2010年5月14日金曜日

アデラ・カンパージョ!

セビージャの木曜はフエベス・フラメンコス。
カハソル文化センター、ホアキン・トゥリーナ・ホールで行われる
フラメンコ公演シリーズ、5月13日の登場はアデラ・カンパージョ。
兄ラファエルとの共演などですでにこの舞台には立っていたが
セビージャでは初の、独り立ち公演。
タイトルは「オリソンテ」


幕開き。うすらあかりの中にほんのりと浮かび上がる、その姿の美しさ。
弧を描く腕がゆっくり動き出す。オレ!
黒い、膝丈のスカートで踊るのはガレーラ。
歌い手レブリハーノが名作「ペルセクシオン」で歌っていたこの曲を
昔からずっと踊ってみたかった、というアデラ。
ハビエル・リベラ、エル・ガジ、ヘロモ・セグーラという若手たちが
歌い継いでいくこの曲のコンパスに、メロディに
完璧にシンクロした動きで、 凛として踊ってみせた。
見事! のひとこと。

やはり膝丈のワンピースで の
マリア・モレーノ、シルビア・デ・ラ・パスの二人の短い一曲のあと
フアン・ホセ・アマドールが登場。
登場しただけで拍手がおこる数少ない歌い手の一人だ。
朗々とうたいあげるセラーナを、
さざ波のような細かなフリルのついた青いバタ・デ・コーラで踊るアデラ。
絵に描いたような美しさだ。


アデラはムイ・フラメンカなバイラオーラ。
テンペラメントとエレガンシア。
激しさと優雅さが同居する。
マヌエラ・カラスコのような激しさと
メルチェ・エスメラルダのような優美なやさしさ
セビージャのふたつの個性をあわせもつ踊り手だ。

マリアとシルビアのタンゴ(バンベーラ、レバンティーカ、ソレアアポラがタンゴのリズムで歌われるこったもの)に続き、最後はソレア。

フアン・ホセの熱唱にこたえるように踊りも熱をおび
思わず、オレ!がでてしまう。
姿の美しさ、なかでも手のかたちの美しさは特筆ものだ。
 92年、「エル・フラメンコ」出演中に知り合って以来、
長年彼女の舞台をみているが、
これまでで文句なく 最高の踊りをみせてくれた。

数年前交通事故にあった。
まもなく踊り始めたアデラだが、
段々腕が上がらなくなり、体がしびれるよ うになる。
自分の体に何がおこっているのかわからないまま
仕事を続ける日々。公演先にいっても不安な日々がすぎた。

 つてをたどって出会った医師の診断の結果は
実は事故の影響で、頸椎が神経を圧迫していたのだった。
手術の結果、完治し、まもなく舞台に復帰したが、
このことが彼女を変えた。
間もなく母になり、その「すばらしい経験」もあっ て
彼女の踊りはより深みをました。

以前、この同じ劇場の舞台に立ったときはまだ本調子ではなかった、
と いうアデラが、初めてのリーダーとしてのセビージャ公演にかける意気込み、
やる気がまっすぐ伝わってきた、そんな舞台。

もうひとつの作品「5月7日」(愛息の誕生日)もぜひ観てみたい。

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