2022年2月25日金曜日

ヘレスのフェスティバル8日目アルフォンソ・ロサ『フラメンコ。エスパシオ・クレアティボ』

©Javier Fergo Festival de Jerez

暗い、椅子以外何もない舞台に一人 現れ、踊り始める。ソレア、タンゴ、ロマンセ、シギリージャ、ブレリア、アレグリアス、ファンダンゴ、アバンドラオ、そして最後のソレアまで途切れることなく滑らかに流れるように続く。

マドリードの踊り手アルフォンソ・ロサというとパワフルな熱血高速サパテアードを思い出す人が多いと思うのだが、今回は、ラファエル・エステベスとバレリアーノ・パーニョの知識と経験を借りて、非常にメリハリのついた、彼の持つ実力と魅力を十二分に発揮できる素晴らしい作品を作り上げた。

その形の、動きの美しさ。回転の素晴らしさ。バランスの良さ。たくさんのオレ!を引く出す細部、例えば回転の時の首の処理とか、目線の使い方とか、もう本当に素晴らしすぎるのだ。アントニオ・ガデスやエル・グイト、マノレーテと言った上の世代の要素が詰まっている上に、熱い思いをぶつけるような高速パワフルサパテアードも繰り出したり、いやあ、もう文句のつけようがない。古くて新しいフラメンコでいっぱいだ。

低音から高音まで正確な音程と美しい声で歌い上げるゲストの歌い手サンドラ・カラスコと、イスマエル・デ・ロサ“ボラ”の歌やフランシスコ・ビヌエサのギターも素晴らしく、ゲストの踊り手コンチャ・ハレーニョと5人だけで、純粋に踊りを楽しめる最高の作品を作り上げたのだ。

赤いプリーツのバタ・デ・コーラのコンチャとアルフォンソのパレハで踊るシギリージャ、黒い衣装でのリズミカルなやはりパレハでのファンダンゴ。このバランスも素晴らしく掛け合いあり、ソロでの見せ場もあり、ともちろん主役はアルフォンソなのだが、全員が主役のような印象。

コンチャはシギリージャでは情感にあふれ、ファンダンゴではリズミカルかつキリッとした面も見せるなど最高。踊るということは身体を動かすだけでなくinterpretar演じる/解釈するという面もありそれを体現している。

とにかくフラメンコ舞踊の粋をたっぷり堪能できるのでひとりでも多くの人にみてもらいたい。そして私もまたすぐにでももう一度観たい。

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