恒例へレスのフェスティバル。第18回を迎える今年の開幕を飾ったのは
小島&ラトーレ舞踊団の「ファトゥム!」
昨年11月、コルドバのコンクールで初演された大作だ。
ベルディのオペラ「運命の力」と
それに基づいてハビエル・ラトーレが1990年に初演した「運命の力」
その二つの作品をベースにオリジナルの作品として作り上げたのは
コルドバやビジャマルタの劇場ディレクターを務めたパコ・ロペス。
舞踊作品「運命の力」を稽古中の舞踊団で
主役を踊るダンサーが麻薬に翻弄され死に至る、という物語で、
舞踊団による舞踊作品の中の舞踊作品と
ダンサーの物語が交差していく、という展開は
カルロス・サウラの映画「カルメン」などと同様の趣向といえよう。
小島は“運命”を演じ
クリスティアン・ロサーノ演じるダンサーを追いつめていく。
スペイン国立バレエ団で「フエンテ・オベフーナ」「ロコ」などの主役を踊り、
現在はエバ・ジェルバブエナ舞踊団で活躍するクリスティアンの
フラメンコとスペイン舞踊のみごとなテクニックと演技が
物語を彩り
写真全てJavier Fergo |
やはり元国立バレエ団のサラ・カレーロが
相手役としてこれもみごとなスペイン舞踊をみせる。
劇中の舞踊団の振付家で劇中劇の父親役を演じるハビエル・ラトーレの
振付けはグラン・バレエの名に恥じない。
そんな中でフラメンコ中のフラメンコをみせるのが
モネータとウーゴ・ロペス。
ウーゴのティエント、
二人でのタンゴス
そしてモネータのアレグリアス。
彼女の肩の使い方は特筆ものだ。
ちなみにこの役はラトーレ舞踊団の原作ではエバ・ジェルバブエナが演じた。
レベルの高い舞踊団員による群舞も迫力があり
ハビエル・ラトーレのソレア。
彼らしいエレガントさと重厚さ。
クリスティアン・ロサーノのペテネラ。
そしてサラが踊る「パチェ」
運命によって
死に導かれるダンサーは
実は若き日のハビエルその人の投影でもある。
小島によるマルティネーテ/シギリージャは
暗い死の淵を垣間見せ
ダンサーを死へと誘うのだった。
オペラとフラメンコ。
スペイン舞踊とフラメンコ。
すべての要素が一体となった大作で幕が開いたヘレスのフェスティバル。
今年はどんな作品がまっているのだろうか。
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