幕開きは『Aquellos tren(あの列車)』。イネスの息子、ホセが作った、ヒターノ迫害を歌った歌だ。新しい曲なのに、この人にかかると昔から歌い継がれてきた歌のように聞こえてくる。いつものように、あの太古の響きをもつ声で、ゆったりと歌う。ギターはいつの間にかすっかり髪が白くなったエウヘニオ・イグレシアス。ベルナルド・パリージャのバイオリンが絡む。
2曲目はカンティーニャ。独特の味わい。レトラを、通常の他の歌い手とは違うように伸ばしたり、切ったり。セビージャのギターとヘレスのパルマ(チチャリートとラファ、そこにビセンテ・ペーニャが加わっている)。セビージャ県ながら、ヘレスに近い町レブリーハらしいセレクションと言えるかもしれない。
Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro |
なぜか、それまでパルメロたちが座っていたところに移り、ファンダンゴ。ギターもなしに、次々に、間も開けずに4つ歌う。こういう形でファンダンゴ歌うの初めて聞いたかも。
Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro |
また元のところに戻って(移動はなんのためだったんだろう。机叩くわけでもなかったし)、ソレア。
この人の歌は、とにかくナチュラル。自然で嘘がない。劇場の舞台の上でも、まるで自宅のサロンにいるかのように、構えることなくそこにいて、近所の噂話でもしてるかのように、歌う。彼女にとって歌うことは普通のことなのだろう。気負いやてらいはなく、自分の中にあるものを出てくるに任せている、そんな感じだ。テクニックとか、アカデミアとかそういうのとは一番遠いところにいるような気がする。
再び息子作のナナ。Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro |
レブリーハ風ブレリアも淡々と歌う。ヘレスのパルメーロが宝の持ち腐れかも。ゆったりゆったり。
Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro |
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