Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro |
頭にかぶる白いハンカチは教会の象徴だろう。カトリックの国。
スペインの赤い大地は血の海だったのでもあるのかもしれない。内戦で流れた夥しい血の。そして闘牛の血が流されたアレーナでもある。激しいサパテアードは銃の響きか、カオスそのもの。
ダビ・ラゴスがプレゴンで「恐怖を売っている/恐怖を買う/聞くのを恐れる/一度しか死なないのに」と歌う。これってまさに今現在の状況じゃ? この曲今年の1月ニームで観たダビの『オディエルノ』でも歌っていた。そういえば、共演のエレクトロニックミュージックのアルトマティコとサックスのフアンも同じだ。
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ペラーテ、ピニョーナに続き出演のアルフレド・ラゴスの太く、深く、厚みのある音が響く。
ダビ・コリアの見事なテクニックで見せるソロ。この人の身体能力はすごい。特に回転が素晴らしい。アクセントの付け方が粋!
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なんだろう。フラメンコの枠を超えたすごい作品じゃないか、という気持ちになってくる。
ソレア。舞曲ファンダンゴのリズムに載せて歌われるマラゲーニャ。
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血の海に倒れる人々を覆い尽くす黒い布。
すると舞台奥にもう一つの世界が現れ、そこに上から砂が落ちてくる。上手に。下手に真ん中に。さらさらと、砂時計のように。
砂浜が現れる。そこを『牧神の午後』を演奏しながら歩くサックスのフアン。
カスタネットを使った民族舞踊をのどかにおどる。太鼓のリズム。
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シギリージャ。
女性を我が物顔に扱い、狼藉三昧。
ある意味演劇的。
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白いバタ・デ ・コーラの女性は、バタのはしに足があり、まるでケンタウロスのよう。
裸足で髪を振り乱しているのは、女性たちのコラへの現れ?
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裸足のアレグリアス。8月にアルトマティコと魅せた、パウラ・コミトレがここでも本当に素晴らしい。
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振り乱した髪もバタ・デ ・コーラのように、毛先までコントロールしている。
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マリアーナ。
そして最後はタンゴ/ルンバ。狂宴のスペイン。
そう何があっても徹底的に楽しむ。
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最後は二人のダビがゆっくり舞台奥へ、砂浜へと消えていく。
サルバドール・タボラやマリオ・マジャらの、社会派のフラメンコ作品の流れも受け、でも舞台作りや複数での踊り、人物の舞台上での動きなどにはコンテンポラリー的な文法も使いながら、でも、その真ん中にあるフラメンコが揺るぎないしっかりとしたものだから、すごい作品にと仕上がっているのだろう。
内戦と血とマチズモの影。祝祭とカオスなスペインは才能あふれる天才たちの国でもあり。前を向いてゆっくりと進んでいく国なのだ。
あー、早くもう一度観てみたい。
あ、ダンサーのうち、マイセ・マルケスはコロナの疑いで(結果は陰性だったけど)抜けたダンサーの代役で5日間で覚えて舞台に出たそうだ。これもすごすぎる。
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