ロペ・デ・ベガ劇場の改装工事の遅れから急遽、カルトゥハセンターでの公演となったダビ・ラゴス公演。会場変更初日ということもあって20時予定の開演が20時半に変更。またロペの入場券は窓口で、収容人員もより多いこの劇場の入場券に変更しなくちゃいけないという手間もあり、なんかざわざわしている中、開演。
長年、イスラエル・ガルバンの作品で共演してきたアレハンドロ・ロハス・マルコス、サックスのフアン・ヒメネス、パーカッションのアントニオ・モレーノ、そして兄で前回ビエナルのギターのヒラルディージョ受賞のアルフレド・ラゴスというミュージシャンたちに、ヘレスのパーカッション奏者ペリーコ・ナバロ、ダビの奥さんで歌い手のメルチョーラ・オルテガ、パルメーロとしてヘレスの踊り手ミゲル・テジェスが加わり、ダビもよく伴唱していたイサベル・バジョンも病気から復活して参加。こんな強力な布陣で繰り広げたのは、現代音楽で彩られたカンテ(とバイレ)で語るのは歴史の中に埋もれていく声なき人々の声。
©️ Archico fotográfico Bienal de flamenco / Claudia Ruiz Caro |
アナーキストの組織に所属していると処刑されたヘレスの農民たちをテーマにしたトリージャはサックスとパーカッションの伴奏で。
モレンテのオメガなどのメロディなども使ってマラガからアルメリアへと向かう避難民への爆撃を歌い、イサベル・バジョンは金色のワンピースで息をあらげて、黙らざるを得なかった女たちを踊る。
©️ Archico fotográfico Bienal de flamenco / Claudia Ruiz Caro |
既視感のある場面もあるなあ、と見ているうちに思い出したのがイスラエル・ガルバンの『ロ・レアル』。ヒターノ迫害をテーマにしたあの作品の第2部というか、別伝、みたいな感じなのだ。
アイデアをそのまま、ではないが、そこにヒントを得て膨らませて作り出していったという感じ。イスラエルの影響は舞踊だけでなくカンテにまで及んでいるんだなあ、と実感。
メルチョーラが歌って踊るルンバで一息ついて、クラビコードで伴奏されるシギリージャ、アルフレド・ラゴスのギターソロが心にしみて、それに続くカンティーニャスではイサベルがコリンで踊る。最後は踊り手ミゲル・テジェスがスペイン歌謡を歌って、ゲイの悲哀へのオマージュも。この歌がうまかった!。そして早口言葉のような言葉遊びでレケテレケテと繰り返すフィナーレ。
ダビの、存在感のある声が主役となって、語られる物語。よく考えて作られた作品で、カンテの世界でこんな風な試みができる人は希少で貴重だと思う。
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