2018年6月10日日曜日

第1回全日本セビジャーナスフェスティバル

6月9日土曜は第1回全日本セビジャーナスフェスティバルで審査員を務めさせていただきました。
参加者の皆さん、受賞された方もそうでない方も皆さんおめでとうございます。
皆さんのフラメンコ愛、確かに伝わりました!

小さな子から若い人、年配の方まで、全員が努力して、踊って、楽しんでいることに感動。いやあ、日本のフラメンコが根っこをしっかり張っていると実感しました。女性が圧倒的多数ではありましたが、男性も頑張っているのは嬉しい限りです。

セビジャーナスはもともとセビージャのお祭りで踊られる、一般の人たちが楽しむ踊りで、基本、専門家が踊るものである、他のフラメンコ曲とは一線を画しまmす。
フラメンコ舞踊のレッスンで最初に取り上げられることが多いということもあり、日本でも多くの人が踊ることができる曲でしょう。
ということもあってか、22グループの参加者、プロから初級者まで、レベルも年齢も様々。発表会風あり、フェリア風あり、舞台作品風あり、とそれぞれに工夫を凝らして頑張っていました。
カスタネット、マントン、アバニコなどの小物使いの工夫。
フォーメーションの工夫。衣装の工夫。
出演者の方々も、他のグループの演技を見ることは勉強になったのではないでしょうか。

劇場の舞台で、コンクールとして競っている、ということもあるからか、緊張しているのでしょうけれど、笑顔がない人もいたのは残念。セビジャーナスは笑顔が基本です。
また、二人一組で踊る時に相手と視線を交わすのも基本中の基本ですが、こちらもやはり自分の踊りに一生懸命すぎて相手を見ることができなかった人もいたようです。
とは言いながら、昨日の参加者、誰でもセビージャのフェリアで、地元の人と一緒に踊れるはずです。
このフェスティバルが毎年続いて、このフェスティバルからセビージャのセビジャーナスコンクールにゲスト出演したり、フェリアで踊ったりする人がどんどん出てきますように。

なお、入賞者は、審査員の話し合いによって決定しました。
ほぼ全員が同じグループを良いと思い、意見の相違が全くなかったことは驚きです。
審査員の生徒さんも出演しておられましたが、その先生は自分の生徒たちのグループを推すことは禁じられていました。結果的には審査員の生徒さんのグループが入賞することになりましたが、それはその先生の他の審査員が支持したことによってだったことも特筆しておきましょう。
(スペインのコンクールや各賞決定の時、家族や関係者がその賞に対する投票の辞退をするということは、20年くらい前のビエナルの各賞の時にもありました)






受賞者を含め、全参加者の簡単な感想を簡単にまとめてみました。
なお、これはあくまでも志風個人の見解であり、審査員全体のものではありません。

1。小形衣里フラメンコスタジオ、ラス・フローレス
女性8人の華やかな色彩のバタ・デ・コーラでのグループ。二人で組んでも一人で踊っている感。バタの扱いも初級。前に行きがちな肩修正すれば良い。
2。RAPSODAS
女性二人。マントン、アバニコ、カスタネットで変化をつける。舞台を大きく使っているのはいいが、これも二人の目線が交差しない感じというか、ソロ二人ぽい。
3。Buena suerte con Sevillanas
男性一人、女性二人。男性も女性振りのような感じ。基本の振り付け。
4。大野環フラメンコアカデミア「EL ANILLO」
青い衣装の4人。カスタネット。首の位置、注意。ちょっといいものを感じさせる人あり。
5。CUATRO FLORES
赤字に黒のアニマル柄風のスカートの女性4人。アバニコ。楽しそうに踊っているのがいい。ちゃんと相手を見ているのもマル。フェリア風のセビジャーナス。
6。Studio Si セビージャ賞
10人。セビージャのフェリア風。楽しそう。今風のあみあみだけのシージョをマントン風に使ったり、パリージョを使ったり。そのままセビージャのフェリアやコンクールに出ることができそうな感じ。
7。アカデミア・マルガリータ
バタ6人。白いブラウス。フラメンカなセビジャーナス。フォーメーションの変化もいい。笑顔不足が残念。
8。湘南マダーム
女性4人。衣装がいい。ピンクの人の笑顔がいい。セビジャーナスにはやっぱり笑顔。
9。ワークショップ ZAMA 努力賞
女性7人、男性2人の9人。一昔前のフェリアの雰囲気の衣装。初心者風だが、いいお顔、というか楽しそうに踊っている。普通のおじさんが踊っているのは新鮮!というか、セビージャぽい。
10。Mr. Kと4人の美魔女達
美魔女というけど、そんな年じゃないでしょう。黄色さんのいい笑顔。
11。arco irisアルコイリス 最優秀賞
こどもたち。衣装も髪のまとめ方、花のつけ方などのしつらえも正統派のセビジャーナス。こどもだから、というのを差し引いても高評価。
12。Las Tornillerias グラシア賞
女の子4人。掛け声かけながら元気に踊る。元気すぎてbruta、ちょっと乱暴。アバニコも使う。スペインで絶対受けるタイプ。スペインの友達に見せたい。
13。Les Cordobesas de Akabane 振付賞
アンダルシア州の旗の色でもある緑の衣装。フェリアで久しぶりに会った友達に挨拶するというお芝居から始まり、ラップバトルならぬセビジャーナスバトルがあったり、の舞台作品仕立て。群舞も慣れている感じで、クオリティが高い。
14。森山みえフラメンコ舞踊団
映画「セビジャーナス」のマティルデ・コラルに歌っていたパレハ・オブレゴンの曲を使って、マティルデのイメージなのか、マントンを使って。ここも肩が前に出てしまいがちなのが残念。ゆっくりなセビジャーナスはやさしそうに見えて実は難しい。
15。スタジオ・エランヴィタール マエストロ賞
なんと、碇山奈奈さん直々のご出演。何十年ぶりかで見た奈奈さん、セビジャーナスも秀逸。余裕があって、生き生きしていて、粋で、華がある。ストレートなセビジャーナスなのだけど奈奈さんの存在で全てが変わる。すごい。
16。Las pipas de Girasol
カスタネット付き。赤い衣装にマントンシージョ、冠のようなペイネータ。
17。プリマベーラ
決して下手というわけではないのだが、無表情なのが残念。笑顔が欲しい。
18。Pytagoras(ピタゴラス)
白い衣装。マントン。舞台に出るときは歩き方から舞台にいるという意識が必要では?
19。Contigo vino y baile
発表会風だがきちんとしている。カスタネット。好感が持てるのは相手の顔をちゃんと見ているからかも。
20。Diego y pitimini
男女デュオ。闘牛士とカルメン(?)風の芝居仕立てなようなのだがはっきり物語が伝わらないのが残念。構成の問題? それとも物語があるわけではなく、単なる衣装? マントンをつかっての女性は正統派フラメンコで素晴らしい。
21。ラティドスJr.
10人の小学生のグループ。よくできている。この中からいい踊り手が育ってくる予感。
22。ともだち列車たからもの家族号 特別賞
3組の親子?振付、フォーメーションがよく工夫されている。










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