2020年9月24日木曜日

トリオ・アルボス&ラファエル・デ ・ウトレーラ

 フラメンコと他の音楽のミュージシャンの共演はよくあるけれど、その全部が全部成功するわけじゃないというのも真実。音楽に国境はないし、ジャンルの垣根に意味がないとも言われるんだけれど、うーん、垣根は見えなくても思ったより高いこともあるのかもしれない。

2013年にスペイン文化省の音楽賞を受賞したというトリオ・アルボスはクラシックのトリオ。バイオリン、チェロとピアノ。現代音楽を中心に演奏しているそうで、それがなぜフラメンコに興味を持ったのかは謎だけど(後でインタビューでも探してみよう)、ゲストに、歌のラファエル・デ ・ウトレーラ、パーカッションのパキート、ゴンサレス、踊りのモネータを招きました、という感じ。

うーん、結論から言うと、フラメンコって楽譜に起こしてそれを演奏すると味わいが半減しちゃうのかも、っていう感じ。

オープニングのシギリージャはアクセントが跳ねてる感じで、シギリージャの深みや深刻さなどがまーったく感じられない。こどもっぽいというか、うーん、なんなんでしょう、これ。形は一応シギリージャの形なんだけど。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

ラファエルが歌ったソレア・アポラー。うーん、カラオケじゃないけど、歌を聴いて伴奏をつけるのではなく、形ができてるところに歌入れてる感じ。ピアノだけとかならまた違うのかもだけど、3人の合わせもあるからしょうがないのかな。フラメンコの醍醐味の一つは、演者同士のカンバセーション。会話。それがないとうーん、フラストレーション。

3曲目はパコ・デ ・ルシアの『愛のうた』をトリオで。いやあ、なんだろう。曲のセンティードがめちゃくちゃ。なんでこうなっちゃうんだろう。不思議。バイオリンのメロディの音程も微妙。

再びラファエルが登場して歌うファンダンゴも最初のソレアと同じく、わざとらしい。ギターの真似とかもしてるんだけど、表面的。

現代音楽の作曲家がフラメンコに想を得たという曲、マラゲーニャ・アウセンテはモネータが(途中で袖から舞台に投げ込まれる)マントンを使って踊る。うーん。微妙。



Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro


Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro



歌が入ってマラゲーニャからアバンドラオ。トリオのグアヒーラ。歌が入ったアレグリアス。

モライートのブレリアはトリオが演奏してモネータが踊るのだけど、うーん、モライートもびっくりするだろうな、という感じ。

ここで私は次の会場に行くため劇場を後にしたのでありました。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

クラシックの人がフラメンコに近づこうというのはうれしくもあるのだけど、改めて」フラメンコって難しい、って感じたことでした。うーん、もっと違うアプローチができるのじゃないかなあ。フラメンコ研究家だけどもともとクラシック畑でチェロを弾いていたファウスティーノ・ヌニェスとかの助けを借りるとか? 両方のことをよく知っている人の助言が必要な気がする。












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