2012年6月14日木曜日

ファルキート「バイレ・フラメンコ」

6月13日、14日は
セビージャのロペ・デ・ベガ劇場で
ファルキート「バイレ・フラメンコ」

ほぼ満員の盛況で
客席には母ファルーカや弟ファルーの姿はもちろん
病から歩けるまでに回復したアンヘリータ・バルガスや
カジェターナ・アルバ女侯爵の姿も

「バイレ・フラメンコ」
というタイトル通り直球勝負。
今までの舞台で踊ってきたものをアンソロジーのようにみせる舞台。

ファルキートはほぼ舞台に出ずっぱりで
たっぷりとみせてくれる。


長年のパートナー、ロマン・ビセンティのギターではじまり
ファンダンゴ
伝統的な、腰高のパンタロンに短い丈の上着という衣装。
その軽やかな足取りに思わずオレ!
末弟マヌエル“カルペータ”も
しっかり大人の踊りをみせる。
二人のバイラオーラも登場し
期待は高まる。

続くファルーカは作品「アルマ・ビエハ」で踊ったもの。
これも伝統的な衣装で。
ファルーカはファイーコがつくった型があり、
アントニオ・ガデスもこれをうけついでおり
ホアキン・コルテスやサラ・バラスのファルーカもその流れにあり
この型から抜け出した振付けというのはまったく思い出せない。
だがこのファルキートのファルーカは全く違う。
ギターの細かな指使いをサパテアードで表現していくのを基本に
ファルーカにつきものの振付け(足やポーズ)を全くやらない。
最初に観たときもびっくりし興奮したが
今回もまた新たに驚嘆させられた。
細やかなサパテアードは精巧な銀細工のようだ。

ソレア
ソレアは祖父ファルーコの代表曲で
まだ幼かったファルキートと一緒に踊っていた姿が今も眼にやきついているが
(映画「フラメンコ」でも踊ってますね)
ここでみせたソレアはあれとはまったく違う、
ファルキートのソレアだった。

弟カルペータ、従兄弟ポリート、
二人のバイラオーラによるシギリージャをはさんで

タナとマリア・ビサラガが歌いかけるブレリアを踊るブレリアは白い衣装で。
この絡みが絶妙。
歌に、コンパスに反応してみせる動きが素晴らしい。
歌やギターと踊りの会話がこんなに楽しいアルティスタは少ないだろう。

続く作品「プーロ」のサパテアードだが
タンギージョのようなリズムの中に
アレグリアスのような雰囲気や
タナが歌うファンダンゴ・デ・グロリアや
ソレアのファルセータが登場するというもの。
臙脂色のスーツで舞う。

ここまでで45分。
公演としては短いのだが歌(ルビオ・デ・プルーナ熱唱)もギターもいいし
踊りもたっぷりあって充実していたせいで短すぎる気はしない。

マイクをとったファルキートが
観客席の家族やアルバ女侯爵、
そしてスタッフなどに感謝を述べ
2年前のビエナルで公演した「ソネリア」のセビジャーナス
セビジャーナスも振付け方によってはここまでフラメンコになるのか、といういい例。

そしてやまない拍手をうけてフィン・デ・フィエスタ
カルペータ

そして全員。


しかし世の中のファルケーロ、
ファルーコ風を気取っている踊り手たちと
本物ファルキートは似ても似つかない。
洗練されたフラメンコなのだ。

伝統にねざした
新しい自らのフラメンコをつくりあげていくファルキート
彼こそフラメンコそのものだ



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