2009年8月17日月曜日

井上圭子さんのこと

ラ・ウニオンのコンクール決勝での井上圭子さん、ほんとうによかったんです。

課題曲のタラント。準決勝のときは髪もほどき、野性的に男性的な振り付けを踊っているという感じだったのが、決勝では同じ振り付けにもかかわらず、女性的な腕の動きなどをいかし、優雅さがでていました。きちんと勉強してきているからなのでしょう、正しい姿勢でテクニックもしっかりしていることもアピールできていたのではないかと思います。
しっかり落ち着いた踊りっぷりで、舞台度胸も感じられました。
表情もずっと美しく、どきどきするほど色っぽく、またドラマチックでした。
“思い”が、魂がこもったタラント、といってもいいでしょう。
たった二日間で、同じ振り付けが、細部を少し変えたとはいえ、こんなにも変わってくるものなのでしょうか。満員の観客を前に一人で大舞台をつとめたことで確実に階段を上ったように思います。

自由曲のソレアは水色のバタ・デ・コーラで。
バタの先まで神経をつかった、というよりも、愛情をこめたバタさばきはたいへん美しく、なんとも底力を感じさせる踊りでありました。

結果的に入賞することはできませんでしたが、それでも彼女はラ・ウニオンでたしかなものをつかんで帰っていったと思います。

そして彼女が、毎日の練習と努力でつちかった実力で、スペインでも権威あるものとされるコンクールの決勝まで進み、またそれにふさわしいと多くのスペイン人たちから言われる舞踊を披露したことは、同じ国に生まれたアフィシオナーダである私にとっても誇りに思います。

うん、日本にはきっと彼女のようにフラメンコが好きで、一生懸命練習を重ね、実力がある人がたくさんいるのだろうな。私が知らないだけで。
ふだん華やかなスポットライトをあびることのない、日本中のバイラオーラ、バイラオールたちに心からの拍手をおくりたいと思います。






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