今年、
ロンドンのフラメンコ・フェスティバルで
初演となった、
エバ・ジェルバブエナの新作
「アイ!」
をマドリードの王宮隣、
サバティニ庭園に特設された舞台で
日曜、月曜の二日間公演された。
寄りかかるところが斜めに傾いてついた椅子。
時計のように、鼓動のように響く弦の音。
ホセ・バレンシアの声が
バイオリンの響きに重なる。
サパテアード。
時計のように
繰り返し打たれる靴音にアクセントがはっきり刻み付けられている。
エバの、
コンテンポラリー風の動きと
純粋すぎるほど純粋なフラメンコとが混在するのが彼女のスタイル。
今回も黒い衣装で
コンテンポラリー風と皆がいう、
伝統的なフラメンコにはない動き、
身体を傾けて腕をゆらしたりもあるのだが
それはすべてフラメンコの渦の中にきえてしまう。
時計のように刻むギターの音で始まるソレア。
パーカッションとのかけあい。
くるくると回るエバ。
そして椅子の上での超絶サパテアード。
彼女がパーカッションなのだ。
黒い衣装はそのままながら、
黄色に黒の水玉の巻きスカートを巻きつけ
腕にフリルの飾りをつけて
タンゴ。
この柔らかさ。
グラナダのおばあたちが見え隠れする動き。
子守唄
なくした子を思うような歌詞が
胸に迫る。
タランタからタラント
カレティージャとよばれる、連続サパテアードの中にも
しっかりアクセント。
こんなん初めて聞いた。
超絶技巧以外のなにものでもない。
ホセリートのカンテソロでカンティーニャスからアレグリアス
エンリケ・エストレメーニョとヘロモ・セグーラはブレリアスを掛け合いで。
この3人の歌声が
パコ・ハラーナのギターが、
エバを支える。
大掛かりな舞台美術よりもなによりも
彼女を際立たせる。
そして最後はシギリージャ。
黒いマントンが風にゆれる。
苦しみや哀しみが
全て浄化されて昇華していくクライマックス。
ここでも音楽的なサパテアードも印象的だが
あの小さな身体が何倍にもみえる、
表現力。風格。力。
嘆きでも驚きでも歓びでもある言葉「アイ」は
日本語の「愛」アモールにも通じるのかもしれない。
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