アフィシオンってすごい。アフィシオンは辞書には愛好、熱中などとある。
フラメンコで最も大切なのはアフィシオン。フラメンコを心から愛すること。心から愛すればもちろん敬意を払うわけで。プロだろうとアマチュアだろうと芸歴半世紀以上のベテラン・アーティストもぽっと出のただのファンもアフィシオンがあれば会話は弾むし、互いに敬意を払い、仲間意識も芽生える、ってなもんです。
その、熱いアフィシオンを感じる公演配信でありました。
川島桂子といえば泣く子も黙る、日本を代表する歌い手の一人。若い踊り手たちが姉か母かのように慕い、頼りにしている存在。誰よりも多くの舞踊伴唱をこなしてきていてその経験が生きている。仕事を流れ作業にせず、好きなものを追い求め、たくさん聴いてたくさん歌ってきた。その半生がぎゅっと詰まった2時間弱でありました。
生で見ることができた人たちが羨ましい。
3月5日。東京『ガルロチ』で行われた還暦記念リサイタル。バイオリンのソロに始まり、トナーからのシギリージャでは三枝雄輔が踊り、ミラブラスからのカンティーニャ経由アレグリアスも締めは踊り。
厳しい表情で歌っていたかと思うと、トークではとろんとした優しさ、人の良さダダ漏れで、そのギャップも楽しい。現代的な演奏の徳永健太郎のギターでも、古き良きフラメンコの香がぷんぷんしているエンリケ坂井のギターでも、きちんとギターを聴いて、独りよがりにならずに、真摯に一つ一つの歌詞を大切に、歌っていく。そしてまたサポートミュージシャンたちが心からの敬意を持って彼女に寄り添っているのであります。
去年のコンクールの時にも思ったのだけど、この人ほどに、歌の性格や内容、方向性を深く理解して歌っている人は、日本にほとんどいない。グラナイーナで「アルバイシン」と歌う時には彼女の脳裏にはあの街並みが浮かんでいるのだろうし、こちらにもあの風景が蘇ってくるようだ。
タンゴでの生き生きとした表情、にこやかでうれしそうな感じがこっちにも伝わって一緒にフィエスタにいる気分。楽しんでいるよね。
maldigo tus ojos verdes というパケーラのヒット曲やスペイン歌謡の名曲で私もカラオケに あったら絶対歌いたいと思うだろう、un clavel を昭和歌謡風と言うの確かに〜。(昔、スペインのレコード会社の偉いさんが日本に来て歌謡曲聴いてスペイン歌謡は売れないか、と聞かれたことあるよ。悲しい酒歌ったスペイン人歌手もいたよね)
エンリケさん伴奏の2部はソロでじっくり聴かせよう、という趣向だったのだろうけど、ティエント、セラーナ、ファンダンゴ、そして、極めつきのソレア。赤いちゃんちゃんこならぬ真紅のフラメンコドレスもよく似合う。歌心を誘うギターに溶けていく感じ。でも最後はやっぱ踊りへと繋がっていくんだよね。
あー、よかった。
ここまでくるのにどんだけ苦労があったろうか。
でもね、正しいアフィシオンは実を結ぶのであります。正義は勝つ!
こうして日本のフラメンコは前に進むのだ。
配信お申し込みはこちらから
2500円だそうです。
ちなみにタイトル、PARA MORIRは死ぬために、と言う意味になるけれど、カマロンの歌詞で
Viviré mientras que el alma me suene 魂が響く限り生きよう
Aquí estoy para morir 死ぬためにここにいる
cuando me llegue その時が来たなら
ってのがあって、私は真っ先にそれを思い出したんだけど、その歌の最後が
vivir y soñar 生きる、夢見る
solo estoy buscando la libertad 自由を探しているだけ
ってなるんだけど、そう言うことなんだと思う。ひとりよがりかな?
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