2023年11月5日日曜日

Flamenco en Japón 小林亮 Río de la Frontera



小林亮がヘレスで録音したアルバムの発表記念コンサート。録音に参加した、歌い手ヘスス・メンデス、踊り手アンドレス・ペーニャ、パーカッション奏者アネ・カラスコという超豪華なゲストを招いて、福岡、大阪、東京とつづいたツアーの千秋楽は11月4日新宿、ガルロチで。

愛にあふれた夜でした。

ギターをいつくしむように奏でる小林。フラメンコが、フラメンコギターを弾くのが本当に好きなんだろうなあ、と感じさせる。そのフラメンコ愛が彼の周りの人々、アーティストたちにも伝わり、アーティストたちが、より大きな愛をもって応えている。舞台の上だけではない。会場を埋めた多くのプロを含む日本人アフィシオナードたちからのフラメンコへの愛も、スペインからやってきた彼らはしっかり受け止めて、かえしてくれていた。もちろん、客席からもあたたかな愛はこの日の主役へもおくられていた。人徳もあるのだろうな。

円熟期を迎えたアンドレスの、自然な呼吸で聴かせるコンパスの妙、粋としか言いようのない間合いの良さと仕草。アルバム録音を小林に勧めたヘススのまっすぐな声(シギリージャとブレリアが圧巻!)、ところどころに遊び心も見え隠れ絶妙な空気感をもつアネのコンパス。そしてそんな一流のアーティストに囲まれていても気負いすぎることなく飄々と、そこにいる小林。長年の関係で培ってきた信頼こそが財産なのだろう。怖気付きそうなシチュエーションでもみずからのスタイルを崩さずそこにいることができるというのはすごい才能だとおもう。いや本当に。

歌伴奏でも王道にならい、モライートのファルセータなども含め、いろいろきいて勉強してきたことを活かしていたと思う。&

愛と敬意があると扉は開く。自分勝手ではなく相手への敬意をともなった愛には愛で応えてくれることもある。これからも自分の愛するものを大切に信じて愛し続けていこうと思ったアフィシオナードたちもたくさんいたに違いない。

なおこの夢のような公演を見事な手腕で実現させた島村香の大きな愛こそがすべての原動力だったに違いない。おとこたちだけの舞台なのによくある閉鎖された男だけの世界にならず、開かれた感じがしたのは彼女の存在ゆえに違いない。

日本のフラメンコ全体にとっても大切な公演だった、そんな風に思う。



0 件のコメント:

コメントを投稿