20時30分からトマス・エル・ペラーテの『トレス・ゴルペス』三つの打撃、衝撃というタイトル。初演は今年1月、フランスのニームでだったのだけど、そこから出演者も変わりました。
ロサリアが世に出るきっかけを作ったレフレーが、イスラエル・ガルバンの作品に数多く出演しているピアニスト、アレハンドロ・ロハス・マルコスに代わり、モロンのギタリスト、パコ・デ ・アンパーロも抜けて、代わりにコントラバスのマルコ・セラットが入りました。
初演からの、ギターのアルフレド・ラゴス、パーカッションのアントニオ・モレーノもそうだけど、アーティスティック・ディレクターのペドロGロメーロゆえかもだけれど、イスラエル色が強いメンバー。ペラーテもイスラの作品に出てるしね。
出演者とともに構成も大幅に変わっていました。
最初はシギリージャ。いつも思うことだけど、トマスの声には太古からの響きがある。歌い手だった父ペラーテや曽祖父マヌエル・トーレら、綿々として受け継がれてきた響きを感じるのであります。とんでもなく遠くからやってくるような、でも耳元で響いているような、不思議な感覚。アルフレドの過不足ない、安定感のある伴奏で歌い上げる。
Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro |
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が、このままオーソドックスなフラメンコ・リサイタルとして進むわけはない。
キーボード、コントラバス、パーカッションが恐怖映画のような音を奏ではじめ、トナー。「Yo tuve que matar 殺さなくちゃいけなかったんだ」
という歌詞が重く響く。
Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro |
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セビジャーナスの元になったというアロスノのセギディージャ。
16世紀のスペインの舞曲ハカラ。
トマスが舞台で話す。
「僕は17世紀のヒターノ。遠くからシギリージャやトナを持ってやってきた。この土地の、ハカラやフォリア、セギディジャなどの音楽も歌い、ソレアとブレリアも生まれた」
なるほど。そういう設定なのですか。フラメンコの源を探る考古学的研究とフィクション。それが巧みに組み合わさっているのであります。
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ソレア。彼のソレアは、自然体。ナチュラルそのもの。語るように歌う。発声に無理はなく、力まず、話すように歌う。話しているときのような強弱はあるけれど、淡々と、しみじみと、全く無理がない。
Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro |
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ブレリア。これも同じく、まるで馬に乗るようにコンパスに乗って、両足でリズムをとって紡いでいく。
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同郷の先輩、バンビーノへのオマージュだと、アルゼンチン・タンゴを歌い。
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17 世紀のヒットソング、 Sarao de Chaconaを歌い上げる。
いやいや、確かにつながっているよ、チャコナからファンダンゴ、ハレオそしてソレアへ、というのだが、うん、つながっている。
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いやいや、面白い。興味深い。楽しい。
バトンごと下げた照明がすごくいい感じ。
フラメンコも進化、深化してます。
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