2017年2月26日日曜日

ヘレスのフェスティバル「ソニケタッソ」

いやあ、楽しかった。
全力フラメンコ。
やっぱこれこれ、って感じ。
オレ!は間の良さ、形の良さにおもわずでちゃうもの。
カナーレスがコンパスをぐっとつかんですっと放す、その間合いの良さ。
グリロが聞かせる音楽のようなサパテアード。
いやあアンコールでは思わず、声かけちゃいましたよ。

アントニオ・カナーレスとホアキン・グリロ。
ビジャマルタ劇場のディレクターで、フェスティバルの監督でもあるイサマイが「ヌレエフとバリシニコフ」に例えたという、二人の共演。これが楽しくないはずがない。

Javier Fergo para Festival de Jerez
舞台の奥、高い台の上、ひな壇のように並んだミュージシャンたち。下からパーカッション、ギター、歌。下手はカナーレスの、上手はグリロの伴奏者、なのだが、それぞれのソロ以外は一緒に演奏。この舞台のイメージ通り、作品自体もシンプルな構成なのだが、この二人の怪物にはそれで十分。

オープニングのブレリアだけで胸が熱くなる。
軽やかでジゴロのような、ちょい悪な色気のあるグリロ。
重厚な存在感で圧倒するカナーレス。
ゴジラ対ギャオス。
手首にスカーフを結んでるのはなんでだろう。ま、細かいことはいいです。上手いから。

続くアレグリアス・コン・タンゴはグリロからカナーレスへ。
グリロはタンゴを踊ってもブレリアに見えてしまう。トリアーナ風の振りを結構やってたのにもかかわらず、というのも面白い。
Javier Fergo para Festival de Jerez
アントニオのアレグリアス、って珍しい。最初にちょこっと見せた、マティルデ風の振りとか、思わずオレ!でございました。
 息切れして彼の、あの最高のタンゴが見ることができなかったのは残念でしたが。
Javier Fergo para Festival de Jerez
トナに始まるシギリージャも良かったけど、カナーレスの十八番のソレアがまた良かった。二十数年前のソレアとベースは一緒。でも、細かいところが色々違う。あ、ここではもっと足を伸ばしていたな、とか思いつつ、昔の彼を重ねてみる。昔の方が、身体能力は高かったかもしれないが、今の重厚感もやっぱいい。力を抜くところとぐっと爆発させるところ、そのバランスがやはり素晴らしく、あ〜堪能させていただきました。

Javier Fergo para Festival de Jerez

グリロのマリア・デ・ラ・オという昔の流行歌での踊りやソレア・ポル・ブレリアも、もちろん悪くないのだけど、カナーレスという怪物の前ではこわっぱに見えてしまう。彼のおちゃらけたブレリアは好きなんだけれど、なんかおちゃらけすぎな、力の抜きすぎな感じや衣装のセンスはちょっと、でありました。
衣装、タイツのようなぴったりとした細身のズボン、踊りやすいのかもしれないけれど、裾はある程度広がっている方が見た目がきれいだと思う。広がっていると細かいサパテアードの時に引っかかる?いやあそこまで広げることはないか。アレグリアスの茶色い、アラブ風のようなベストは姿勢悪く見えるし、マリア・デ・ラ・オの白い衣装は王子様?うーん。写真で見ても裾のしわとか美しくない。
Javier Fergo para Festival de Jerez


とかなんとか言っても、やっぱりコンパスの人。靴音の音色も綺麗で、楽しませていただきました。
ありがとう。

なんでもこの作品、数年前のフェスティバルで、グアリダでホセ・バレンシアガ歌い、即興で店にいた二人が舞台に上がったのを見た、モンドマルサンのフラメンコ祭の監督の提案でできたものということだけど、個性の違う、二人の名人による、フラメンコな舞台、素晴らしかったです。

ビデオはこちら

〈b〉アントニオ・カナーレス、ホアキン・グリロ
〈c〉エル・ガジ、ヘスス・フローレス、カルメン・グリロ、マカリネス
〈g〉ミゲル・イグレシアス、フアン・レケーナ
〈perc〉ホセ・カラスコ、アネ・カラスコ



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