2019年6月23日日曜日

中原潤フラメンコ・ライブ

いやいやびっくりしました。
日本フラメンコ界にもこんな人がいたんですね。
容姿端麗。かっこいいだけのアイドル系に見えて技術もちゃんとある。
彼らが踊るフラメンコはかっこいい。とにかくかっこいい。

野村眞里子さんが主催するエル・スール財団新人賞というのがあります。
野村さんが一人で選ぶフラメンコの新人賞。
その新人賞を取ったアルティスタたちのリサイタルを野村さんがプロデュースするというシリーズの第2回ということですが、会場のサラ・アンダルーサはテーブルを取り去り、椅子のみ、それも発売2週間で売り切れ、来たくても来れなかった人がたくさんいるという。。。すごい人気です。

純粋なソロ・リサイタルではなく、やはり若手実力派の土方憲人をスペシャルゲストに迎え、ソロを一曲ずつ、デュオで二曲。それに加えて、誰よりもスペインらしい、セビージャらしい音の徳永康次郎のギターソロでのタランタ、大渕博光のカンテソロというシンプルな構成。

オープニングのタンゴは大渕の叩くカウベルのリズムで始まります。今風のタンゴ。技術はしっかりしている。二人の息もよく合っていて、フラメンコ界のタキツバという感じ。ジャニーズ系。かっこいい。ひたすらかっこいい。

かっこいいの理由はたくさんある。
若くて容姿端麗の上、技術もしっかりしている。
形が綺麗。(時に崩れることはあるけれど)
今のフラメンコの流れを把握している。
みせる”ポイントを知っている。

ギターソロの後は土方のアレグリアス。脱いだ上着をきちんと畳んだのがツボ。いやそんなの初めて見ました。なんて丁寧な人なんでしょう。サパテアードの時、ちょっと出っ尻になりがちだったり、時々気が抜けるような感じがあるのを正していけばもっと良くなるのではないでしょうか。華がある貴重な存在なのですから。
続く中原のソレア。これも今風。今のフラメンコの傾向をちゃんと押さえているという感じ。足もちゃんと入るし、形も悪くない。でも同じような感じの振りが繰り返されるのは残念。これは構成の問題ですね。長く踊る必要はないので、取捨選択して起承転結はっきりさせて、ぐっと凝縮するともっともっと良くなるはず。
カンテソロを挟んでファルーカ。これまたかっこいい。
伝統的なファルーカらしい形も入れて、それぞれに小さいソロも入れる。
でも男二人でデュオで踊る理由は何?。
二人でしか表現できないものが本当に表現できていたでしょうか。

タンゴもそうだけど、この曲で何が言いたい、というのが伝わってこないんですね、。
何をイメージしているのか。何を表現したいのか。
二人が楽しんでいるのはわかります。フラメンコを踊るのが楽しくてしょうがない。
それを観客も楽しんでいます。
それでいいのかもしれない。
でもそれだけで本当にいいの? 

彼らがそれでいいなら私も別にいいんだけど。
なんかその先に行けるような気もするからもったいないような。
いや、もちろん、フラメンコは楽しい、を伝えることも大切で、それはそれで素晴らしいんですけど。

かっこいいフラメンコは、今の日本のフラメンコを変えるかもしれない。
これを見てやってみたい、と思う人が出てくるだろうし、
こんな風に踊りたい、と思う人も出てくるだけでなく、
フラメンコを見る、だけの楽しみに気がつく人も。

とも思うけど、見た目以上のかっこよさも、ぜひ見せて欲しいと、感じさせて欲しいと、心から思うのであります。

わかりにくいかな。

まだまだ若い二人だから、これからどんどん変わっていくことでしょう。
日本のフラメンコを引っ張っていける存在に、ぜひなってほしいものです。

全てはここから始まる、のかも。




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