ブレリアのクーロを歌った歌詞を本人に歌い掛けるという。。。14歳。



おじいちゃんは前日にワクチン接種だったとかで来れませんでしたが、おじさんがきてました。おじさんも上手いし、子供の頃から歌っていたのも一緒だけどね。すごいファミリーだなあ、もう。

でもこれで私はエネルギーチャージ終了。しばらく元気でいれそうです。

いいフラメンコは元気を、生きる力をくれますね。




ヒラルディージョ賞授賞式/パウラ・コミトレ

4月25日、ロペ・デ・ベガ劇場で昨年のビエナルのヒラルディージョ賞の授賞式が行われました。

元々はプロのためのコンクールが行われ、その勝者がもらえるのがヒラルディージョ賞でした。1980年から1990年までで、カリスト・サンチェス、マリオ・マジャ、マノロ・フランコ、エル・チョコラーテ、ハビエル・バロン、ニーニョ・デ・プーラがその受賞者。

その後、審査員による選出になりました。

昨年のビエナルの受賞者は
カンテがペドロ“エル・グラナイーノ”、バイレはアンドレス・マリン、ギターはアルフレド・ラゴス、楽器はディエゴ・ビジェーガス、作品賞「ファンダンゴ!」、新人賞パウラ・コミトレ、伴唱ダビ・ラゴス、マエステリア賞エル・ペレ、魔法の瞬間マリア・モレーノ、セビージャ市賞ラファエル・リケーニ。

順番に呼ばれて、舞台の上で市や州や後援企業などの偉いさんから像を渡され、簡単に挨拶をしていきます。
市長と州(アニマル柄の人)や市の文化担当官など偉いさんが前の真ん中

皆、家族や共演者、スタッフに捧げます、などと挨拶していたのですが、アルフレドが、
「僕にギターを持たせたアルバロおじさんに」と言った時は泣きそうになりました。アルバロおじさん、アギラール・デ・ヘレスさんもきっと天国で喜んでいることでしょう。



セビージャ市賞のリケーニは市長から受け取りました

 授賞式の後、新人賞のパウラ・コミトレが、1時間弱の、この日のために作ったという作品を上演。

賞の対象になった作品の一つで共演したアルトマティコの電子音楽で裾に鈴がついたバタ・デ・コーラの巻きスカートで踊るのに始まり、ミゲル・オルテガやアントニオ・カンポスの歌、フアン・カンパージョのギター、パコ・ベガのパーカッション。

タラント、マリアーナ…

きちんとしたテクニックがあってこその、ため息が出るほどの美しい形。いやこの形や動きを美しいと感じて、それを実現できる力。バタのコントロールもさすがというしかない。音との関係もバランスが良くて、気持ちがいい。もっと観ていたい、という感じ。伝統を踏まえ、今の時代の感覚と、これまたバランスよく組み合わさっているし、いやあ、もっと色々観たいです。ストレートなフラメンコも、凝った構成のものも。



2021年4月25日日曜日

ラファエル・リケーニ『セビージャ組曲』

ラファエル・リケーニとセビージャ交響楽団の共演『セビージャ組曲』はマエストランサ劇場で。

元々はビエナルで初演されるはずだったのが、感染拡大でリハーサルができず、日程変更で4月になったという次第。ビエナルにはロシオ・モリーナ、エストレージャ・モレンテと共演して出演して、ヒラルディージョ賞の特別賞、セビージャ市賞を受賞しています。

『セビージャ組曲』というと、アントニオ・ナハーロ振付のスペイン国立バレエの作品を思い出す人が多いと思いますが、そう、あの音楽です。あの音楽のオリジナル。1993年にクラシックギタリスト、ホセ・マリア・ガジャルドとの共演で録音しています。かなりクラシックに近い作品なのですが、聴いたことがある人は少ないかも? それをもっとわかりやすい形というか、ポピュラーな感じにしたのが国立版の編曲。(一部、ミゲル・リベラとディエゴ・ロサーダのオリジナルや編曲あり)。で、今回はオリジナルから、国立バレエが昨年初演した作品『インボカシオン・ボレーラ』『ハウレーニャ』の作曲を手がけているマヌエル・ブストがオーケストレーションと指揮を手がけての共演。

最初はオーケストラの弦楽だけで、トゥリーナの『闘牛士の祈り』(これも昔、国立で振り付けされてましたな。赤い衣装でアントニオ・マルケスが踊っていた)。ああ、オリジナルでも国立版でも「トゥリーナ」と歌いかけているけれど、確かに、メロディラインとか通じるところありますね。ファリャ、アルベニス、グラナドスらと同じ国民楽派。そしてリケーニも、その流れを組んだ作曲家なのだなあ、と感じさせてくれたのがオーケストラとの共演。

チェロやコントラバスが楽器の胴を叩き、バイオリンは足を鳴らす、など、フラメンコぽい?試みもあって面白かったし、パーカッションがいいところで決まった時の爽快感もありました。ドラマチックな彼のメロディーがオーケストラで奏でられる感動は確かにありました。

でも、正直、93年の録音が完璧。



揺れる個人のテンポとオーケストラ合わせるのは大変。指揮もうまくやってたと思います。壮大なオーケストレーションも悪くない。それでも、なのです。バランスかなあ。


最後、ソレアとグラナイーナをソロで演奏。その後、再びオケとアルバム『マリア・ルイサ公園』の中の曲、『コヒエンド・ロサス』バラを摘みながら、を演奏。たくさん聴いていると一番いい時と比べちゃうので申し訳ない。去年のヘレスでの公演が最高だったなあ。


公演の様子


こちらはオリジナルのCD、音だけです。一曲ずつですが、全部アップされてるので聴いてみてくださいませ。


そして国立版のセビリア組曲





2021年4月24日土曜日

アンドレス・マリン『ハルディン・インプーロ』

舞踊部門のヒラルディージョ賞を受賞したアンドレス・マリンの作品。ビエナルでは修道院の1日のお祈りの時間に合わせて踊る、という意欲作を発表。美術館にそのビデオが収蔵されるそうで、踊る場所や衣装なども含め、美術作品的作品でありました。

Bienal-Claudia Ruiz


今回の作品はもともと、パリのピカソ美術館からの依頼で作られた作品『カルタ・ブランカ』が進化した作品だそうで、内容的には『カルタ・ブランカ』とほぼ重なります。

2015年にセビージャで上演された時に書いたルポがこちらにありますが、出演者はホセ・バレンシアがトレメンディータに変わっただけで、あとは一緒。すなわち、歌にトレメンディータとセグンド・ファルコン、ギターにサルバドール・グティエレス、ダニエル・スアレスのパーカッション/ドラムス、ハビエル・トリゴのクラリネット、ラウル・カンティサーノのサンフォニャとエレキギターという構成。

客席から登場した歌い手二人が舞台の下で歌い始めるオープニングは確かに前回と違うような。コルドバ帽被って踊るアンドレス。下を向いた時の丸い形が印象的。エレキとドラムの音が大きすぎて歌がよく聞こえないのはちょっと残念。

プレゴン、タランタや牧神の午後、仮面つけてのファルーカはピカソへのオマージュだそう。ルンバ、シギリージャ、カーニャなど、さまざまな曲で踊り続けます。それぞれのつながりはないようで、スケッチ集というか、美術館でいろんな絵が並んでいる感じなのかな。

体にムートンの敷物みたいなのとカウベルをつけるのは、同じような格好で練り歩くお祭りにインスパイアされたのでしょう。面白い。そういえば、昔、鐘をテーマにした作品もやっていたよね、とか思い出します。

アンドレスは耳がとてもよくて、コンパスというか、リズムがすごくて、彼の靴音を聴いているのは心地よい。それは前回といっしょ。でも首と胃を突き出すような姿勢が個人的にはどうも受け入れられなく拒否反応しちゃうんだよね。それはもう私のフェティシズム?というか、マニアックな姿勢への執着の現れと言えるかもなんだけど、うーん。

フラメンコ舞踊で、リズムが大切なのはもちろんなんだけど、踊りだから、やはり見た目というのもあるわけで。姿勢、形の美しさ、ってのも大切だと思うんだけど、いや、あれが彼の姿勢であり、個性なのかもしれないとも思うのではあるけど。

前回見た時は結構好きだったはずなんだけど、残念ながら今回はうーん。


ずーっと考えていました。一見、同じようなことをしてるのに、なぜイスラエルにはときめいて、彼にはときめかないのか。ほんとなぜなんだろう。


フラメンコを本当によく知っているし、フラメンコを心から愛しているし、舞台で歌ったソレアもとても良かったし、人柄だっていいし、色々と先鋭的な試みを意欲的にしているし、評価されるべき人だと思うし、今回のヒラルディージョ賞もよかったなあ、と思う。だけど。いやね、単に私の好みの問題といえばそれだけなのだけど、私に見えてない彼の長所があるような気がして、ぜひ、教えて欲しいと心から思うのであります。なんか悔しいのよ、見えてないとしたら。



2021年4月22日木曜日

グラナダのフェスティバル

毎年恒例、グラナダの夏の風物詩、グラナダ・フェスティバルが今年も開催されます。

メインはクラシックのコンサートですが、フラメンコも例年通りいくつかの公演が。

アンダルシア舞踊団が2演目公演します。最初はグラン・アントニオ生誕100周年記念作品。もう一つはロルカの最初の舞台作品をベースにした作品。どちらも初演なので観に行けるといいなあ。

他にもカンタオーラたちの舞台や、ディエゴ・シガーラもアルハンブラ内の舞台に立ちます。またサクロモンテを上がったところにある、アルハンブラを見渡すチュンベーラでも公演があるので、フラメンコ・ファンも満足いくフェスティバルではないかと。

なお、アンダルシア舞踊団監督のウルスラ・ロペスやラファエル・リケーニのクルシージョもありますよ。


◇第70回グラナダ・フェスティバル

6/17(木)~7/18(日)

※フラメンコ関係公演

6/18(金)21時30分

[出]〈c〉アルヘンティーナ、〈g〉ホセ・ケベド“ボリータ”

[場]グラナダ 市立アウディトリオ・ラ・チュンベーラ

[料]18、25ユーロ

6/23(水)、24(木)22時30分『アントニオ、アルテの100年』

[出]〈b〉アンダルシア舞踊団、ゲスト〈c〉マリア・マリン

[場]グラナダ プラサ・デ・ロス・アルヒベス

[料]30ユーロ

6/25(金)20時

[出]〈b〉グラナダ舞踊専門学院『レイナ・ソフィア」生徒

[場]グラナダ アルハンブラ劇場

6/25(金)21時30分

[出]〈c〉パンセキート、〈g〉ミゲル・サラド

[場]グラナダ 市立アウディトリオ・ラ・チュンベーラ

[料]18、25ユーロ

7/2(金)21時30分

[出]〈c〉ロシオ・マルケス、〈g〉ミゲル・アンヘル・コルテス

[場]グラナダ 市立アウディトリオ・ラ・チュンベーラ

[料]18、25ユーロ

7/6(火)22時30分『アンダルシア・フラメンカ’カンテス・デ・ムヘル』

[出]〈c〉マリア・バルガス、フアナ・ラ・デル・ピパ、エルミニア・ボルハ、ドローレス・アグヘータス、マリ・ペーニャ、ラ・ニトラ、チョンチ・エレディア、ロシオ・セグーラ、アナベル・バレンシア、レラ・ソト、〈g〉パコ・コルテス、アントニオ・マレーナ、マヌエル・パリージャ、カルロス・デ・ハコバ

[場]グラナダ アルハンブラ内ヘネラリフェ劇場

[料]20~40ユーロ

7/8(木)22時30分『ドセ・クエルダス、マノ・ア・マノ』

[出]〈g〉ラファエル・リケーニ、ミゲル・アンヘル・コルテス

[場]グラナダ パラシオ・デ・ロス・コルドバ

[料]30ユーロ

7/9(金)21時30分

[出]〈c〉カンカニージャ・デ・マラガ、ジェジェ・デ・カディス、グアディアナ、〈g〉チャパロ・デ・マラガ

[場]グラナダ 市立アウディトリオ・ラ・チュンベーラ

[料]18、25ユーロ

7/10(土)22時30分『トランス』

[出]〈fl〉ホルヘ・パルド・クアルテット

[場]グラナダ コラル・デル・カルボン

[料]25ユーロ

7/14(金)21時30分

[出]〈c〉ディエゴ・エル・シガーラ、〈piano〉ハイメ・カラブ“フミトゥス”、〈g〉アントニオ・レイ

[場]グラナダ アルハンブラ内カルロス5世宮殿

[料]25~50ユーロ

7/16(金)21時30分

[出]〈c〉ラ・マカニータ、〈g〉マヌエル・バレンシア

[場]グラナダ 市立アウディトリオ・ラ・チュンベーラ

[料]18、25ユーロ

7/18(日)22時30分『エル・マレフィシオ・デ・ラ・マリポサ』

[出]〈b〉アンダルシア舞踊団、ゲスト〈c〉マヌエル・ロンボ、〈g〉アルフレド・ラゴスほか

[場]グラナダ アルハンブラ内ヘネラリフェ劇場

[料]20~40ユーロ

[問]https://granadafestival.org


◇第70回グラナダ・フェスティバル/フラメンコ関連のクルシージョ

6/25(金)11時~14時

[教]〈b〉ウルスラ・ロペス

[内容]対象/現役ダンサー、高等舞踊学院もしくは専門舞踊学院の最終学年生

[料]50ユーロ

[場]グラナダ 舞踊学院

7/9(金)~11(日)

[教]〈g〉ラファエル・リケーニ

[内容]10時~14時、17時~19時、計18時間、対象はプロのギタリスト、高等音楽院卒業者か最終学年生、定員9名

[料]230ユーロ、音楽学院生、大学生は200ユーロ、聴講のみ100ユーロ

[場]グラナダ マヌエル・デ・ファリャ音楽堂

[問]https://granadafestival.org

2021年4月21日水曜日

アルフレド・ラゴス『ソラ・ギターラ』

昨年のビエナルのギター部門でヒラルディージョ賞を受賞したアルフレド・ラゴス。

ソロ公演はなかったけれど、歌伴奏、舞踊伴奏で活躍し見事受賞となってのリサイタルはロペ・デ・ベガ劇場。月曜18時からということもあって、観客が数えるほどなどは悲しいけど、これが本当に素晴らしかったのでありました。

マラゲーニャからグラナイーナ、タランタへとつながる最初の曲から、最後のブレリアまで全8曲。歌も踊りもパルマすらもない、全くのソロ。

こういうギター公演は少なくて、昔ビエナルでヘラルドがセントラルでやったよね、あ、こないだのディエゴ・デル・モラオもそうか。CDだとホセ・ルイス・モントンのもそうだよね。

最初は下手側の椅子に座り、マラゲーニャ、ソレア、シギリージャ、上手側の椅子に移り、カンティーニャ風、カーニャとポロとロンデーニャのミックス、ガロティンやタンギージョの要素も入れたサパテアード。最後は舞台中央の椅子に座り、グアヒーラとブレリア。

いろんな曲種が混ざるのはイスラエルの『エダ・デ・オロ』

マノロ・サンルーカル、パコ・デ・ルシア、ヘラルド・ヌーニェス、ビセンテ・アミーゴ…所々にいろんなギタリストたちの影が見える。でも彼らのフレーズをコピーするのではなく、彼らの文脈の作り方にならうという感じでしょうか。そしてもっと古い伝統的なフラメンコのトーケがベースにあり、そこに現代フラメンコギターの要素や、ジャズやロックなどの要素も少々加わって、できているのがアルフレドの世界、という気がします。

音の一つ一つが生きていて、語りかけてきます。駆け抜けるようなフレーズでも、ないがしろにしている音が全くないのです。クリアかつ深い音。色とりどりで、聴き入ってしまいます。

Bienal-Claudia Ruiz

そしてコンパスの回し方!音が出ていない時もずうっと回っている、あの感じ。聴いていて気持ちがいい演奏。

おっとりしたといってもいいくらい、落ち着いた、温厚な性格もあるのだろうな、派手ではないけど確実。ほんと改めてその魅力再発見でありました。

日本にもよく行ってたし、彼に弾いてもらった人も多いのだろうけど、身近すぎて見えてない魅力ってあるかもしれない。

やっぱギターだけの公演、いいなあ。いろんな楽器と一緒にするのが普通になっているから、それをするのには実力だけでなく、度胸もいるのだろうけど、聴いている方はひたすら楽しい。もう一度観たい、聴きたい公演であります。

2021年4月19日月曜日

コルドバのギター祭 プログラム発表


 

コルドバのギター祭のプログラムが発表になりました。

昨年は中止になったのでうれしい限りです。

下に記したフラメンコ公演以外にも、ダビッド・ラッセルなどクラシック、スージー・クアトロなどロックのアーティストも登場予定です。

カニサーレス新作世界初演、気になりますね。行けるかな、行きたいな。


◇コルドバ・ギター祭※フラメンコ関連公演のみ

7/8(木)20時30分『モサラベ協奏曲』世界初演

[出]〈g〉カニサーレス、コルドバ管弦楽団、アンダルシア・ギター・クアルテット

[場]コルドバ グラン・テアトロ

[料]8~21ユーロ

7/10(土)20時30分『ビバ!』

[出]〈b〉マヌエル・リニャン舞踊団

[場]コルドバ グラン・テアトロ

[料]8~21ユーロ

7/11(日)22時30分『ウナ・ノーチェ・ポル・パコ』

[出]〈g〉アントニオ・サンチェス、〈b〉ファルーほか

[場]コルドバ ラ・アセルキア野外劇場

[料]23、25ユーロ

7/13(火)20時30分『ラ・フエンテ/トリビュート、マノロ・サンルーカル』

[出]〈g〉ダビ・カルモナ、サンティアゴ・ララ

[場]コルドバ ゴンゴラ劇場

[料]12ユーロ

7/14(水)20時30分『コモ・ウン・スエニョ』65周年記念ツアー

[出]〈g〉セラニート

[場]コルドバ グラン・テアトロ

[料]8~21ユーロ

7/16(金)20時30分『マッカデン・プレース』

[出]〈g〉ホセ・アントニオ・ロドリゲス

[場]コルドバ グラン・テアトロ

[料]8~21ユーロ

7/17(土)20時30分『レクイエム・ポル・ラ・ティエラ』

[出]〈g〉パコ・ペーニャ

[場]コルドバ メスキータ/カテドラル

[料]招待状による

[問]www.guitarracordoba.es

2021年4月18日日曜日

ペドロ・エル・グラナイーノ『ソブレ・パロ・イスパリス』

セビージャ市が主催する、昨年のビエナルでのヒラルディージョ賞受賞者たちの公演シリーズ。初日はロペ・デ・ベガ劇場でのペドロ・エル・グラナイーノのリサイタル。

先のビエナルとは全く違う内容で、ドランテスがゲスト。そのピアノ伴奏でのセビジャーナスに始まります。感染さえなければフェリアだったんだよなあ。。。

次はマルティネーテ。そしてファンダンゴにバンベーラを混ぜて。そしてカンテ・デ・レバンテ、シギリージャ、ソレア。で、一旦ひっこむ。

パルマを務めていたフアンフラ・カラスコ、ダニ・ボニージャ、ミゲル・エレディアそしてパーカッションのパコ・ベガが前に出てパルマで、セビージャ県の町ゆかりの話をして歌う。最後にそこにペドロも加わり、ちょっと歌う。

彼を知ったのはファルーカの公演で、多分10年くらい前。とにかく声がいい人です。いっぱい勉強したんだろうなあ、という歌いっぷり。

再びドランテス登場。ソロに続いて、グラナイーナを伴奏。

で幕が降りる、え、終わったの?と思うも客席は明るくならず???と、やっと開くとピアノの前にずらっと椅子が並んでる。並べるだけなら幕閉めなくてもいいんじゃ? いや、バックにあった写真も意味わかんなかったし。と、歌とは別のところでもやもや。

で最後はカンシオンというか、超ゆっくりのタンゴというか。なんか聞いたことあるなあ、と思ったらビセンテ・アミーゴの『レクイエム』でありました。ふむ。

最後は皆スタンディングオーベーションでありました。

うん。声がいいし、ちゃんとしてるし、いい歌い手です。正統派だし、ヒラルディージョも納得でありました。

Bienal de Flamenco. ©︎Claudia Ruiz Caro


写真はビエナル公演から。




2021年4月17日土曜日

スペイン国立バレエ団『アントニオ生誕100年記念公演』

セビージャのオペラハウス、マエストランサ劇場でスペイン国立バレエ団による、アントニオ・ルイス・ソレール生誕百周年記念公演が行われました。

アントニオ・ルイス・ソレールはスペインではアントニオ・バイラリン、日本ではグラン・アントニオとよばれる、スペイン舞踊の歴史にさんぜんとその名を輝かす舞踊家です。
1921年セビージャに生まれ、幼い時から舞踊で頭角をあらわし数々の海外公演も重ね、スペイン内戦時にはアメリカへ渡り、ハリウッド映画に出演するなど活躍しました。世界的な活躍はスペインに帰ってからも続きます。1953年に自身の舞踊団を旗揚げ、グラナダの国際音楽舞踊祭でアルハンブラのヘネラリフェ劇場の柿落とし公演を務め、また1971年、1978年と来日公演を行い、その札幌公演を最後に舞台から引退しました。1979年に創立されたスペイン国立バレエ団の監督を、1980年にアントニオ・ガデスから引き継ぎます。1983年に退任するまでの期間に加え、就任前、退任後も含め、国立バレエに16もの作品を提供しています。
1996年にマドリードで亡くなり、セビージャに葬られましたが、2016年にはマドリードで国立バレエ団による彼へのオマージュ公演が行われています。
が、セビージャではこれが初めてのアントニオへのオマージュ公演となるそうです。

ということで、初日の客席にはかつてアントニオ舞踊団に在籍したことがあり、現監督ルベン・オルモの師でもあるマノロ・マリンをはじめ、アントニオ舞踊団の秘蔵っ子だった元スペイン国立バレエ監督のホセ・アントニオ、マリア・ロサ、アナ・マリア・ブエノ、ペパ・コラル、ロシオ・コラルなど多くの舞踊関係者が顔を見せました。


幕開けは『ソナタス』。ソレール神父のソナタとしてスペインでは親しまれていますが、日本ではアントニオ・ソレールという方が多いみたいですね。18世紀の作曲家で聖職者。彼のは144曲ものソナタを作曲したということですが、その中から9曲を使って、序曲、そして9つの振付/場面が展開されます。
1953年にアントニオが自分の舞踊団のために作った作品で、1982年に6月にセビージャのロペ・デ・ベガ劇場で国立バレエによって上演され、84年のアメリカ公演まで上演されていたそうです。その後ほぼ40年間再演されたことがなかったというこの作品はエスクエラ・ボレーラの作品で、宮廷での舞踊という感じの舞台装置と衣装(40年前の衣装を直して使っています)。鍵盤楽器用の曲はオーケストラ用に編曲され、すでに国立バレエと仕事をしているセビージャ交響楽団による生演奏での伴奏という豪華さです。
跳躍とカスタネットが特徴的なボレーラですが、この作品はよりクラシックバレエのような感じ。クラシックバレエのようなパと、カスタネット、ボレーラ独特のちょっと斜めに傾げたような感じの姿勢が組み合わさった感じ、と言ったらわかるでしょうか。
それが女性4人に男性2人、女性1人に男性2人、女性ソリストと群舞4人、女性ソロ、といったようにさまざまなフォーメーションで魅せていきます。
最初に登場した赤い衣装の進行役や、ほぼ装置のように舞台を彩るちょうちんブルマの衛兵たちなど、ベラスケスの『女官たち』のような衣装の人々が登場したり、で、スペインの宮廷舞踊のイメージなのでしょうね。
このビデオは82年のものですが、床の模様もセットも衣装も再現されていました。



オリジナルのを見ていないので比べてどうこういことはできませんが、今やもう他ではほとんど見ることができないこの舞踊の大作を再演してくれたことが非常に嬉しいですし、ソロを踊った第一舞踊手エドゥアルド・マルティネスやソリストのミリアム・メンドーサらの美しい動き、所作が印象に残ります。

国立バレエでは1作品ごとに挨拶をするのが恒例ですが、『ソナタ』も最後に全員で挨拶をします。

2作目は舞台前、カーテン前での『ビト・デ・グラシア』。
ハリウッド時代のアントニオが、相手役ロサリオと踊ったビトの再現で、ルベン・オルモ監督がソリスト、ミリアムと踊ります。時代がかった振付です。下のビデオはそのオリジナル。



一部の最後は新作『エスタンパス・フラメンカス』。
アントニオへのオマージュとしてルベン監督と、ミゲル・アンヘル・コルバチョ監督補佐が新しく振り付けた作品で4曲。
幕開きのマルティネーテはミゲル・アンヘルの振付。マルティネーテを一番最初に踊ったと言われるアントニオのポーズなども取り入れながら、ホセ・マヌエル・ベニテスのソロに総勢十人の群舞が加わり魅せてくれます。



の多人数でのフラメンコの振付は国立ならではのもの。カレイドスコープのように変わっていくフォーメーション。ずらっと並んだダンサーたちはまさに壮観。涙がにじむほどかっこいい。 

このホセ・マヌエルが小柄で細身で、姿がよく、アントニオの体型に通じていて余計にグッときます。

つづくソロンゴはインマクラーダ・サロモン、アントニオ・コレデーラという二人の第一舞踊手によるナンバーでどこか懐かしい感じ。わざと昔風に作ってるんですね。

そしてルベン監督のタラント。昔風の衣装でタンゴまでたっぷり踊ります。
こちらはマノロ・マリン先生へのオマージュでもあるそう。そういえば、タラントが流行ったのはマノロ先生ゆえだという話もあったような。タンゴはトリアーナっぽいのもいい。

そしてまたギターにはじまる、


カラコーレス。これはルベンの振付。色とりどりのバタ・デ・コーラにマントンの華やかさ。昔からのファンなら『フラメンコ組曲』のカラコーレスを思い出すことでしょう。
あれよりも振付はより現代的、より複雑になっているものの、高いクオリティーの群舞です。




そしてソロを踊ったノエリア・ラモス!
ルベン監督になってからの新規加入ですが、いやあこれが素晴らしい!
かたちの美しさ、技術の確かさ。余裕を持って優雅に踊る彼女に魅せられました。









 カラコーレスのあと、挨拶があってそのあとアンコール風に踊ったセビジャーナスがこれまた魅力的で。バタの女性と腰高ズボンにベストという伝統的な衣装の男性。本当なら来週からフェリアだったんだよなあとか思ってまた涙。

休憩をはさんでの第2部はカルロス・ビラン振付の『レジェンダ』。アルベニスの『アストゥリアス』を黒にキラキラのついたゴージャスなバタ・デ・コーラでゲスト・プリンシパルのエステル・フラードがカスタネットを使って踊るソロ。たった一人で、マエストランサ劇場のあのだだっ広い舞台空間をいっぱいにしてしまうのがすごい。もう一度観たくなる。

続いて同じくゲスト・プリンシパルのフランシスコ・ベラスコによるおなじみサラサーテの『サパテアード』。ベテランがしっかり魅せます。

そして最後は『ファンタシア・ガライカ』。日本でも上演されたことのある、北スペイン、ガリシア地方の民族舞踊をモチーフにした作品。エルネスト・アルフテル作曲でソプラノも加わる音楽は生オケで。民族音楽舞踊が持つエネルギーに満ち溢れ、かつサンティアゴ巡礼をモチーフにしたバレエ的曲もあり、古き良きハリウッドのミュージカル映画のような構成で盛り上がります。ここでもダンサーたちの技量がよくわかります。楽しい!


当初、4月15、16の二日間が予定されていましたが、14日午後になって感染拡大によりセビージャのレベルが2から3となったことを受けて、入場人数の制限が強くなり、1800人定員の劇場ながら、観客同士の間を1、5m開けて500人程度とすることとなり、すでに売り切れていた16日の分も合わせ、17、18日も公演ということになりました。こういう非常事態にすぐに対処できるのはさすが、スペイン、即興の天才です。国立であり、団員は出演者もスタッフも公務員/準公務員であり、全員のスケジュールが抑えられていたということもあるでしょう。それにしてもすごいことです。バレエ団、オーケストラ、劇場、出演者スタッフ、全ての人の努力のたまもの。


こちらがこの公演の抜粋のビデオです。雰囲気だけでもわかってもらえるかな。




何度でも観たい、と思ったけれど、すでに売り切れ。マドリーでやるなら行きたいくらいです。

日本にも行くといいな、みんなにみてもらいたいな。


それにしても劇場に行って、知り合いに挨拶して、立ち話して、素晴らしい舞台を観て、幸せになって、エネルギー充電完了。ライブはやはり、舞台の上と下でのエネルギー交換がリアルタイムで行われるので幸せになります。こういう時間あってこその自分だと再確認したことでした。


2021年4月14日水曜日

サラ・バラス新作を6月初演!

6月1日、2日、バルセロナでサラ・バラスが新作を初演します。



第9回ペドラルベス庭園フェスティバルの舞台での上演です。

ペドラルベス地区はバルセロナの市街地から西へ行ったところ。その庭園の特設舞台で行われるフェスティバルの幕開けを飾り、2日間に渡り、公演します。

新作のタイトルは『モメントス』、瞬間、もしくは、その時々、とでも訳しましょうか。

「忘れられない瞬間、それこそ真実の時」と、作品資料に。

1年余りの、舞台が思うようにできない時間が続く中、いろんな思いを胸に作品を作ってきたのでしょう。どんな作品になるのでしょうか。楽しみです。

そのうち、日本でも観られるようになりますように。

◇サラ・バラス『モメントス』

6/1(火)、2(水)22時

[場]バルセロナ ペドラルベス庭園祭

[問]https://festivalpedralbes.com/evento/sara-baras/

6/17(木)21時30分

[場]ムルシア 闘牛場

[問]https://www.iboleleproducciones.com/eventos/murcia-on-sara-baras/

7/31(土)20時30分『フラメンコ組曲』

[場]サンタ・クルス・デ・テネリフェ アウディトリオ・アダン.マルティン

[問]https://www.elcorteingles.es/entradas/teatro/entradas-sara-baras-santa-cruz-de-tenerife-0000087xE0000087VU0000085k0/

8/21(土)22時

[場]ジローナ カプ・ロイグ祭

[問]https://www.sarabaras.com


2021年4月9日金曜日

ヘレスのフェスティバル/オンラインクラス

 ヘレスのフェスティバルのオンラインクラスの予定が発表されました。

ラファエラ・カラスコやマルコ・フローレス、マヌエル・リニャンら、フェスティバル常連のメンバーによるオンラインレッスンです。

1日2時間20分のレッスンが録画され、そのビデオを観ることができるリンクが毎日送られてきます。生配信ではないので、その場で質問などはできないものの、毎日のビデオはクラス終了後15日間までは自分の都合のいい時間に何度でも観ることができるので、自分でできない部分を繰り返し観たりできる、というのは長所かもしれません。他の人に見られるのが嫌でオンラインレッスン時カメラオフにする人にもいいですね。

またヘレスらしく、劇場公演配信1回のリンクも送られてくるので、前期ならアンドレス・ペーニャの新作、後期ならタマラ・タニェのサライ・ガルシア、ミゲル・アンヘル・エレディア、アントニオ・テヘロの3人を招いての公演を家に居ながらにして観られるのも魅力です。

10日も会社や学校休めないから、とヘレスのフェスティバルになかなか行けない人もこれなら受講できるかも。




◇ヘレスのフェスティバル/オンラインクラス(公式)

5/8(土)~14(金)

9時30分~11時50分

[教]〈b〉ラファエラ・カラスコ

[内容]中級『シギリージャの舞踊の技術とスタイル』

12時30分~14時50分

[教]〈b〉アンヘル・ムニョス

[内容]基礎『マルティネーテの舞踊の技術』

15時30分~17時50分

[教]〈b〉マルコ・フローレス

[内容]中級『ファルーカの舞踊の技術とスタイル』

5/16(日)~22(土)

9時30分~11時50分

[教]〈b〉ラ・モネータ

[内容]中級『タンゴの舞踊の技術とスタイル』

15時30分~17時50分

[教]〈b〉アリシア・マルケス

[内容]基礎『バンベーラスの技術』

15時30分~17時50分

[教]〈b〉マヌエル・リニャン

[内容]中級『グアヒーラの舞踊の技術とスタイル(アバニコ付き)』


全クラス共通

○レベル

・バシコ(基礎):受講する曲種についての基礎的な知識とフラメンコ舞踊の経験をもつ (スペイン国外でのクラスの中級程度)

・メディオ(中級):テクニックと受講する曲種についての知識双方において高いレベルにあり、その曲種の技術と振り付けを向上させようとする(スペイン国外でのクラスでの上級程度)

※スペインのレベルは国外のレベルよりも高い。レベルについての疑問はフェスティバルに問い合わせること。festivaldejerez@teatrovillamarta.es

○クラスの時間は実際にヘレスで出席の上行われるクラスと同じ時間数であり、全体を録画する。

○受講料は各クラス150ユーロで、期間中1回の劇場公演配信のリンクを含む。

○申し込みは申し込み用紙を送り、支払いを済ませることで受け付けられる。

○支払いはユーロでクレジットカードにより行われる。使用可能カードはVISA, MASTER,JCB、EURO6000(スペインのカード)、 VPAY(ヨーロッパのVISAデビットカード) UNION PAY(銀聯国際)で、16桁の番号と有効期限、セキュリティコードが必要です。支払い後のキャンセル、返金は主催者がクラスを中止する以外では不可。

○配信される劇場公演は前期のクラス出席者が5月7日アンドレス・ペーニャ『カンパナス・デ・サンティアゴ』、後期のクラス出席者は5月19日タマラ・タニェ『ミス・トレス・プニャレス』

○主催者は毎日メールでリンクを送り、フェスティバル期間中および、クラス終了後15日間、いつでも視聴可能である。

○それら、フェスティバルが送るクラスや公演のリンクは個人にあてるものであり、譲渡不可であり、その録画、複製、SNSやWhatsAppやtelegramなどのメッセージアプリでの拡散は禁止されている。主催者は、守らない者に法的措置を取る権利を有する。

○受講者には、受講時間を記した参加証明を発行する。

○全てのクラスはスペイン語で行われる。

○クラスのために主催者は歌い手とギタリストを準備しているが、各クラスはそのクラスの講師がどのようにオーガナイズするか決定する。もし、どのクラスに歌い手、ギタリストがいるかを知りたい場合はフェスティバル事務局に問い合わせ可能。メールfestivaldejerez@teatrovillamarta.es

[問]https://www.festivaldejerez.es/wp-content/uploads/2021/04/PROGRAMA-DE-CURSOS-ONLINE.pdf

フェスティバル事務局

festivaldejerez@teatrovillamarta.es  電話 スペイン34 956149685

申し込み

https://cursos.festivaldejerez.es/app/courses-online