ヘレスのフェスティバルが開幕しました。
まだ、日本や中国、そしてアメリカからのクルシージョ参加者は戻ってきていないそうですが、ヨーロッパ圏内からは多くの人が来るようです。
幕開きを務めますのは2年前、2020年の公演が好評だったスペイン国立バレエ。あの公演から数週間後にはスペインは外出禁止の措置がとられ、すべてが止まってしまったんだよなあ、などと思い出したり。あの素晴らしかった公演を是非日本でも見てもらいたいものです。
今回は昨年セビージャで初演したアントニオ生誕百周年記念公演の上演。17、18日の二日に渡っての公演になります。そしてなんとオケピにオーケストラが入って生演奏。これはヘレスのフェスティバル、26年の歴史において初めてのことであります。
一部は『ソナタス』と『ビト・デ・グラシア』『エスタンパス・フラメンカス』、二部は『レジェンダ』『サラサーテのサパテアード』『ファンタシア・ガライカ』と演目は変わっていませんでが、キャストがセビージャの初演の時とは変わっていて、ビトの男性はルベンに代わってホセ・マヌエル・ベニテス、マルティネーテはホセ・マヌエルに代わってフランシスコ・ベラスコが踊りました。また、ビジャマルタ劇場の舞台は間口は広いものの奥行きがないのでセビージャ公演で使っていた装置もカットになったり、など多少の変更がありました。
アントニオ振付の歴史に残る三作品とルベン・オルモらによる新しい振付のフラメンコとスペイン舞踊での構成。一部だけで1時間以上あり、昨今、1時間程度の作品も多いこともあり、二部があるのを知らずに帰った人もいるとか。もったい無い。
エスクエラ・ボレーラの『ソナタス』 では
©Javier Fergo Festival de Jerez |
なかなか見ることができない、美しいボレーラのパソや形を堪能でき、特に首のラインの美しさに魅了されました。バレエのようなパソ、跳躍や回転などもありますが、首や体のほんの小さな傾きがボレーラらしさを作っているのです。ベラスケス『女官たち』を彷彿とさせるシーンも、カスタネットの音も、すべてが美しい。
クラシコ・エスパニョール(とあえてよびたい)『サラサーテのサパテアード』は
©Javier Fergo Festival de Jerez |
生演奏のバイオリンがあまり上手ではなく、踊り手が大変だろうとハラハラしつつも、サパテアードでメロディすら作っていく妙義に見とれ、
民族舞踊がベースの『ファンタシア・ガライカ』は
©Javier Fergo Festival de Jerez |
60年以上前に作られた作品にもかかわらず、今見ても新鮮で魅力的。音楽も素晴らしく、ミュージカルのような観客の楽しませ方を知っているという感じ。何度見ても、違うキャストで見てもその素晴らしさは変わりません。今回はデボラ・マルティネスとアルベル・エルナンデスというソリストのペアでみましたが素晴らしかったです。翌日はミリアム・メンドーサとエドゥアルド・マルティネスだったそうです。人材の豊富さもこのバレエ団ならではですね。
前回の来日から半分くらいメンバーが変わったのではないでしょうか。若い才能がどんどん活躍しています。
新しい振付の方では、フラメンコの華やかなカラコーレスで
©Javier Fergo Festival de Jerez |
ソロを踊るノエリア・ラモスがとにかく素晴らしかったです。この写真の中心で水玉の衣装が彼女です。振付はルベン監督なのですが、割といそがしい振りで、人によっては体操的になってしまうのですが、彼女はフラメンカな味わいを加え、素晴らしいの一言です。
©Javier Fergo Festival de Jerez |
また、エステル・フラードが踊った『レジェンダ』はアントニオ門下のカルロス・ビランの振付ですが、エステルの、大きな舞台を一人でいっぱいにしてしまう存在感が何より素晴らしかったです。
いつかこの作品も日本へ持っていけるようになりますように。
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