1963年バレンシア生まれだが、30年以上コルドバに住む、ハビエル・ラトーレへのオマージュ公演であります。子供のときに歌って踊り、初舞台を踏み、グラン・アントニオが監督を務めていた国立バレエに入り、ソリスト、第一舞踊手と上り詰め、退団後はコルドバのコンクールでは3部門で優勝し、史上初のアントニオ大賞を受賞。自らの舞踊団を立ちあげ、作品『アルバ家の娘たち』『運命の力』を上演。健康上の問題で一時舞台から遠ざかっていたが、復帰後はウニオンのコンクールで優勝したのをきっかけに、再び、各地の舞台に、振り付けに、と活躍。代表作にはアンダルシア舞踊団『コサス・デ・パジョ』、自らの舞踊団での『リンコネテとコルタディージョ』、国立バレエ『エル・ロコ』、小島章司舞踊団『ラ・セレスティーナ』などがあり、現在も各地でクルシージョを行い、作品の振り付けも行うなど、活躍中のハビエル。
その彼のために、各地から多くのアルティスタたちが集まりました。
第一部はアンダルシア舞踊団の『コサス・デ・パジョ』の第3楽章で始まりました。
Concurso Nacional de Flamenco Córdoba Rafael Alcaide |
今月26日、マエストランサ劇場でのアンダルシア舞踊団25周年記念公演のため、ちょうど振り写しをしているところだそうです。初演の時の感動とはまた違うけれど、ああ、アントニオ・ナハーロ前国立バレエ監督の振り付けにも通じるような、時代を先駆けた振り付けだったなあ、と再確認。ドラマチックな振り付けであります。
国立バレエのソリスト、ミリアム・メンドーサのソロ『チャコーナ』は、スペイン舞踊の名教授、ベティ先生ことビクトリア・エウヘニアが、かつてマリベル・ガジャルドのために振り付けした小品。とにかくひたすら美しく、涙が出そうでした。
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ハビエルがこの作品を踊った訳ではないけれど、スペイン舞踊のテクニックはハビエルの振り付けに欠かせないものだし、その基礎があってこそ、彼の世界が生まれたんだなあ、と感じさせます。
小島舞踊団の作品にも夫婦二人揃って出演したクリスティアン・ロサーノとタマラ・ロペスもスペイン国立バレエの出身。ハビエル振り付けの『エル・ロコ』でも、主役を踊った二人は、クリスティアンが今年へレスで初演した作品『トレンカディス』の一場面を。
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モデルのようにハビエルの影響があるなあ、と思わされます。
スペイン国立バレエの第一舞踊手フランシスコ・ベラスコが踊る『サラサーテのサパテアード』は昨年の日本公演でも観客を魅了したグラン・アントニオの名作。男性舞踊の粋!アントニオに直接教えを受けたハビエル。彼の踊りの形にその足跡が見つけられます。
そして最後はエバ・ジェルバブエナ。彼女を自分の作品に起用して、フラメンコ界に知られるきっかけを作ったのがハビエル。
黒い衣装でソレアを踊ります。
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休憩を挟んでの第二部の最初はハビエルによるファルーカ。
ハエン生まれでコルドバに長らく住んでいたピアニスト、アルフォンソ・アローカの曲の録音で。
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形の美しさ、動きの余韻。素晴らしい。キリッとしていて、でもやわらかでもあり。
いやあ、この夜の一番はやっぱこの瞬間でしょう。
続いて、小島のタラント。
チクエロのギターのイントロに導かれ、ロンドロの歌を舞う。その味わい。深み。
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愛娘アナ・ラトーレによるタラントに始まり、エンカルナ・ロペス、マラ・マルティネス、モネータ、ペドロ・コルドバ、カレン・ルゴ、マルコ・フローレス、メルセデス・デ・コルドバ。
彼のクラスに子供の頃からあしげく通った人もいれば、幾つかのクルシージョを受けただけの人もいる。でもそれぞれがそれぞれに個性的で素晴らしい!
個人的にはサエタやトナーを踊ったマルコとアレグリアスのメルデセスが印象に残ります。マルコの繊細さ。メルセデスのドラマティックさ。すごいなあ。
ペドロの男性舞踊の王道を極めていく感じもいいし、カレンの独特な表現も魅力的。
モネータはブレリアで会場を沸かせ、マラは巧みで、地元で教室を開くエンカルナも生徒たちの応援で生き生きと。
歌ではロンドロ! 深みが出てきてて、もうダントツであります。
いやあ、考えてみればたくさんの素晴らしい才能がハビエルによって花開いているのですね。
この日いなかった人も皆、それぞれに個性的なのがハビエルらしいと言えるかもしれません。
縮小コピーを作るのではなく、フラメンコの魅力と可能性を教え、個性を伸ばす名教授なのです。
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