2022年11月15日火曜日

野村眞里子『アンダルシア夢ututu』


 バイラオーラ、プロデューサー、フランス語講師そして近年はフラメンコとダンスと詩のミュージアムをオープンしたエルスール財団で若手に賞をおくるなど多彩な活躍を続ける野村眞里子がフラメンコを多角的にとらえた著書の出版を記念してインスティトゥト・セルバンテスで開催。

主宰する財団がおくる賞の受賞者など若手中心の公演でしたがこれがよかったよかったよかった。奥行きのない小さい舞台での公演には勿体無いクオリティの高いものでした。

遅れて到着したのでオープニングと歌のブレリアは見ることができなかったのですが、とにかく若手たちが素晴らしくこれで日本のフラメンコも安心と思ったことでした。

出水宏輝のカーニャはカーニャらしいしっとりさには欠けていたものの、舞台での存在感がしっかりあって、細部にフラメンコらしさがあふれていて、観るのが楽しい。続く伊藤笑苗のファルーカは伝統的なイメージをフレッシュに。伝統のポーズも多く使っているのだから衣装も伝統的な男装やアマソナの方が良かったようにも思うけれど、どんな曲を踊ってもしっかり自分らしさも出してこなせるのはすごい。鈴木敬子のアレグリアスはピンクのマントンをアレンジした素敵なバタ・デ・コーラで。登場してきただけでセビージャが香る。首の位置など形がきれい。

徳永兄弟と大山勇実、北岸麻生、4人のギタリストによるパコ・デ・ルシアの『シルヤブ』もそれぞれのソロで個性が見えて面白い。ベースをもっとしっかり太さを出すとより良くなるだろう。ぜひまた近い将来に聴いてみたい。小谷野宏司はブレリアフェステーラ。アルカラにちなんだ歌詞でフェステーラというよりロマンせぽい。本人に確認したところアントニオ・マイレーナのレコードで学んだそう。すごいアフィシオンですね。永田健のマルティネーテはバストンで。魅せるポイントを絞ってもう少し短くした方がよいかも。この日の主役野村は出水とアレグリアス。ベテランの品格で若手をサポート。こうして日本のフラメンコの流れは繋がっていくのだろう。ここでものびのびと踊っている出水がいい。腕の広げ方などいかにもアレグリアス!

最後はメルセデス・デ・コルドバが来日中に振り付けたというタンゴの群舞。椅子をもっての移動の繰り返しで始まるのが、舞台作品のオープニング的な感じなのだがなぜそうなのかがよくわからない。世代の違うアーティストたちの共演は楽しいし、オレ!なポイントもあったけれど。

若手の力、パワー、ポテンシャル、エネルギーを感じさせてくれた公演でした。若手がんばれ!













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