2020年9月21日月曜日

ラ・ピニョーナ『アブリル』

ラ・ピニョーナの新作『アブリル』初演はセントラル劇場で。

会場にはいつになく、踊り手たちが多い。イニェスタ・コルテス、アナ・モラーレス、パトリシア・ゲレーロ、ロサリオ・トレド、フェルナンド・ヒメネス、アンヘル・ファリーニャ、パウラ・コミトレ、ボルハ・コルテス…それだけ注目されていて人望もあるということかな。

本名ルシア・アルバレス。生まれたのはカディス県ヒメナ・デ ・ラ・フロンテーラ。17歳でセビージャに来て、へーレン財団学校で学び、タブラオでデビュー。2011年にはウニオンのコンクールで優勝し、翌年、ヘレスのフェスティバルでも自分の作品を公演しています。2016年マヌエル・リニャンの『レベルシブレ』で注目されました。今回の作品は詩人、故フアン・マヌエル・フローレスへのオマージュ。ローレ・イ・マヌエルが歌ったことでも知られる彼の詩はセビージャの人にとって特別なもの。それを、イスラエル・ガルバンのブレーンとしても知られる美術家ペドロGロメロが昨日のペラーテに続き、芸術監督をつとめています。


真っ暗になった中、幕が上がると舞台の上には観葉植物や花の鉢が並べられ、上からも葉や花がつられている。植物園の雰囲気、いや温室?

シンセサイザー?で奏でられる不安を煽るような音楽の中、ゆっくりと舞台に出てくるルシアは黒いバタ・デ ・コーラ。ギターがつまびかれる。フラメンコ曲ではなく、ブルースかロックのような感じ。

長い腕をすっと伸ばすだけで雰囲気があるなあ。見栄えのする体型なのかも。上体を後ろにぐっとそらすカンブレを多用しています。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro説明を追加

それがソレアへと繋がっていく。この音楽がいい。音楽監督はアルフレド・ラゴス。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

3人の女性によるクラシック音楽的合唱隊が美しいハーモニーを作って歌い、そこへフラメンコの声(ぺぺ・デ ・プーラ)が重なる。
Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

舞台下手でバタを脱ぎ、白いワンピースになります。

伴奏なしで歌われるソレアを踊ります。歌がない、静寂の中で踊るのもいいなあ。

サパテアードをドラムとパルマが伴奏。そこからナナへ。子守唄なのだけど、力強く歌うので寝た子も起きそう。

合唱隊が歌いながらかかとを上げたり下げたりして舞台の上をいき、それと同じ動きをするルシアが加わり、静寂の中で踊ります。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro


歌い手のマイクに詩を語り、歌い手が赤い衣装を着せます。

オルガンの響きでローレ・イ・マヌエルが歌って、アントニオ・ガデスの『カルメン』でも使われた『トゥ・ミラー/セ・メ・クラバ・エン・ロス・オホス・コモ・エスパダ』を合唱隊が歌い、ブレリアへ。ぺぺがマヌエル調で熱唱。

ブーツには着替え、アレグリアス。

スカート持つことなどもあるので、赤いドレスは前あきにした方が良かったかもね。


Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro


白地に黒の水玉、スカート部分にフレコがついた衣装で、タラント/シギリージャ/タランタっという不思議な曲に。

アンダルシアロックの父、SMASHのタラントへ。

ドラムスとシンセのサイコデリックな雰囲気、ギターの爪弾き。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

 最後は上に飾られた花たちが降りてくる中踊って終わる。


不思議な作品ではあるけれど、歌い手も発声発音がはっきりしていて歌詞がよく聞き取れたのはよかったな。会場に来ていた詩人の息子フアンミによるとほとんどがフアン・マヌエルの作品で、中に一つ彼の詩もあったそうな。ところどころ間違っているところもあったけど、といいます。

ピニョーナはマヌエラ・バルガスを彷彿とさせる姿の良さで魅せるけど、回転がちょっと弱いかな。いや下手と言うわけではないのだけど、タイミングや回った後の体の処理、もうちょっとよくなるように思う。3回くらいほろっとする瞬間あったし、うん、もう1回観たいかな。個人的には音楽がつぼでした。アルフレド、天才的!

ロックやサイコはフアン・マヌエルの生きたヒッピー時代の表現なんだろうけど、それとフラメンコの組み合わせも絶妙だし、クラシック風の合唱隊もいきてました。

美術も、照明も良かったし、この劇場は音がいいから嬉しい。

久しぶりに終演後も劇場バルで、いろんな人にあって話したり、で、ちょっとうれしい日曜日でありました。

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