2015年8月28日金曜日

さよなら バリ!




バリが亡くなったと、フェイスブックで知った。
もうずいぶん前から老人ホームに入っていたけれど、時にそこからトリアーナまで遊びにきていて、今年も何度か会ったから、信じられない気もして、その話をかいた友達にメッセで詳細をきくのだけど、誰もよくわからない、という。
そうこうするうちに、ABC紙のウエブに記事が掲載された。記者は知り合いなのでメッセするがこれもこたえてくれない。
やっと連絡がついたのは元国立バレエのダンサー、ホセ・オルテガで、彼が詳細を教えてくれた。ロシオ聖母病院で亡くなったそうだ。それもセビジャーナスの歌い手のアントニオ・ディアスとレストランのオーナーのアントニオ・ドナイレという、すごく彼に近い人の話できいたというので、まちがいない。脱力。


バリはトリアーナの名物おじさん的存在だった。
ソレア・デ・トリアーナを歌わせたら止まらない。
ギター伴奏があろうとなかろうと、 延々と歌う。その声のよさ。節回しも正統派。
でも歌い手ではない。
セビジャーナスのグループ、シエンプレ・アシのアルバムの、フィン・デ・フィエスタで、ルンバ「チーカ・サルバへ」を歌ったのはヒットにもなったが、ルンバ歌手でもない。
でもフィエスタがあれば歌って踊って。
ロシオ巡礼にはコックとして同行したりもした。食べ物にはうるさく、それで老人ホームでも問題をおこすとひとづてにきいた。
牛乳ビンの底みたいな眼鏡をかけているが、はっきりはみえていない。だから、こちらが話しかけないとそこにいることもわからない。声をきけばすぐに名前をよんでくれた。
仕事をしているわけではないけど、愛されて、元闘牛士夫人などが面倒をみていたのだという。
彼についてのこぼれ話はつきない。
バルに行ってお湯をたのみ、コンソメキューブをいれてスープにして飲んでた、とか。
ビンゴで100万ペセタあてたのだけど2週間で使ってしまったとか。
本当でも嘘でもどうでもいい。彼にはそんな話がよくにあう。

昔のトリアーナの、長屋の中庭でのフラメンコの香りが彼にはあった。
だからどこにいっても彼に食事やビッテルカスやカセーラ、ファンタをおごってくれる人がいた。
トリアーナの懐の深さと豊かさだね。

なんかでお金が入ったときだったのか、2度ほどピアスをプレゼントしてくれた。
キーホルダーをプレゼントしてくれたこともあった。
だからなんだ、といわれたらその通りなのだけど、もったいないことにもうみんながききあきていた、 トリアーナのソレアが大好きでいつも一生懸命きいていたのがうれしかったのかも、と思ったりする。

もう会えないんだね。トリアーナも泣いている。


このビデオで隣にいるミゲルももうずいぶん前に亡くなった。
アルトサーノのバルは健在だけどね。

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