アントニオ・ナハッロが芸術監督に就任して初めての、
スペイン国立バレエ団本拠地サルスエラ劇場公演。
新作「アンヘル・カイード」と、
アントニオが自分の舞踊団で昨年2月に初演した「セビージャ組曲」の2部構成。
「アンヘル・カイード」と「セビージャ組曲」は、
「正反対の」対称的なふたつの作品だ。
「アンヘル・カイード」は黒と白の世界。
照明もどちらかといえば暗く重い印象。
「セビージャ組曲」では色彩が、光があふれる。
「アンヘル・カイード」では
現代的な、コンテンポラリー・フラメンコの振り付けが続き、
「セビージャ組曲」では
大舞踊団時代を彷彿とさせる、“ティピカル・スパニッシュ”な、
ショーアップされた振り付けである。
そのどちらもがフラメンコ/スペイン舞踊である。
スペイン舞踊のバラエティの豊かさのほんの一部を広げてみせた、というところか。
「アンヘル・カイード」はラトーレら一線のフラメンコ舞踊家による振り付け。
「セビージャ組曲」はアントニオ・ナハッロ監督自身による振り付け。
だが、初演時にあった彼のソロはここではなく、彼が踊っていたほかの役もバレエ団の踊り手たちが踊っている。アントニオは踊り手であることより監督であることに重きをおいて、少なくとも現在のところ、この歴史あるバレエ団を導いていくつもりのようだ。
3月29日、ゼネストの日をのぞき全日満員という盛況。町にあふれた
ポスターゆえもあるだろう。そして新監督への期待も。
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