ベルリン・フィルハーモニーといえば世界最高峰のオーケストラ。
その創立記念日である5月1日には毎年、ヨーロッパ各地の代表的な劇場などで
記念コンサート“ヨーロッパコンサート”を開催、
世界各国に中継されている。
今年はオクスフォード大学、 昨年はナポリのサン・カルロ劇場、
一昨年はモスクワ音楽院ホールで行われたこのコンサート、
来年はスペインで開催される。
会場となるのはマドリードのテアトロ・レアル、王立劇場だ。
プログラムはシャブリエ「狂詩曲スペイン」
ホアキン・ロドリーゴ「アランフェス交響曲」
そしてラフマニノフの「交響曲第2番」。
そしてこのアランフェスをパコ・デ・ルシアが弾くというのだ。
パコ・デ・ルシアがアランフェス交響曲を初演したのは1990年。
スペインの本などでは1991年パリ公演が初演としているものもあるが
90年5月15日 東京の今はなき厚生年金会館で演奏したのが初演のはず。
(当時、本人から中南米でプレ公演をしたと聞いた気もするのだがうろ覚え)
オーケストラはテレマン室内管弦楽団で、
指揮はクラシックギタリストのホセ・マリア・ガジャルドだった。
その後、91年2月14日にパリでヨーロッパ初演し
4月25日にマドリード郊外のトーレロドネスで録音したのがこのアルバム。
共演はエドモン・コロメル指揮のカダケス交響楽団 。
アルバムジャケットにあるように作曲者のホアキン・ロドリーゴも訪れ
アンコールで舞台に挨拶に立った。(写真では座っているけどね)
あのときは二日とも行ったけど、パコのご両親やお兄さんたち、
トマティート、セラニート、ケタマの面々なども客席にいたのを覚えている。
オーケストラには日本人のバイオリン奏者(村田穂積さん)もいて
感想きいたら「ステージでタバコをすうのにびっくりしました」
いやあ、あの頃は劇場でもタバコ吸えたんですね。今はだめだけど。
ついこの間のことのようなのに、あれからもう20年。。。。
ロドリーゴも、パコの両親も、長兄ラモンも今はない。
パコは楽譜をよめないという伝説があるが、実は読めるんだそうだ。
でも、 一見で弾けるという具合に
すらすらよめるわけではないので
アランフェスも楽譜で学んだわけではないという。
初演の前後もCDウォークマンでクラシックギタリストによるアランフェスの演奏を聴いていた。
「聴いて覚える方が早いからね」
でもその演奏はクラシックギタリストとは
ひとあじもふたあじもちがったフラメンコなアランフェスだ。
聴いて覚えていたのは曲であって演奏ではない。
目の前に、
スペインの赤い、乾いた大地が浮かんでくるような、
どこか野性的なパコのアランフェス。
力強くリズムをキープして突き進むパコのアランフェスは
私にとってのスペインそのもの。
初演当時、 クラシックギタリストに酷評されたりもしたが、
作曲者ホアキン・ロドリーゴはパコの演奏を気に入っていたのだという。
さもありなん。
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