14日目はモネータを前日にみたのでお休み。
いよいよラストスパートの15日目はマリア・パヘス。
日本でも人気のベテラン・バイラオーラ、
独自のスタイルをもっている踊り手だ。
すっきりと洗練された舞台。
照明や影を効果的につかい
フラメンコ以外の音楽を積極的にとれいれ
フラメンコのテクニックで踊る。
空間に絵を描くような長い手足の柔らかな動き。
よく訓練された群舞。
テーマ性をもった作品。
今回もそのスタイルそのままの作品だ。
アストゥリアス地方のアビレスにある
オスカー・ニーマイヤー国際文化センターと舞踊団の制作で
同センターで昨年初演されたもの。
104歳のブラジル人建築家ニーマイヤーにちなんだ仕掛けがいろいろ。
吊られた三つの紐が
場面場面で形を変え描いて行く曲線もそのひとつ。
プログラムには「8つの風景をもつ道」とある。
Foto; Jveir Fergo |
最初の風景は“ユートピア”
ブラジル人ミュージシャンの弾き語りで
グレーの衣装に身を包んだ踊り手たちによる群舞。
流れるように、また寄せてはかえす波のように進んでいく。
次の風景は“会話”
男女同権とバランスをテーマに
黒の総タイツのような衣装で
マリアがチェロの伴奏でファルーカを踊る。
Foto;Javier Fergo |
振り付けは元同舞踊団のホセ・バリオス。
3つめは“壊れた時”
人生のはかなさ、がテーマだそうだ。
トリージャを歌うフアン・デ・マイレーナに引き続き
薄明かりの中で群舞によるソレア。
一人ずつの小さなブレリアのソロがあったり。
歌詞にネルーダやセルバンテスをつかっているそうだが
その肝心の歌詞がよく聞き取れない。
作曲の問題?歌い手の発声?
4つ目の風景は“意識と欲望”
自分の中にある影の影を
マリアがレバニエゴのギターで赤いドレスで踊る。
Foto; Javier Fergo |
ドレスは二枚重ねたようになっており
その上のたっぷりした1枚をマントンのように使うのが面白い。
ほとんど同じ位置で動かず腕と上体の動きでみせるのは彼女の十八番。
顔に布をかけたり、肩にかけたり。
“一緒に行こう、仲間たち”が5つめ。
テーマは連帯。
群舞でのアップテンポのマルティネーテ
(とプログラムにあるけどギターも入るのでシギリージャ?)
6番目“赤い道”は
タラント。
Foto; Jvier Fergo |
黒と赤の衣装のマリア。
7つめの風景“そこが住みたいところ”は
グアヒーラとタンゴ。
男たちはパルマ。女たちはアバニコ。
マリアだけ大きめのペリコンをつかって。
Foto;Javier Fergo |
最後は“高み”。道の終わり。
下手でブラジル人ミュージシャン囲んでルンバ風に踊る。
最後の最後は後ろにのぼりはじめの太陽のような白い半円。
アレグリアス・デ・コルドバを
マリアが白に墨で絵が描かれたバタ・デ・コーラで踊る。
バタをまきつけたりほどいたり。
Foto;Javier Fergo |
そして上体の柔らかな動き。
先ほどの深紅のドレスのときと衣装こそちがうが似た感じ。
もっとフラメンコに踊ってほしい、と思うのは贅沢か。
初演のときだったか、ラジオのインタビューにこえたえて、
「舞踊と建築はよく似ている」
と言っていたマリア。
たしかに彼女の舞台は設計図をかいてきちんとつくりあげていく感じといい、
空間処理といい、建築的な舞踊といえるだろう。
彼女の腕の描く曲線とニーマイヤーの曲線。
出会うべくして出会ったのかもしれない。
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