2020年9月11日金曜日

アナベル・ベローソ『オロ・ソブレ・アスル』

 アナベル・ベローソは1979年アルメリア生まれ。もうずいぶん前から自身の作品を発表しているんだけど、なぜか私は初見。

父がポルトガル人ということで、ポルトガルをテーマにした作品。タイル、ファド/アマリア・ロドリゲス、カーネーション革命などの要素を取り入れつつ、フラメンコ曲で綴る。

上手下手に斜めにかけられた紗幕がスクリーンとなり、装置になるのはいい。でも衣装は綺麗だけど、普通のワンピースはマーメイドライン的でスカート取るのに屈まなきゃだし、バタは開き過ぎで技術あっても思うようには動かないだろうし、で、踊りにあってるとは思えない。踊り自体も振付ありきで歌や音楽との会話が皆無。グアヒーラにキューバというかコロニアルな熱帯の雰囲気も皆無だし、マントンは振り回すし、次々に繰り出す技も詰めすぎでは? なんというか、フラメンコ教室の先生の発表会的なイメージ。ど下手というわけじゃないけど何も伝わってこない。オレが出てくる瞬間がない。回転にも見るべきところはない。

歌のナイケ・ポンセは外国人のアクセントで歌っている感じだし、フアン・デ ・マイレーナの正統派の歌がなかったらと思うと怖くなる。パブロ・スアレスのピアノ、ディエゴ・ビジェーガスのハーモニカやフルート、サックス、ハビエル・パティーノのギター、カルロス・メリノのパーカッション、ロベルト・ハエンのパルマと、セリフをポルトガル語とスペイン語でいい、ファドも歌ったペドロ・ペルナスと、バックは(ナイケ以外)バッチリ。なだけに残念無念。

反対に言えば、いくらバック固めて、衣装や装置にお金を使っても、結局、主役が弱いとダメなんだろうと思ったことでした。主役が強くてもバックや衣装装置スタッフにお金使わないとダメなのも真実なんだけどね。

きつくてごめん。でも正直な感想。

いやね、舞台作品としてはこれでいいのかもしれない。テンポ良く終わるし。でも、ハビエル・バロン、ロシオ・モリーナ、フェルナンド・ロメーロとラファエル・カンパージョ、ファルキートと観てくると、これじゃ満足できないわけですよ。残念。




Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro
最初は赤い衣装。この写真だとわからないけど胸が詰まっていて背中が空いてる


Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro
グアヒーラもマントン。これ最初腰に巻いていてアバニコで踊ってたのをアバニコ置いてマントンに移行。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro
ファドを歌う俳優さんの後ろでポーズ。この後ソレアになる。これも背中が空いている衣装なんだけど、途中で白い紐がだらんと出てくるわ、花3つ、櫛1個飛ばすわ、昔のセビージャのタブラオなら罰金確定。紐、黒く塗っとくと目立たないだろうにねえ。こういう細かいこと気になるたちです、私。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro
バタ根本から開き過ぎなので、足技使っても綺麗に動かない。バタをちゃんと踊るには向かないと思う。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro
ミュージシャンの位置も色々変えるなど工夫してました

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