2012年2月25日土曜日

ヘレス・フェスティバル2012 1日目夜 アンダルシア舞踊団

ヘレス・フェスティバル2012初日は
クリスティーナ・オヨスに代わって
新しくアンダルシア舞踊団
(バレエ・フラメンコ・デ・アンダルシア)
監督になったルベン・オルモの振り付けによる
「メタフォラ」


初日恒例のベネンシアがロビーで。
ベネンシアとは
シェリー酒を樽から柄杓で注ぐ儀式
名人は少ない動きでエレガントにみせてくれます。
もちろん注いだシェリーは希望者に


ちなみに劇場入り口では市の警官たちが
初日に来る政治家たちを狙ってデモ。
ヘレス市は経済破綻しつつあり
市の警官ももう何ヶ月もお給料をもらっていないそう。
う〜ん、たいへん。

さて「メタフォラ」
第1部がフラメンコ組曲。
ギターソロが響く。
エミリオ・デ・ディエゴの「血の婚礼」や
マノロ・サンルーカル「メデア」を思い出させる見事な演奏は
ダビ・カルモナ。
マノロ・サンルーカルの第2ギターとしても活躍中の彼、
師の影響は顕著。決してコピーではないのだが
目をつぶって聴けばマノロ?と思うに違いない。
叙情的で繊細な演奏。
ミュージシャンたちは上手奥の台の上。
5人のバイラオールのブレリアス。

続くアレグリアスが私にとっては当夜の白眉。
水色のバタの群舞
写真Javier Fergo
最初の一振りだけでマティルデ!
と叫びたくなるほどのマティルデ振り。
愛娘ロシオ・コラルの振り付けは
母へのオマージュ。
伝統的なアレグリアスの
ゆったりした動きの美しさ。
衣装の華やかさ。
スペイン国立バレエ団のフラメンコ組曲の「カラコーレス」を
彷彿とさせる。
そこにオレンジ色のバタのパストーラ登場。
写真Javier Fergo

これまたムイ・セビージャに踊ってくれた。
今一番フラメンカな踊り手。
この熱! 
伝統に彼女ならではのchispa火花が加わり
いやあ堪能させて頂きました。
形がとにかくかっこいい。
とくに頭の位置の決めがみごと。
思わずオレ!連発でございます。

続くタランタは舞踊団ソリストによるパレハ。
長い。
男性エドゥアルド・レアルは頭の位置が決まらない。

再びパストーラでハレオ
紫の衣装は黒のバックで少々観づらいが
やっぱいいなあ。

最後は全員でカナステーラ風というか
ブラウス、長いスカートにエプロンというかっこでタンゴ。
黒のバックではゲストのはずのパストーラよりも群舞が目立つ。
これってちょっと変だよね

ここで休憩。

第2部はダンサ。つまり舞踊。
フラメンコ以外のスペイン舞踊の可能性を垣間見せてくれる。
この第2部はコルドバ交響楽団が伴奏。
だがこの音楽がむむむ、な出来なのが残念でならない。
パーカッションのアグスティン・デイアセッラと
ヘスース・カジュエラの共作というのだが。
いろんな曲のフレーズをまとめて貼付けた、
出来の悪いパッチワークみたいな曲。

幕開きはルベン、その人のソロ。
バレエシューズで、
バレエ的なテクニックをもつかっての彼のソロというのは
前作「トランキーロ・アルボロト」でもみせたもの。
しなやかで美しい動きをみせる身体
続いて群舞のワルツ風
民族舞踊風
(マラガとグラナダの民族舞踊に想を得たそうな)
写真Javier Fergo

そしてゲスト、ロシオ・モリーナのソロ。

写真Javier Fergo

ロシオは生まれついてのダンサーだ。
あいかわらずいまいちの曲ながら
そのダンサーとしての才能を発揮する。
回転。形の美しさ。細部に至るまで気を抜かない。
白いドレスもよくにあっていた。
最後は黒い衣装での全員のブレリア。

全体を通してのイメージは国立バレエ未満。
グラン・アントニオやピラール・ロペスらの
往年のスペイン舞踊団へのオマージュという意味あいもあり
最後のあいさつのときには後ろに
カルメン・アマジャ、グラン・アントニオ、アントニオ・ガデス、
アルヘンティニータとピラール・ロペス、
マティルデ・コラル、ファルーコ、ラファエル・エル・ネグロ、
マリオ・マジャ、グイトら、
フラメンコ舞踊の巨匠たちの肖像。
前作ではマヌエラ・バルガスへのオマージュを織り込むなど、
古きに学び伝統に新しい息吹を与えようとする姿勢は素晴らしい。
でも今回の作品はまだ改良の余地がありそうだ。
腕が窮屈そうなジャケットや
仮装のような民族舞踊風場面の衣装。
アルハンブラ風の美しいアーチの装置もいかされてたとは言い難い。
色の整理。人の整理。
結局パストーラ・ガルバンとロシオ・モリーナの、
個人の力ばかり目立ち、
群舞の力がみえてこないのも残念。

これが初演だから
この後の公演では改められるところもでてくるだろう。
セビージャでの再演をみるのを楽しみにしよう。


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