セントラル劇場での『フラメンコ・ビエネ・デル・スール』開幕。
これまでは毎週火曜日で何ヶ月か続くというパターンだったのですが、今年は9月から10月の週末に集中して行われるという新しい形。
その開幕は、16日、セラニートのリサイタルの予定だったのですが、本人の具合がよくないということで延期になりました。といっても、セラニート、10月のマドリード公演はやるみたいだし、一過性のものなのでしょう。
さて、パウラ・コミトレ。1994年セビージャ生まれ。3歳から踊り始め、2012年セビージャ舞踊学院卒業、アンダルシア舞踊センターで学び、2013年にラファエラ・カラスコ監督のアンダルシア舞踊団入団。2017年からはセビージャのタブラオ、ロス・ガジョスのレギュラーとして出演するほか、マドリードのタブラオにも出演。また、ラファエラ・カラスコやダビ・コリアのカンパニーでも活躍。
2020年ヘレスのフェスティバルで初演したこの作品で、新人賞受賞。またビエナルでもダビ・コリアの作品『ファンダンゴ』等でも新人賞を受賞。という、今、一番注目のバイラオーラ。ヘレスのフェスティバルの直後に日本へ行き、新宿『ガルロチ』最後のレギュラーグループの一員としても出演。
とまあ、本当に素晴らしい注目のダンサーなのでありますが、今回も素晴らしかった。ヘレスの時と変わっているのは歌い手が一人減って、パーカッションがパコ・ベガからラファエル・エレディアになったこと。内容はどうなのかな。
裸足で無音の中、バタ・デ・コーラで踊り始めるオープニングから、マントンを踏んで足に巻きつけていく閉幕まで、舞台に出ずっぱり。アントニオ・カンポ、ミゲル・オルテガという二人の歌い手、フアン・カンパージョのギター、そしてラファエルのパーカッションという4人のミュージシャンたちとともに作り上げた作品はコンパクトで美しい作品。
音楽の美しさ。形の、動きの美しさ。構成の妙。伝統的なフラメンコ曲をそのまま踊るだけではなく、そこに自分の考えを、思いを込める。伝統的なフラメンコのテクニックだけではなく、自由な表現を使って語る。
女性らしい形。女性のフラメンコ舞踊とはなんだろうか。
ビセンテ・エスクデーロの男性舞踊十戒だったり、マティルデ・コラルらバイレの先駆者たちの言葉だったりが流れるのはそういうことなのだろう。 それら先輩たちに敬意を払いつつも自分の踊りを築いていく。そういう感じ。
バタ・デ・コーラのタラントの美しさ。マントンをひるがえし、またスカートのように使ってのカンティーニャス。スーパーテクニックはもちろんだけど、それで表現したい自分がある。表現のためにバタやマントン、カスタネットといったフラメンコの技術だけでなく、すり足だったり、フラメンコには元々なかった動きも使う。
いやいや、もう一度、いや何度でも観てみたい。これからも観続けたい踊り手であります。
ほんと、フラメンコってこうして、どんどん新しい、素晴らしい才能が出てくるのがすごいなあ、と心から思います。
この作品のプロモーションビデオ。でもビデオよりずっとよかったのであります。でも美しい形と動きとか、ちょっとわかってもらえるかな。
0 件のコメント:
コメントを投稿