2026年6月6日土曜日

クリスティーナ・ヘーレン財団『フラメンコ・エス・ビダ』

 クリスティーナ・ヘーレン財団フラメンコ芸術学校が今年で創立30周年を迎えるということで、クリスティーナがが学校創立前に企画構成し上演された作品『フラメンコ・エス・ビダ』を再演。といっても当時の出演者たちではなく、この30年間に学校で学びプロとなった歌い手、踊り手、ギタリストたちが出演し、構成はなぞるものの振り付けも新しくして、という趣向。


幕が開けるとフラグア、鍛冶屋のセットで、金床をハンマーで叩いてとるリズムで歌うマルティネーテを二人の歌い手が歌い、ダビ・バルガスも入って。

次の場面は居酒屋。カウンターの向こうにラウル・カンティサノ。ウエイトレスがいて、テーブルが二つ。ギターソロ、ランプのついたヘルメットを持ってやってきた男が歌うタランタ、タラントをウエイトレスがちょっと踊り、ソレア・ポル・ブレリアやセラーナなど。

舞台前面上手にでたラウルが立ってソロを弾き(その間に舞台転換)、下手に置かれた街灯の下のベンチで歌われたマラゲーニャがこの日一番良かったかも。ラウルの伴奏はもう少し音少ない方が好みだけど。マヌエル・デ・ヒネスだったそう。その後、ソレアの踊りがあって、最後は箱が詰まれた埠頭、港で、アレグリアスが始まる。そこで踊ったチョロが良かった。そこへ、南米からの船が着き、白づくめの衣装で葉巻を手にしたヘスス・コルバチョを見て思い出した。これ初演ではカリスト・サンチェスじゃなかったっけ?1994年のビエナルで、にやけた感じで登場したのを思い出す。ヘススの歌でルイサ・パリシオがバタ・デ・コーラにアバニコでグアヒーラ。バタ捌きの見事さ。体づかい。細部もいい。

チョロとルイサ。この二人と後の4人(カルメン・ヤング。ルシア・ラ・ブロンセ、アラセリ・ムニョス、ダビ・バルガス)の差は大きい。キャリアの差だけじゃない気がする。格の違い。この4人も、歌い手たちもみんななんでも歌えて踊り伴唱できるし、ギタリストもそう。プロである。でもプロの中でも、看板背負える人というか、名前が出る人というのは違うのでございます。財団からは多くのプロが巣立っていった。たくさんのアルティスタたちがスペインのタブラオなどで活躍している。その中には自分の名前で勝負できるアルティスタたちもいるけれど、そこまで上がっていくのはほんの一握りなのだな、と改めて感じたことでした。

作品の構成、小芝居あったり、とかはやっぱり30年前の作品だなあ、という感じ。みんな真面目に芝居してたのは偉い。歌は、初演のホセ・デ・ラ・トマサやカリスト・サンチェスだったら、違ったかな、もっと聴ける感じだったかな、とか思ってしまったのは、カンテソロ、マラゲーニャ以外はなんというか、ちゃんと歌っているんだけど、味がないというか、カンテソロで聴きたいほどの歌い手ではなかったというか。厳しい言い方だけど。リズム音程かたちが合っているからいい、ってもんじゃないでしょ、歌は。踊りもそう。オレな瞬間があるのはルイサとチョロだけ。フラメンコは難しいね。

アンコールで舞台に上がったクリスティーナが幸せそうだったのは本当に良かった。




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