アンダルシア舞踊団での3年を経て、今また再び、個人の舞踊団として帰ってきたラファエラ・カラスコ。
踊り手は彼女のほか女性ばかり3人。
16世紀スペインが生んだ神秘家聖テレサ・デ・アビラ。
彼女が、幻を見たという話から、17世紀のスペインとメキシコで活躍した3人の女性を予見し、彼女たちに語りかける、というオリジナルのストーリー。
妻、母、もしくは修道女くらいしか人生の選択がなかった時代、女優や作家として生き抜いた女たちへのオマージュは、今を生きるすべての女性たちへのオマージュでもある。
Festival de Guitarra |
フラメンコが生まれるより昔の話ということもあり、シギリージャやタラント、ブレリア、ファンダンゴ、カンティーニャ、グアヒラといったフラメンコ曲だけでなく、フォリアやホティージャなど、プレ・フラメンコ的な要素も使った音楽はヘスス・トーレス、アントニオ・カンポス、そして出演はしていないがラファエラの夫によるもの。ベレン・デ・ラ・キンタナのシンプルな衣装はオーバースカートやボディを重ねて着ることで全く違う雰囲気に。両袖に建てられたスクリーンで聖テレサの閉じこもった部屋とともに閉塞感をも表し、ぼんやりとした薄明かりのように見えてしっかり見るべきものは見えたり、袖のスクリーンに影を映したり、そして音楽とともに細かくつけたり消したりで振り付けの一部ともなるグロリア・モンテシノスの照明。言葉の一つ一つが明確に聞こえてくる女優ブランカ・ポルティージョによる朗読(録音)。すべてが一体となって、夢幻的な雰囲気を作り出し、ラファエラの振り付けは彼女ならではの、女性らしい美しい形ときっちりした構成で魅せていく。
ひとつひとつの動きが滑らかに繋がっていく。ラファエラと3人のダンサー、4人のバランスの良さ。それぞれ違う動きをしているのがだんだんとシンクロしていく美しさ。3人にもそれぞれ見せどころを作っているが、やはりラファエラが圧巻。中へ中へと入っていくような、その深み。ただただ圧倒される。
言葉がわかればその分、余計にその世界に入っていけるだろう。が、言葉がわからずとも、彼女が踊って表現している気持ち、心は伝わるに違いない。
最後はスタンディングオーベーション。それだけの価値のある素晴らしい舞台だった。また早くもう一度見たい。12月のセビージャ公演が楽しみだ。
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