イタリカはセビージャ郊外サンティポンセの街にある遺跡で、かつてローマ皇帝二人を産んだ地名。その遺跡を舞台にして1981年に始まった舞踊祭。セビージャ県の主催で、遺跡のほかの県内でも公演が行われる。
今年の幕開けを飾ったのはアンドレス・マリン。
©︎Lolo Vasco Festival de Italica |
モーリス・ラヴェルの音楽を、フラメンコダンサー、スペイン舞踊ダンサー、バレエダンサーの4人の女性ダンサーと、ピアノとサックス、パーカッションの音楽で踊るという。
日本ではイスラエルがストラヴィンスキー『春の祭典』やってるし、その前にも『恋は魔術師』やってるし、ビエナルではフェルナンド・ロメーロが『牧神の午後』『春の祭典』『ボレロ』踊ってたし、クラシック音楽とフラメンコって今、流行ってるん?
いやいや、もともとフラメンコとクラシックって案外近くて、アンドレスが前日の記者会見で言っていたように、フラメンコダンサーもクラシック音楽でスペイン舞踊を踊るのが普通で、「父は公演に行く時オーケストラ用のスコアも持っていってた」わけで。今でこそフラメンコとスペイン舞踊がそれぞれ、より専門化してるけど、振り返るとそこにあった、ものなのかもしれません。
前に進むため過去を振り返り自分のルーツを確認し新しいものを生み出す、的なことかな、と思うのでありますが、もちろん、過去のクラシコ・エスパニョールとはまた全然違ったアプローチであることは言うまでもないことで。
アンドレス・マリンはフラメンコなんだけど、今回の彼はフラメンコにこだわらずより自由で、面白かった。楽しい、という面白いよりも、興味深い、の方が強いかな。でも本当に面白かったんだよ。
©︎Lolo Vasco Festival de Italica |
ダンサーたちはご覧のようにもじもじくん、もしくはショッカーを思い出させる全身黒タイツ。顔も覆っている。フラメンコ二人は靴でわかるけどね。サパテアードや、カスタネット、マントンなども使うけどとにかく動きが、スカートなどの誤魔化しなしにそのまま見えるわけで。それが狙いなのかな。
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アンドレスだけは顔出しで、指揮者的に、場を統率していく感じ。
©︎Lolo Vasco Festival de Italica |
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音楽はラヴェル。スペインの音楽にインスパイアされた曲も多いラヴェルで、ソレアのメロディーじゃん、って思った曲があったとアンドレスが言ってたから、途中サックスがソレアのメロディーみたいに演奏してたのも、きっとラヴェルの曲なのでせう。うーん、もっとラヴェル予習していけばよかったかなあ。
黒子ダンサーズは、クリスタル・パイトの『ボディ・アンド・ソウル』で、ラバースーツみたいなのを着てトゥシューズってのがあったけど、ちょっとあれを思い出させる。無名性や異質なものの融合、ってことなのかな。
ビエナルでの『ラ・ビヒリア・ペルフェクタ』でコンセプトや美術を担当したホセ・マヌエル・ペルニゲスが今回も入っていて、おそらく彼のアイデアが色々入っているのでありましょう。
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『ボレロ』はセビージャの作曲家アルベルト・コレテロによる換骨奪胎版を使っていて、これはこれで面白かったけど、音デカすぎ。でも動き的には想定内、かも。
と思ったら最後にバレエダンサーが黒子の衣装脱ぎ捨て全裸トゥーシューズ。筋肉の動きとか見えて面白い、じゃなくて、これも、暗喩なのかなあ。わからん。
とにかく、止まらない妄想/創作力と探索、inquietud y busquedaという感じ。
©︎Lolo Vasco Festival de Italica |
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面白いなあ。
で、他のダンサーに気を取られ、いつも気になる首前姿勢もあまり気にならなかったのでありました。
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