アデラ・カンパージョ、ラファエル・カンパージョの「サングレ」は
ロペ・デ・ベガ劇場で。
幕があくとシルエットで浮かぶ三人。
椅子に座ったラファエル、舞台奥のギターを持ったフアン、
そして床に座ったアデラ。
メトロノームの音で動きはじめ踊り始める。
一人で二人で
そこにギターが入り、と、洒落たオープニング。
最後は一人残ったラファエルが上手の台の上におかれたラジオの音楽で踊る。
トリアーナのタンゴで
トリアーナ・プーラのおじいさんのような
腰を落としておどけた振りなのだが
それさえしゅっとしてみえるのは姿勢の良さだろう。
曲が終わりラジオ抱えて引っ込むと
下手奥に白い三段ほどの階段。
そして雄鶏の絵。
サンタクルス広場のタブラオ、ロス・ガジョスだ。
黒いレースを組み合わせた白いバタ・デ・コーラでカーニャを踊るベゴニャ・アルセ。
パルマを叩くウーゴ・サンチェス。
どちらもロス・ガジョスの現役ダンサーだ。
短いカーニャが終わると階段からアデラ登場。
アバニコでのカラコーレス。
衣装もどこかちょっと前のはやりの感じ。
アデラが出ていた頃のロス・ガジョスは
アンヘレス・ガバルドン、ソラジャ・クラビホなど
息のいい若手たちが目白押しだったよね、
などと思い出しつつみる。
途中アバニコの一部が壊れてしまうアクシデントもあったが
最後まできちんと踊り抜いた。
動きに切れがあってムイ・フラメンカだ。
彼女に続きウーゴがブレリアを踊り
そこにベゴニャ、アデラと加わりタブラオ風のフィナーレ。
そこに客席からエンリケ・エル・エストレメーニョとカルメン・レデスマをよびこみ
一緒に少し踊るというお楽しみも。
ラファエルは
アンダルシア舞踊団のゲストとして当時の監督ホセ・アントニオと共演した
「ゴルペ・ダ・ラ・ビダ」を再演。
ホセ・アントニオはあのころよりかなり太ってしまったけど
だからこそこの振り付けの、
師から育っていく弟子、
という師弟関係やテーマがはっきりみえるかも。
この曲でのラファエルは昔風に腰高のズボンにベストという正装。
もともとコロカシオン、姿勢がいいラファエルだけど
この衣装ではそれが強調されてかっこいいことこのうえない。
手の位置、首の位置、すっと伸ばした足。
すべてがあるべきところにある。
完璧だ。
曲が終わると二人で挨拶、
そこでホセ・アントニオがラファエルの肩を押し
ファルーカへと続く。
決して客にこびることなく、奇をてらうことなく、
ストイックに、まっすぐ踊る。
美しい。
アデラは黒い衣装で登場し芝居がかったシギリージャ。
エンリケの歌に呼応して踊る彼女の美しさ。
哀しみにくれる彼女の前にラファエルが現れ
アレグリアス。
最後は椅子に背中あわせで座ってはじまる二人のソレア。
パレハの踊りとしてみたときには
もっと男性が女性をリードして、見守るように踊るべきでは、
とも思うが、
二人が競うように踊るのをみるのも悪くない。
最後は三人の母が歌うファンダンゴで幕。
みごとにつくりあげた“作品”
喝采にこたえてのあいさつではこの作品造りに協力した
メルセデス・デ・コルドバの姿も。
1時間半。
いいものをみさせて頂きました。
Bienal. Antonio Acedo |
ビデオはこちら
抜きん出た実力のある人なのに
これまで 知る人ぞ知るという存在だったラファエル。
これまで 知る人ぞ知るという存在だったラファエル。
それは彼が作品を余り作ってこなかったからだと思う。
90年代後半からビエナルはアルティスタやプロダクションが
プレゼンテーションした作品から選んでプログラムが組まれるという形になり
作品の企画を持ち込まないアルティスタは実力があっても出演が難しくなった。
それはヘレスなどほかの大規模フェスティバルでも同様であり
またとくに舞踊においては顕著だったため
彼のように素晴らしいダンサーが
セビージャ以外ではあまり知られることなかったのだろう。
アデラにしても同様。
2004年「カンパジェリア」というタイトルで
アデラと共演する作品を初演したが、
これは二人の舞踊をつなげただけのもので
2010年「プエンテ・デ・トリアーナ」を初演するまで
自分の作品といえるものがなかったけれど
今回の作品でヘレスやニームやモン・デ・マルサンなど
あちこちのフェスティバルで彼らの姿がみることができるようになるといいね。
2004年「カンパジェリア」というタイトルで
アデラと共演する作品を初演したが、
これは二人の舞踊をつなげただけのもので
2010年「プエンテ・デ・トリアーナ」を初演するまで
自分の作品といえるものがなかったけれど
今回の作品でヘレスやニームやモン・デ・マルサンなど
あちこちのフェスティバルで彼らの姿がみることができるようになるといいね。
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