マイク、音響なしのリサイタル・シリーズは
アルカサル、ビジャビセンシオ宮殿で。
トリアーナのカンテを得意とする
セビージャ郊外ビジャヌエバ・デ・アリスカルの歌い手
マルケス"サパテーロ”(靴屋、靴直し屋)、
モロンの歌い手カルピンテーロ(大工)
二人のベテラン歌手が登場。
まず舞台に上がったのはダニ・デ・モロン。
ギターソロで聴かせるロンデーニャ。
そのダニを真ん中に二人が舞台に上がり、
始まりはカルピンテーロのタンゴ。
ダニの伴奏も昔風で、同じモロン出身だけに息もぴったりだ。
83歳というサパテーロは
年齢を感じさせない見事な声量。
こちらの伴奏も昔風に弾いているが、
まだぴったりあうとまではいかない。
カルピンテーロはアルボレア。
昨日の記者会見ではカンテヒターノが好きだと言っていたが、
発声、声質はその反対というか、美声タイプだ。
いかにもモロンな細部、
ちょっとした音の上げ下げなどがあったりするのも面白い。
ホセレーロ風というのかな。
タンゴでしめる。
サパテーロはスラケのソレア。
次々に繰り出すレトラの数々。
通常のそソレアのように
ひとつのレトラの部分を繰り返したり引っ張ったりせず、
次から次へと軽やかに、スピーディに歌いつないで行く。
トリアーナのソレア独特の、美しい節回しの、
バリエーションを堪能させてくれた。
それに対するカルピンテーロはアルカラのソレア。
声質が変わったかのような低音がきいている。
サパテーロはマラゲーニャ。
カルピンテーロはシギリージャ。
サパテーロはトリアーナのソレア・グランデ。
本人はソレア・アポラーと呼ばれているが、と言っていたけど、
アポラーとは似て否なるものだった。
アンコールはロンダ・デ・トナー。
歌い継ぐトナーの響きに香る伝統。
職業をほかにもちつつも
一生涯、歌い続けて来たフラメンコの伝統。
プロの磨き抜かれた技もいいが
こうして好きな歌をじっくり歌い続けて来た人たちに
フラメンコは多くのものを負っている。
0 件のコメント:
コメントを投稿