フラメンコへの愛が生まれ
深い深いシギリージャや
華やかなアレグリアスへと昇華する。。。
エレガンシア、“優雅”さといえばこの人、の石井智子。
ヘレスばりばりのフラメンコ、ディエゴ・カラスコとの驚異の共演から1年。
今回はディエゴのコンパドレ、
大親友モライート・チーコもよんでしまうという大技を繰り出し
再び私たちを驚かせてくれた。うれしい驚き。
90年に「ビエナルのスターたち」で初来日。
数年後にトルタの伴奏でフラメンコ協会のフェスティバルで来日して以来のことだ。
彼らに加え、アルフレドとダビのラゴス兄弟とその叔父アギラール・デ・ヘレスと、
ヘレスの面々で脇を固めての舞台。
ディエゴの歌声で目を覚ました石井は
アバニコやカスタネット、バタ・デ・コーラと、
見事なテクニックでフラメンコへの愛を示す。
続くモライートのブレリアはまったくのソロ!
スペインだと必ず入るパルマもない。まったくの素のブレリア。
ごまかしのきかないシンプルさ。
地の、血のリズムがぐるんぐるんまわっていてその上にふわっとのせたような
そんなブレリア。
続くタンゴも、ブレリア同様、自然なリズムに身体をまかせてるような気持ちよさだけど
ときどき見え隠れする、黒い魂が、うん、フラメンコだねえ。と既にごきげんな私。
群舞のかたちの美しさは特筆もの。
群舞を踊るのは生徒さんたちの舞踊団。
生徒は先生の鏡だけど、先生のいいところ−美しい上体の動きや柔らかな腕の動き、あざやかな足さばきなどを、しっかり映しているのが二重丸。
そしてそれに続くラゴス兄弟のソロも、ソリストらしい素晴らしさ。
アルフレドがエル・フラメンコで弾いてたのは20年前。
ダビが歌っていたのはそのあとだが、いやいや、すごいプロになったものだ。
そしてシギリージャ。
モライートの世界一のシギリージャを踊るという贅沢な一曲。
バタ・デ・コーラにカスタネット。
歌をゆっくりしっかりマルカールし、
伝統への敬意を現した。そのかたちの美しさ。
一人で、パコ・デ・ルシアやホアキン・コルテスも立ったあのゆうぽうとの舞台を
いっぱいにしてしまう。
大きな舞台をめいっぱい大きくつかってきちんと踊る。オレ!
黒いバックに黒い衣装なので、照明はもう少し明るめでもよかったかな、とも思うし
せっかくモライートが弾いているのにミュージシャンのあかりも暗めなのはもったいない。
ディエゴがゆっくりとロルカ最終のスペイン民謡をうたいはじめる。。。
デバホ・デ・バホ・デ・ラ・レチューガ…
パケーラも歌っていた言葉遊びうた。。。
そしてはなやかなアレグリアスへと流れていく。
バタ・デ・コーラの群舞から石井のバタのソロ、
通常の衣装での群舞で石井が再び登場、とそれこそ魔法のようにかたちをかえていく。
ゆうぽうとという大舞台で、きれいに群舞を動かす、というのは
一人であの大きな空間をアルテでいっぱいにするのと同じくらいに難しいのだけれど
そのどちらも見事にこなしているのがすごい。
ミュージシャンたちによるタンゴ(タンゴ・デ・マラガ風からタンゴ・デ・トリアーナ風にいくという、ちょっと面白いもの)をはさんで
ディエゴと石井が子守唄、アラエアで共演。
群舞も入って全員での楽しいシーン。
いや、これ、ほんと、ヘレスの人にもみてもらいたいよ。
フラメンコは楽しい。フラメンコはすごい。
フラメンコは国境を越えるのであります。
アンコールのブレリア。
次々に飛び出てはひと踊り。
一人一人の踊りがめっちゃ短いのもよく、
モライートの伝説的なブレリアもさることながら、
ディエゴの小さな動きの思わずオレ!
というわけで楽しい気分で今年も劇場をあとにしたのでありました。
ブレリアに頼らずともヘレスらしさいっぱいの舞台。
石井は去年、今年とこの大舞台で確実に階段を上がったに違いない。
次に何をみせてくれるのか。楽しみなことである。
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