2018年度の芸術功労金章の受章者が発表され、フラメンコでは、昨年のエバ・ジェルバブエナに引き続き、ぺぺ・アビチュエラ、マヌエラ・カラスコが受章する。
スペインの文化スポーツ省が毎年、文化芸術の功労者におくるこの章、今年は彼の他に、アントニオ・カナーレス『ベルナルダ』、サラ・バラス『マリアーナ・ピネーダ』を演出したリュイス・パスクアル、カルメン・コルテス『セレスティーナ』を演出したヘラルド・ベラや、妹がかつてホアキン・コルテスのカンパニーで活躍したペネローペ・クルスらも同時受章する。
2018年12月28日金曜日
2018年12月26日水曜日
フラメンコ・ビエネ・デル・スール2019
アンダルシア州が主催するフラメンコ公演シリーズ、フラメンコ・ビエネ・デル・スール、2019年のプログラムが発表されました。
2月からグラナダは毎週月曜日、セビージャは火曜日に公演が行われます。
個人的にとても楽しみにしているのは、マヌエル・リニャンの新作。2月にマドリードで初演されるのですが、男性舞踊手たちがスカートで踊るらしい。。。バタで名を成した?リニャンらしいかも?
2月からグラナダは毎週月曜日、セビージャは火曜日に公演が行われます。
個人的にとても楽しみにしているのは、マヌエル・リニャンの新作。2月にマドリードで初演されるのですが、男性舞踊手たちがスカートで踊るらしい。。。バタで名を成した?リニャンらしいかも?
◇『フラメンコ・ビエネ・デル・スール』
○グラナダ
2/11(月)『エン・ラ・メモリア』
[出]〈b〉アンヘレス・ガバルドン、〈c〉ヘマ・カバジェーロ、〈g〉マルタ・ロブレス
2/18(月)『ヌエボ・ファクトリア・デル・カンテ』
[出]〈c〉ラ・ジージャ、エル・ボレーコ、アリシア・モラーレス
2/25(月)『ジャント・デ・ギターラ』
[出]〈g〉ペドロ・シエラ、〈c〉フアナ・ラ・トバラ
3/4(月)
[出]〈c〉ヘスース・メンデス、〈g〉マヌエル・バレンシア
3/11(月)『ファロ』
[出]〈b〉エドゥアルド・ゲレーロ
3/18(月)『デ・ラ・コンセプシオン』
[出]〈b〉マリア・モレーノ
3/25(月)『ウン・スエニョ・デ・ロクーラ』
[出]〈g〉ダビ・カルモナ、〈c〉キキ・モレンテ
4/8(月)『メメント』
[出]〈c〉マイテ・マルティン
5/13(月)『ビスト・エン・エル・フエベス』
[出]〈c〉ロシオ・マルケス
[場]グラナダ アルハンブラ劇場
[問]www.teatroalhambra.com
○セビージャ
2/12(火)『ヘネス・トリロヒア』
[出]〈c〉ホセ・デ・ラ・トマサ、ガブリエル・デ・ラ・トマサ、マヌエル・デ・ラ・トマサ
2/19(火)『プラサ・ビエハ』
[出]〈g〉ホセ・デル・トマテ、トマティート
2/26(火)『プントス・インアカバードス』
[出][場]ヘスース・フェルナンデス、アナベル・モレーノ
3/5(火)
[出]〈c〉アウロラ・バルガス、〈b〉アルバ・エレディア
3/12(火)『プラグロリア』
[出]〈g〉ニーニョ・デ・プーラ
3/19(火)『バイレス・デ・アウトール』
[出]〈b〉マヌエル・リニャン
3/26(火)
[出]〈c〉イスラエル・フェルナンデス、〈g〉ディエゴ・デル・モラオ、〈b〉ベレン・ロペス
4/2(火)『エル・ソニード・デ・ミス・ディアス』
[出]〈b〉ヘマ・モネオ
4/9(火)『アルバイシン』
[出]〈c〉キキ・モレンテ
[場]セビージャ セントラル劇場
[問]www.teatrocentral.es
2018年12月16日日曜日
チケテテ逝く
チケテテが亡くなった。
と言われても、若い人にはピンとこないかもしれない。
歌い手。
フラメンコ系カンシオンで一世を風靡して、歌謡歌手の印象が強い人も多いかもだけど、
トリアーナのソレアを歌わせたら天下一品。フラメンコの歌い手としても一流。
かつては多くのフェスティバルに出演した。
1948年アルヘシラス生まれ。子供の頃にセビージャに移り住み、トリアーナの奥の団地、タルドン育ち。マヌエル・モリーナの父とトレス・ガディターノスというグループを組んで活動していた父にならい、彼もマヌエル・モリーナ、ギタリストのマヌエル・ドミンゲスと組んでヒタニージョス・デ・タルドンというグループでデビュー。
後、タブラオなどで舞踊伴唱などを中心に活動していたが、80年代前半にヘレスのギタリスト、パコ・セペーロと組んで出した、カンシオン中心のアルバムが大ヒット。中南米でも“バラーダ・エスパニョーラ”として大ヒットした。
いわば、フラメンコのフリオ・イグレシアス的存在。実際、フリオがカバーした曲もあるそうだ。
80年台後半のセビジャーナス『ア・ラ・プエルタ・デ・トレド』を聞いたことがある人も多いかもしれない。
写真は92年にトリアーナで開かれた、あるオメナヘでのもの。
ビエナルで、マエストランサ劇場で歌ったこともあったなあ。
最後にあったのは去年の11月に、ランカピーノ・チーコのCD録音の時。
腰の手術のため入院中に心臓発作を起こし、そこで亡くなったそうだ。
ご冥福を祈ります。
2018年12月15日土曜日
スペイン国立バレエ団創立40周年記念公演
と、改めて感じた夜でした。
マドリードの国立サルスエラ劇場での公演。一人でも多くの人に見てもらいたいけれど残念ながらすでに千秋楽まで完売。昔はそんなことなかったよね。
ナハロ監督就任以来、国立は着実にファンを増やしてきたということでしょう。
結果を出した、その彼の監督任期は来年8月で終了。なのでこれが最後のマドリー公演かも?
歴代監督の写真と声で構成されたビデオで始まる。
アントニオ・ガデス、グラン・アントニオ、マリア・デ・アビラ、ホセ・アントニオ、ナナ・ロルカ/アウロラ・ポンス/ビクトリア・エウヘニア、アイーダ・ゴメス、エルビラ・アンドレス、ホセ・アントニオ、そしてアントニオ・ナハーロ。
彼らが先頭だって築いてきた国立の歴史を彩った作品の衣装をまとったダンサーたちが客席の通路や舞台をファッションショーのように歩く。
鮮やかな色彩はピカソデザインの『三角帽子』、白のボツボツが着いたのはラトーレ振り付けの『ロコ』、膨らんだスカートは『エリターニャ』、薄紫のバタは『アレント』…
思い出せる衣装もいろいろ。バックに流れるのはボッケリーニのファンダンゴ?『ダンサ・イ・トロニオ』で聴いた曲。
最後は全員で舞台の上でポーズ。
Ballet Nacional de España |
国立の40年の歴史へのインビテーションとして最高のプレゼンテーション。
最初は先日の日本公演でも上演された『エリターニャ』、グラン・アントニオの振付。
エスクエラ・ボレーラの素晴らしい作品。本拠地ではオーケストラの生演奏で。
私が見た日はカルロス・サンチェスとミリアム・メンドーサが踊っていた(ダブルキャストでセルヒオ・ベルナルとデボラ・マルティネス)のだが、日本で踊ったセルヒオ・ベルナルに負けず劣らず素晴らしかった。
そして群舞がまたすごい!。よく揃っているし、形の美しさはもちろん、とにかく超絶テクニック! クラシックバレエ的な足づかいとスペイン的な
『アランフェス協奏曲』の第2楽章は、その昔パコ・デ・ルシアのアランフェスの指揮者として来日したこともあるホセ・マリア・ガジャルドが生演奏。豪華!
ピラール・ロペス振り付けのこの作品、動きがゆっくりだったり、群舞が全員同じ振り付けだったりと、全体の印象はどうしても古臭い感じがしてしまう。伝統を感じても決して古臭くは見えない、グラン・アントニオの振り付けは古典だなあ、とつくづく思うわされる。
と言っても、ピラールの振り付けは細部がいい。形の美しさ、動きの優雅さなど、やはり、伝統だ。歴史を感じさせる。
私が見た日に踊ったインマクラーダ・サロモンの才能もあるだろう。
続く『プエルタ・ティエラ』がこの日の白眉!。エスクエラ・ボレーラの最高峰的作品で、これもグラン・アントニオの振り付け。何度か、国立バレエでも踊られていて、私はキャスト違いで以前に2回観ているが、それにもまして今回は素晴らしかった。完璧なテクニック。跳躍、回転、カスタネット。以前、見た時は、いいんだけど、どうしても以前のパレハを思い出して比べてしまったが、今回はそんなことはなく、ただただ感嘆!
セルヒオ・ベルナルとデボラ・マルティネス(ダブルキャストはエドゥアルド・マルティネスとミリアム・メンデス)は、テクニックだけでなく、表現もいい。
アントニオ・ガデスの遺作『フエンテオベフーナ』は、洗濯場のシーンを。
女性たちが後姿で腰を動かす振りとか、懐かしくて涙が出そうになる。
続く主役ふたりのパドドゥ、代官の横恋慕など、台詞がなくとも、元のあらすじを知らなくても、すぐにわかる、この明解さ。群衆の動きのコントロール、陰影のある照明。
どれを取っても素晴らしい。この日は主役をエドゥアルド・マルティネスとクリスティーナ・カルネーロの二人が踊ったが、クリスティーナはガデス舞踊団でこの役を踊っていただけにさすがの出来。なおダブルキャストで主役を踊るアルバロ・マドリードもガデス舞踊団出身で、彼とインマクラーダ・サロモンが踊る役替わりもみたかった!
『レジェンダ』のソレアは、古典的衣装の男性三人によるもので、ホセ・アントニオの振り付け。カルメン・アマジャへのオマージュだった『レジェンダ』というと、長い長いバタ・デ・コーラや男装の女性舞踊手のイメージばかり残っていたが、この男性三人のフラメンコの振り付けはめちゃくちゃかっこよくて最高!
これを発掘してくれたアントニオに感謝!この曲、日本でもぜひ観てもらいたいものです。歌にラファエル・デ・ウトレーラというのにもこだわりを感じる。
そして日本でもやった『サラサーテのサパテアード』この日一番の拍手を受けていた。
一部の最後は、民族舞踊の作品『ロマンセ』。96年、今は亡きフアンホ・リナーレスの振り付け。
スペイン民族音楽の第一人者、エリセオ・パッラの弾き語り踊り語りで始まり、一組のパレハを中心に迫力のある群舞が展開される。華やかで賑やかで楽しい!の一言。
見ているだけで気持ちが上がる。ハイになる。
民族舞踊は祭りと密接な関係を持っているものが多いからかも。ホタもそうだね。
ここでも、今のバレエ団メンバーの高いテクニックがやはり要。
と、この1部だけでも1時間半。ここで終わっても満足なところ、休憩を挟んでの第2部も。
オープニングは『リトモス』。84年初演というから35年前の作品なのに古さを感じさせない。ホセ・ニエトのオリジナルの音楽も、アルベルト・ロルカの振り付けもおしゃれで素晴らしい。日本でもかなり昔に上演されたことはあるが、これまた再演希望!
ベティ先生ことビクトリア・エウヘニア振り付けの『ダンサIX』はいわゆるクラシコエスパニョール。私にはやはりローラ・グレコのイメージが強すぎる。
『イカロ』はドランテスのピアノで踊るセルヒオ・ベルナルのソロ。今回唯一の新作。バレエダンサー顔負けの新たり能力のセルヒオはすごいんだけど、でも衣装がなんだか残念な感じ。特に上体の動きの妙を見せてくれていないというか。
最後は華やかに展開される『ソロージャ』のバイレ。熱く!
曲ごとに挨拶する国立バレエの習慣から離れ、挨拶はこの最後だけ。
拍手が鳴り止まない。
40年のうち、30年は見続けていて、いろんな思い出がある私も、これが最初の国立バレエ鑑賞という人も、絶対楽しめる舞台。
退任までのラストスパートとなったアントニオ。次の監督は色々大変だなあ。
次の監督は来年初めに公募されるそうです。
2018年12月1日土曜日
ルベン・オルモとエドゥアルド・レアル「アルタノ」
カハソル財団のフエベス・フラメンコス。
セビージャの中心、市役所のあるサン・フランシスコ広場に面したチカレーロ通りから入る小さな劇場というか、講堂での公演。
スペイン国立バレエ団出身でアンダルシア舞踊団監督をも務めたルベンとアンダルシア舞踊団で活躍したエドゥアルド。公私にわたるパートナーである二人による、初めての二人だけでの公演。スペイン舞踊も得意なルベンだが、今回はフラメンコのみ。
シギリージャでのオープニング、プレセンタシオンからアレハンドロ・クルスのピアノソロ。エドゥアルドのソレア、アンダルシア舞踊団時代の作品からのパドドゥ、ルベンのタラント、二人での曲「ミ・アンビシオン・エス・カンタール」というアンヘリータ・モントージャの曲のカンタールをバイラールに変えた一曲というシンプルな構成。
舞台は小さく、照明も最低限。だから踊りそのものがクローズアップされる。
早いテンポで始まる男二人パレハでのシギリージャは黒と赤の衣装で、同じ振りを一緒に踊るだけでなく、二人が違う振りで会話するように踊ったりするのがいい。
エドゥアルドのソレアも早いテンポで始まり、後、ゆっくりに。怒涛の足。
なのだが、ふとしたところにフラメンコらしい味わいがある。
残念なのは歌もギターもイマイチであること。特にギターは音程が?
パーカッションのソロに続いて、パドドゥ。
詩人ロルカの闘牛士で詩人、イグナシオ・サンチェス・メヒアスへの哀歌を、ロルカのルベンとサンチェス・メヒアスのエドゥアルドが、闘牛で使う布ムレタを使って踊る。
ルベンのタラントは、上体をずっと前傾させているのが気になるものの、ムイ・フラメンコ。と、かんじさせるのはその間合い。
スペイン舞踊をも得意とし、バレエのような身のこなしや美しい回転や跳躍で知られるルベンだが、こんなにもフラメンコなんだ、と目からウロコ。
タンゴはグラナダぽい感じで、これも良かった。
金色のようなフレコのついたベスト?かマントン?のようなものをつけた衣装はうーん、だったけど。
状態前傾は細身で華奢な彼がサパテアードを力入れて打つためなのかな?でも美しくない。
特に横向きが多かったからそう思ったのかも。
最後の二人での、マントンを使ってのパレハがこの日最高の瞬間。
女性がパンタロンを着ることで解放されたように、マントンも男性の手にも至ることで解放されているのかも。
男性の力強さゆえか、マントンの飛翔もキレがある。
途中、エドゥアルドのフレコが絡まることもあったが、うまく収めた。
最後はルベンの、アンダルシア舞踊センターでの生徒だという18歳の女の子二人もブレリアを踊ってしめ。
男性同士のパレハ、男性のマントン、マヌエル・リニャンのようなバタ・デ・コーラもそうだが、女性が男性顔負けのサパテアードをみせるだけでなく、男性も元々女性の領域とされていたところに進出するのも男女同権。というだけでなく、アルテの可能性を広げることだなあ。
セビージャの中心、市役所のあるサン・フランシスコ広場に面したチカレーロ通りから入る小さな劇場というか、講堂での公演。
スペイン国立バレエ団出身でアンダルシア舞踊団監督をも務めたルベンとアンダルシア舞踊団で活躍したエドゥアルド。公私にわたるパートナーである二人による、初めての二人だけでの公演。スペイン舞踊も得意なルベンだが、今回はフラメンコのみ。
シギリージャでのオープニング、プレセンタシオンからアレハンドロ・クルスのピアノソロ。エドゥアルドのソレア、アンダルシア舞踊団時代の作品からのパドドゥ、ルベンのタラント、二人での曲「ミ・アンビシオン・エス・カンタール」というアンヘリータ・モントージャの曲のカンタールをバイラールに変えた一曲というシンプルな構成。
舞台は小さく、照明も最低限。だから踊りそのものがクローズアップされる。
早いテンポで始まる男二人パレハでのシギリージャは黒と赤の衣装で、同じ振りを一緒に踊るだけでなく、二人が違う振りで会話するように踊ったりするのがいい。
エドゥアルドのソレアも早いテンポで始まり、後、ゆっくりに。怒涛の足。
なのだが、ふとしたところにフラメンコらしい味わいがある。
残念なのは歌もギターもイマイチであること。特にギターは音程が?
パーカッションのソロに続いて、パドドゥ。
詩人ロルカの闘牛士で詩人、イグナシオ・サンチェス・メヒアスへの哀歌を、ロルカのルベンとサンチェス・メヒアスのエドゥアルドが、闘牛で使う布ムレタを使って踊る。
ルベンのタラントは、上体をずっと前傾させているのが気になるものの、ムイ・フラメンコ。と、かんじさせるのはその間合い。
スペイン舞踊をも得意とし、バレエのような身のこなしや美しい回転や跳躍で知られるルベンだが、こんなにもフラメンコなんだ、と目からウロコ。
タンゴはグラナダぽい感じで、これも良かった。
金色のようなフレコのついたベスト?かマントン?のようなものをつけた衣装はうーん、だったけど。
状態前傾は細身で華奢な彼がサパテアードを力入れて打つためなのかな?でも美しくない。
特に横向きが多かったからそう思ったのかも。
最後の二人での、マントンを使ってのパレハがこの日最高の瞬間。
女性がパンタロンを着ることで解放されたように、マントンも男性の手にも至ることで解放されているのかも。
男性の力強さゆえか、マントンの飛翔もキレがある。
途中、エドゥアルドのフレコが絡まることもあったが、うまく収めた。
最後はルベンの、アンダルシア舞踊センターでの生徒だという18歳の女の子二人もブレリアを踊ってしめ。
男性同士のパレハ、男性のマントン、マヌエル・リニャンのようなバタ・デ・コーラもそうだが、女性が男性顔負けのサパテアードをみせるだけでなく、男性も元々女性の領域とされていたところに進出するのも男女同権。というだけでなく、アルテの可能性を広げることだなあ。
2018年11月18日日曜日
森田志保「はな9」
一軒家の大きな居間のような、小さな会場で、
とてつもなく大きな、すごいものを見てしまった。
森田志保の「はな9」
杉並の、閑静な住宅街にある会場、ソノリウム。
マイクはない。
観客の間を通って前に出た森田は白いブラウスに黒いスカート。
スカートの上にエプロンのようなものを後ろ前につけている。
三つ編みに結った髪を後ろに垂らしているその姿は、メキシコ風のようでもあり、三つ編みのせいか、ネイティブアメリカンのようにも見える。
彼女がふっと見上げると、そこには天へと続く空が広がっていくようだ。
すっと手を伸ばすとそれは永遠へと繋がっていく。
なんなんだろう、この感じ。
物売りの口上の歌、プレゴンを歌いながらダビ・ラゴスが登場。
息遣いや、声の細やかなビブラートまで間近に感じられる。
空気が震える。
言葉の一つ一つがはっきりと耳に入っていく。
声の力。
タラント。
声に、歌に呼応するように動く森田。
その動きは、すごく日本的でもある。
だけどムイ・フラメンコなのだ。
森田にしか踊ることができない、彼女だけのフラメンコ。
歌を踊る。
歌を聴いて、すぐさまそれに反応して、応えるようように踊る。
歌のセンティードを明確に捉え、その通りに踊っていくのだ。
それがどれだけすごいことであるか。
スペイン人だって誰もができるわけじゃない。
いやプロだって、できない人が大半だ。
なんだってそれを彼女はこんなにたやすく、自然にやってのけるのだ?
グラナダなど、いろんなエッセンスを感じさせるタンゴで締める。
タラントのタンゴらしい、それまで抑圧されていた感情の解放、
アレグリア、嬉しさや、コラへ、悔しいようなやるせない気持ち、などがカタルシスへと繋がっていく。
緩急自在。
どんどん引き込まれていく。
シギリージャ、ブレリア、ブレリア・ポル・ソレア。
朗々と歌い上げられるロマンセ。
時としてカンテやギターのリサイタルにもみえるのは
主役は踊りだけではなく、フラメンコそのものだからなのだろう。
彼女の踊りに呼応して、歌もギターもどんどん凄みを増していく。
スペイン人一流アルティスタたちに火をつけてしまう。
音と音の間にスペースをとって弾くアルフレドのギターの美しさ。
ダビの伝統に学び現代を生きる暖かな声。
その二人が森田の踊りに夢中になっている。
アレグリアス!
ブラソが描く軌跡の美しさ。強さと優しさ。
胸を開き、風を胸に、宇宙とつながる。
白い羽。
詩的であり、哲学的であり、
でもシンプルにフラメンコだ。
濃厚で、極上のフラメンコだ。
これはもう、本当に、スペインでスペイン人たちに見てもらいたい。
いいものはいいんだ。
わかる人にはわかるはず。
フラメンコの日である11月16日にふさわしい、美しく感動的な公演でありました。
とてつもなく大きな、すごいものを見てしまった。
森田志保の「はな9」
杉並の、閑静な住宅街にある会場、ソノリウム。
マイクはない。
観客の間を通って前に出た森田は白いブラウスに黒いスカート。
スカートの上にエプロンのようなものを後ろ前につけている。
三つ編みに結った髪を後ろに垂らしているその姿は、メキシコ風のようでもあり、三つ編みのせいか、ネイティブアメリカンのようにも見える。
彼女がふっと見上げると、そこには天へと続く空が広がっていくようだ。
すっと手を伸ばすとそれは永遠へと繋がっていく。
なんなんだろう、この感じ。
物売りの口上の歌、プレゴンを歌いながらダビ・ラゴスが登場。
息遣いや、声の細やかなビブラートまで間近に感じられる。
空気が震える。
言葉の一つ一つがはっきりと耳に入っていく。
声の力。
タラント。
声に、歌に呼応するように動く森田。
その動きは、すごく日本的でもある。
だけどムイ・フラメンコなのだ。
森田にしか踊ることができない、彼女だけのフラメンコ。
歌を踊る。
歌を聴いて、すぐさまそれに反応して、応えるようように踊る。
歌のセンティードを明確に捉え、その通りに踊っていくのだ。
それがどれだけすごいことであるか。
スペイン人だって誰もができるわけじゃない。
いやプロだって、できない人が大半だ。
なんだってそれを彼女はこんなにたやすく、自然にやってのけるのだ?
グラナダなど、いろんなエッセンスを感じさせるタンゴで締める。
タラントのタンゴらしい、それまで抑圧されていた感情の解放、
アレグリア、嬉しさや、コラへ、悔しいようなやるせない気持ち、などがカタルシスへと繋がっていく。
緩急自在。
どんどん引き込まれていく。
シギリージャ、ブレリア、ブレリア・ポル・ソレア。
朗々と歌い上げられるロマンセ。
時としてカンテやギターのリサイタルにもみえるのは
主役は踊りだけではなく、フラメンコそのものだからなのだろう。
彼女の踊りに呼応して、歌もギターもどんどん凄みを増していく。
スペイン人一流アルティスタたちに火をつけてしまう。
音と音の間にスペースをとって弾くアルフレドのギターの美しさ。
ダビの伝統に学び現代を生きる暖かな声。
その二人が森田の踊りに夢中になっている。
アレグリアス!
ブラソが描く軌跡の美しさ。強さと優しさ。
胸を開き、風を胸に、宇宙とつながる。
白い羽。
詩的であり、哲学的であり、
でもシンプルにフラメンコだ。
濃厚で、極上のフラメンコだ。
これはもう、本当に、スペインでスペイン人たちに見てもらいたい。
いいものはいいんだ。
わかる人にはわかるはず。
フラメンコの日である11月16日にふさわしい、美しく感動的な公演でありました。
2018年11月15日木曜日
第8回ヘレス・オフ・フェスティバル
ヘレスのフェスティバル開催時に、開かれるオフ・フェスティバル。
本家ヘレスのフェスティバルはフラメンコとスペイン舞踊のフェスティバルなので、手薄になりがちなカンテのコンサートを始め、地元ヘレスのフラメンコ学校の生徒達や先生の公演、日本人アルティスタ達の公演なども行われています。
今年はディエゴ・カラスコに捧げられ、ご本人の公演や息子アネ、甥マロコの公演も。
◆第8回ヘレス・オフ・フェスティバル“ディエゴ・カラスコに捧げる”
2/22(金)『日本の日』
17時[出]〈b〉ベアトリス・モラーレス舞踊学校
19時[出]〈b〉松本真理
21時[出]〈b〉金子文乃
23時[出]〈c〉キナ・メンデス
01時[出]〈perc〉アネ・カラスコ
2/23(土)17時[出]〈b〉カルメン・エレーラ舞踊学校
19時[出]〈b〉マリアン・ヒメネス
21時[出]〈b〉マリア・フェルナンデス
23時[出]〈c〉サムエル・セラーノ
01時[出]〈c〉マロコ・ソト
2/24(日)17時[出]〈b〉マカレーナ・デ・へレス舞踊学校
19時[出]〈b〉萩原淳子、松彩果
21時[出]〈b〉ホセ・ガルバン
23時[出]〈c〉ルイサ・ムニョス
2/25(月)17時『タブラオ・フラメンコ』
19時[出]〈b〉フアン・ポルビージョ
21時[出]〈c〉エルー・デ・へレス
23時[出]〈c〉ナタリア・デル・マル“ラ・セラータ”
2/26(火)17時[出]〈b〉へレス・プーロ舞踊学校
19時[出]〈b〉タティアナ・コエジョ
21時[出]〈b〉コンチ・マジャ、ハイロ・バルール
23時[出]〈c〉エセキエル・ベニテス
2/27(水)17時『タブラオ・フラメンコ』
19時[出]〈b〉フアン・ポルビージョ
21時[出]〈g〉アントニオ・レイ
23時[出]〈b〉マカレーナ・デ・ヘレス
01時[出]〈c〉カプージョ・デ・ヘレス
2/28(木)17時[出]〈b〉ヘレス舞踊センター
19時[出]〈b〉タティアナ・ルイス
21時[出]〈c〉アナ・ペーニャ、カルメン・グリロ、ウトレーラのクチャーラ一家
22時30分[出]〈c〉アントニオ・アグヘータス
23時30分[出]〈c〉ドローレス・アグヘータス
3/1(金)17時[出]〈b〉チキ・デ・ヘレス、タティアナ・ルイス舞踊学校
19時[出]〈b〉ラファエル・カンパージョ
21時[出]〈b〉フェルナンド・ガラン
23時[出]〈b〉マカレーナ・ラミレス
01時[出]〈c〉ディエゴ・カラスコ
3/2(土)17時[出]〈b〉マリアン・ヒメネス舞踊学校
19時[出]〈b〉ダビ・ニエト
21時[出]〈b〉ファビオラ・バルバ
23時[出]〈c〉ルイス・エル・サンボ
01時[出]〈c〉アントニオ・アグヘータス・チーコ
3/3(日)17時[出]〈b〉カルメン・エレーラ舞踊学校
19時[出]〈b〉ホセ・ガルバン舞踊学校
21時[出]作品『ローラ』
23時[出]ソニオス・デ・ウン・バリオ
3/4(月) 17時『タブラオ・フラメンコ』
19時[出]〈b〉アレハンドロ・ロドリゲス
21時[出]〈b〉ナタリア・デル・マル“ラ・セラータ”
23時[出]〈g〉ペリキン“ニーニョ・ヘロ”
3/5(火) 17時[出]〈b〉エステル・アランダ舞踊学校
19時[出]〈g〉アルバ・エスペルト
21時[出]ラ・ルナーレス
23時[出]〈b〉マヌエラ・リオス
3/6(水) 17時『タブラオ・フラメンコ』
19時[出]〈c〉マラ・ファネガ
21時[出]Yugフラメンコ劇団
23時[出]〈c〉ティア・フアナ・ラ・デル・ピパ、〈g〉ディエゴ・デル・モラオ
3/7(木) 17時[出]〈b〉メルセデス・ルイス生徒
19時[出]〈b〉マルタ・デ・トロジャ
21時[出]作品「ナヘラ・フラメンコ」
23時[出]〈c〉ウィロ・デル・プエルト
3/8(金)17時[出]〈b〉ソラジャ・クラビホ舞踊学校
19時[出]〈b〉カルロス・カルボネル
21時[出]〈b〉ソフィア・デル・リオ、アドリアン・ブレネス
23時[出]〈b〉マリア・フンカル
01時[出]〈c〉モンセ・コルテス
3/9(土)17時[出]〈b〉スサナ・チャコン舞踊学校
19時[出]〈b〉ロシオ・ロメーロ、マヌエル・デ・マレーナ
21時[出]〈b〉ビセンタ・ガルベス
23時[出]トリアンド
01時[出]ムーショ・ヒターノ
[場]へレス ラ・グアリダ・デル・アンヘル
[問]http://laguaridadelangel.es/festival-off-flamenco/
https://www.facebook.com/laguaridadelangel/
2018年11月5日月曜日
ヘレスのフェスティバル2019
来年のヘレスのフェスティバルのプログラムが発表された。
最終日に上演されるイスラエル・ガルバンの新作「恋を魔術師」を始め、なかなか充実のプログラム。
マリア・パヘス、ジェルバブエナ、アンダルシア舞踊団、レオノール・レアル、パトリシア・ゲレーロ、モネータなど、先のビエナルで上演された作品も多いが、ヘスース・カルモナやコンチャ・ハレーニョ、マルコ・フローレス、ダビ・コリアらのビジャマルタ劇場公演を始め、初めてリーダー作品を上演するクリスティアン・ロサーノやアナ・ラトーレなど、小劇場公演も面白そうなものがたくさん。アドリアン・サンタナやバネサ・コロマら、マドリー組なども。
また地元ヘレスのアルティスタも、ホアキン・グリロ、マリア・デル・マル・モレーノ、メルセデス・ルイスのビジャマルタ組以外にも、マリア・ホセ・フランコ(生まれはカディスだけど)、ベアトリス・モラーレス、ジェシカ・ブレアらや、歌のレラ・ソト、フェリパ・デル・モレーノ、ギターのボリータ、ハビエル・パティーノ、ぺぺ・デル・モラオなどなど。
こうしてみると、世代交代が確実に進んでいるのを感じます。
◆第23回ヘレス・フェスティバル
2/22(金)21時「ラ・カジェ・デ・ロス・スエニョス」
[出]〈b〉ホアキン・グリロ舞踊団
[場]ビジャマルタ劇場
2/22(金)24時
[出]〈c〉アルヘンティーナ
[場]ボデガ・ゴンサレス・ビヤス
2/23(土)19時「トゥリン、フラメンコ・プーロ舞踊国際コンクール
[場]サラ・コンパニア
2/23(土)21時「ウナ・オダ・アル・ティエンポ」
[出]〈b〉マリア・パヘス舞踊団
[場]ビジャマルタ劇場
2/23(土)24時「ミ・エレンシア・カンタオーラ」
[出]〈c〉レラ・ソト、ゲスト〈c〉ビセンテ・ソト、エンリケ・ソト、ホセ・ソト、〈g〉リカルド・モレーノ
2/24(日)19時「8コディゴス」
[出]〈c〉ホセ・デ・ラ・トマサ、ペリーコ・パニェーロ
[場]ボデガ・ゴンサレス・ビヤス
2/24(日)21時「クエントス・デ・アスーカル」
[出]〈b〉エバ・ジェルバブエナ舞踊団
[場]ビジャマルタ劇場
2/25(月)19時「トレンカディス、パシオネス・デ・ガウディ」
[出]〈b〉クリスティアン・ロサーノ、ゲスト〈c〉フアン・ホセ・アマドール
[場]サラ・コンパニア
2/25(月)21時「レシタル・フラメンコ」
[出]〈b〉コンチャ・ハレーニョ舞踊団、ゲスト〈g〉カニート
[場]ビジャマルタ劇場
2/26(火)19時「フラメンクロリカ」
[出]〈b〉バネサ・コロマ、演出ミゲル・アンヘル・ロハス
[場]サラ・コンパニア
2/26(火)21時「アマトール」
[出]〈b〉ヘスース・カルモナ
[場]ビジャマルタ劇場
2/27(水)19時「シエルぺ」
[出]〈b〉バネサ・アイバル
[場]パラシオ・デ・ビジャビセンシオ
2/27(水)21時「ソンブラ・エフィメラ」
[出]〈b〉エドゥアルド・ゲレーロ
[場]ビジャマルタ劇場
2/27(水)24時「ヘレサネアンド」
[出]〈c〉フェリパ・デル・モレーノ、音楽監督ルイス・デ・ペリキン、ゲスト〈b〉フアナ・アマジャ、ゲスト〈piano〉レイナ・ヒターナ
[場]ボデガ・ゴンサレス・ビヤス
2/28(木)13時「フラメンコ・キッチン」
[出]〈c〉アナ・サラサール、インマ・ラ・カルボネーラ、〈b〉イニエスタ・コルテス、アンヘレス、ガバルドン、演出フアナ・カサード
2/28(木)19時「ノクトゥルノ」
[出]〈b〉レオノール・レアル
[場]サラ・パウル
2/28(木)21時「フラメンコロルキアーノ」
[出]〈b〉アンダルシア舞踊団
[場]ビジャマルタ劇場
3/1(金)19時「デハ・ケ・テ・ジェベ」
[出]〈g〉ハビエル・パティーノ、ゲスト〈c〉サルモネーテ、ヘマ・カバジェーロ
[場]サラ・コンパニア
3/1(金)21時「シン・ペルミソ」
[出]〈b〉アナ・モラーレス
[場]ビジャマルタ劇場
3/1(金)24時「エンブラ・アルファ」
[出]〈b〉ベアトリス・モラーレス舞踊団、特別協力〈c〉アグへータス・チーコ
[場]サラ・コンパニア
3/2(土)19時「カオティコ・レデュー」
[出]〈g〉ホセ・ケベド“ボリータ”
[場]サラ・パウル
3/2(日)21時「タウロマヒア」
[出]〈b〉メルセデス・ルイス舞踊団
[場]ビジャマルタ劇場
3/2(土)24時「ボルベール」
[出]〈b〉マリア・ホセ・フランコ舞踊団、ゲスト〈c〉ルイス・モネオ
3/3(日)19時
[出]〈b〉ホセ・マルドナード、ゲスト〈b〉ハビエル・ラトーレ、カルメン・コイ
[場]サラ・パウル
3/3(日)21時「パセ・アルテルナ」
[出]〈b〉マルコ・フローレス舞踊団、ゲスト〈b〉サラ・カーノ
[場]ビジャマルタ劇場
3/4(月)19時「シンビオシス」
[出]〈b〉アドリアン・サンタナ、ゲスト〈b〉アゲダ・サアベドラ
[場]サラ・コンパニア
3/4(月)21時「オラス・コンティーゴ」
[出]〈b〉ルベン・オルモ舞踊団
[場]ビジャマルタ劇場
3/5(火)19時「レイバ・ジョ・ア・コンタール」
[出]〈b〉アナ・ラトーレ、ゲスト;ダニエル・ガルシア
[場]サラ・パウル
3/5(火)21時「ディストピア」
[出]〈b〉パトリシア・ゲレーロ舞踊団
[場]ビジャマルタ劇場
3/6(水)19時
[出]〈c〉アルフレド・テハーダ
[場]パラシオ・デ・ビジャビセンシオ
3/6(水)21時「グラナダ」
[出]〈b〉フエンサンタ・ラ・モネータ、ゲスト〈g〉パコ・コルテス
[場]ビジャマルタ劇場
3/7(木)19時「クーナ」
[出]〈b〉パロマ・ファントバ、演出アンヘル・ロハス、ゲスト〈c〉フアナ・ラ・デル・ピパ、〈b〉アンヘリータ・ゴメス
3/7(木)21時「アノニモ」
[出]〈b〉ダビ・コリア、特別協力〈c〉ヘマ・カバジェーロ
[場]ビジャマルタ劇場
3/8(金)19時
[出]〈c〉フアン・デ・マイレーナ
[場]パラシオ・ビジャビセンシオ
3/8(金)21時「メデア」
[出]〈b〉マリア・デル・マル・モレーノ舞踊団[場]ビジャマルタ劇場
3/8(金)24時
[出]〈b〉ジェシカ・ブレア、フェルナンド・ヒメネス
[場]サラ・コンパニア
3/9(土)19時
[出]〈c〉マヌエル・タニェ
[場]パラシオ・ビジャビセンシオ
3/9(土)21時「恋は魔術師」
[出]〈b〉イスラエル・ガルバン
[場]ビジャマルタ劇場
3/9(土)24時
[出]〈g〉ぺぺ・デル・モラオ、特別協力〈g〉ディエゴ・デル・モラオ、ベルナルド・パリージャ
[問]http://wwwwww.festivaldejerez.es
AMI「Mensaje〜伝言〜Mi Sentir」
Amiのリサイタルは11月4日、座・高円寺で。
踊りにダビ・ペレス、歌にダビ・ラゴス、ギターにアルフレド・ラゴスをスペインから招き、歌のエル・プラテアオと、中嶋朋子、小久保旬子、仁田友美が踊りで加わった少数精鋭の舞台。
第一部は7つのエピソードから成る。タイトル通り、Mensajeメッセージをテーマにした7つの場面で、それぞれの場面のつながりはない。スケッチ集、デッサン集みたいな感じ。
最初の場面「幸せの便箋」はAMIのソロでのグアヒーラ。手紙に翻弄させられる女性を踊る。
1995年コルドバのコンクールでこの曲を踊ってアルヘンティニータ賞を受賞した、いわばAMIの代表曲。表情豊かに、予感、期待、驚き、喜び、失望、怒り、悲しみ…様々な感情を、ユーモアも織り込みつつ、演じてみせる。
エピソード2はダビ・ペレスの「とんでもない知らせ」。客席から転がるように飛び出してきて、体をコントロールして、コンテンポラリー風に踊る。
エピソード3「ご注意を」は、男、アルフレド・ラゴスとやり取りをしていた(おにぎりを渡そうとして断られる、っていったい?)AMIを見ていた、中島ら3人のバイラオーラたちが、アレグリアス/カンティーニャスのリズムに乗って、ユーモラスに踊る。セリフが聞こえてきそうな感じ。面白い。実力がある3人だからこそ。
4はダビ・ペレス「父となる時は」は、娘の誕生を知らされた父をタンゴス・デ・マラガで踊る。
空港を思わすアナウンスで始まる5「旅人それぞれ」は、セレブ風、ヒッピー風、貧乏旅行風など、様々な格好の踊り手たちがすれ違い、タンゴやブレリアで。ダビが三又男を踊る6「男が残した言葉たち」はファンダンゴで、AMIの7「心が伝わるのは」はセラーナからのシギリージャで。
フラメンコで、フラメンコを言葉のように使って、様々なシチュエーションを演じてみようという試みの集大成という感じ。
フラメンコを演じるのではなく、フラメンコで、ということにこだわっているのかな。
フラメンコを踊る、の次の段階に行こうとしているようにも見える。
フラメンコをきちんと踊れるからこそのトライのように思える。
フラメンコの可能性の追求。
休憩なしでの第2部では、素のままのフラメンコを。
ダビ・ラゴスのプレゴン。これ聴くのはヘレスのブレリア祭、イサベル・バジョン公演、ビエナルのイスラエル・ガルバン公演に続いて今年四回目だが、何度聴いてもいいものはいい。拍手。アルフレドのギターの響きの奥深さ。
ダビ・ペレスのアレグリアス。顔の振り付けもしてる?ってくらいに表情豊か。ちょっと長いけど、色々小技も繰り出してくる熱演で、スプリンクラーのように汗が飛び散る。
AMIのソレアは茶に金のレースの豪華なバタ・デ・コーラで優雅に華麗に重厚に、そして何よりフラメンコに。
姿勢、首の位置がこんなに綺麗な人は日本では珍しい。目線、顔の傾け方までちゃんとしている。
すっと伸ばした腕の、指の先まで思いがこもっている。一つ一つの動きに意味がある。
前回公演では伝えたい物語が前面に出てきていて、AMIのフラメンコが見たい!という気持ちになったファン(私も含む)を大満足させる内容。
スペイン時代から常に謙虚だった彼女だが、今回も、スペイン人アルティスタたちをたてていたのが印象的だ。
前日までイスラエルと公演していたダビとアルフレドの、のびのびと、楽しんでいるような演奏も心地よく、良き公演でありました。
2018年11月3日土曜日
井上圭子スペイン舞踊教室エストゥディオ・ラミジェーテ第5回発表会
ひょっとすると初めてかもしれない、発表会を見たのは。
お昼の西日暮里アルハムブラは満員御礼。
小松原舞踊団で活躍した井上圭子は、フラメンコだけでなく、クラシコ・エスパニョールもこなすスペイン舞踊家だ。その、かたちの美しさで抜きんでている。
生徒とデュオで踊ったオープニングのクラシコ・エスパニョール、「バイレ・デ・ルイス・アロンソ」から、全員の挨拶の後での井上の小粋なガロティンまで、ギターソロを含め全11曲。
大きな家族のような一体感のある会だった。
一部だけでなく、二部のオープニングもカスタネットを使ったクラシコ(「ラ・ビダ・ブレベ」)である事や、フラメンコの伝統をきちんと伝えようとする、バタ・デ・コーラとマントンのアレグリアス、バタ・デ・コーラとアバニコのロメーラなどが、井上の志を感じさせる。群舞のシギリージャやファルーカ、アンダ・ハレオは、舞台作品のような構成で、井上の舞台経験の豊富さを思い出させる。
出演者は皆、綺麗にモーニョを結って、花飾りや飾り櫛をつけている。
モーニョの美しさは特筆もの。
セビージャ風のきちんとした装いは、それだけで踊りの格をあげる。
姿勢もいい。が、うつむき気味が長くなる人もいるのは残念。顔の位置は難しい。
表情も重要。
また動きに気持ちをつけていくのも大切。
最後に登場した井上のガロティン。
最初のブラソだけでノックアウトされるくらい美しい。
ドーニャ・ペルフェクタ。
大人数ではない、少数精鋭の教室だからこそ、先生の思いも直接伝わるのかもしれないね。
お昼の西日暮里アルハムブラは満員御礼。
小松原舞踊団で活躍した井上圭子は、フラメンコだけでなく、クラシコ・エスパニョールもこなすスペイン舞踊家だ。その、かたちの美しさで抜きんでている。
生徒とデュオで踊ったオープニングのクラシコ・エスパニョール、「バイレ・デ・ルイス・アロンソ」から、全員の挨拶の後での井上の小粋なガロティンまで、ギターソロを含め全11曲。
大きな家族のような一体感のある会だった。
一部だけでなく、二部のオープニングもカスタネットを使ったクラシコ(「ラ・ビダ・ブレベ」)である事や、フラメンコの伝統をきちんと伝えようとする、バタ・デ・コーラとマントンのアレグリアス、バタ・デ・コーラとアバニコのロメーラなどが、井上の志を感じさせる。群舞のシギリージャやファルーカ、アンダ・ハレオは、舞台作品のような構成で、井上の舞台経験の豊富さを思い出させる。
出演者は皆、綺麗にモーニョを結って、花飾りや飾り櫛をつけている。
モーニョの美しさは特筆もの。
セビージャ風のきちんとした装いは、それだけで踊りの格をあげる。
姿勢もいい。が、うつむき気味が長くなる人もいるのは残念。顔の位置は難しい。
表情も重要。
また動きに気持ちをつけていくのも大切。
最後に登場した井上のガロティン。
最初のブラソだけでノックアウトされるくらい美しい。
ドーニャ・ペルフェクタ。
大人数ではない、少数精鋭の教室だからこそ、先生の思いも直接伝わるのかもしれないね。
2018年10月21日日曜日
今枝友加「Más Vueltas」
今年、ヘレスのフェスティバルとフィエスタ・デ・ブレリアと言う、フラメンコのメッカ、ヘレスを代表する二大フェスティバルに、歌い手として出演した今枝友加。
先日、カンテライブも行ったばかりの彼女の、踊り手としてリサイタル。
個人的にすごく色々納得できた舞台でありました。
歌い手である今枝友加は踊り手である今枝友加なしにはありえないし、反対に踊り手である今枝友加は歌い手である今枝友加なしにはありえない。
彼女のフラメンコは、二つがあってのものなのですね。
プレセンタシオンはガロティン。帽子の扱いも結構凝ってる楽しい一曲。
他の日本人舞踊家にはなかなか真似のできない、いいデテールがいっぱいで、
もうほんと、そんなに足とか、何もやらなくてもいい、という感じ。
デテール、言葉で表現するのは難しいけど、ちょっとした間合いや仕草、目線。
コンパスと動きの関係などでございます。
その後ゲストのロベル・エル・モレーノのブレリアの後に見せたアレグリアスでも、
二部でのソレアでもそうなのだけど、一つ一つの動きにセンティード、意味がきちんとある。うわべだけを真似しているのではなく、ここはこういう気持ちを込めて、ここはこのレトラ、このメロディに反応して、これ、っていう感じがあるのだ。
彼女は振り付けをなぞっているのではなく、フラメンコを踊っている。
自分のフラメンコなんだよね。
それは彼女が歌う事と無縁ではないだろう。
細かいことを言えば、正面向くとき、少しはすに構えた方が奥行きが出て、もっとかっこよくなるとか、前半、髪がほどけてざんばらになっちゃったのはちょっと残念、とか、ソレアの衣装で胸元締めすぎて首が短く見えるのは損、とかあるけれど、そんなことは些細なことで、肝心要の大元がちゃんとしている。でもだからこそ、細部を色々気をつけるともっともっとよくなると思う。
今度はスペインで踊りも是非!
先日、カンテライブも行ったばかりの彼女の、踊り手としてリサイタル。
個人的にすごく色々納得できた舞台でありました。
歌い手である今枝友加は踊り手である今枝友加なしにはありえないし、反対に踊り手である今枝友加は歌い手である今枝友加なしにはありえない。
彼女のフラメンコは、二つがあってのものなのですね。
プレセンタシオンはガロティン。帽子の扱いも結構凝ってる楽しい一曲。
他の日本人舞踊家にはなかなか真似のできない、いいデテールがいっぱいで、
もうほんと、そんなに足とか、何もやらなくてもいい、という感じ。
デテール、言葉で表現するのは難しいけど、ちょっとした間合いや仕草、目線。
コンパスと動きの関係などでございます。
その後ゲストのロベル・エル・モレーノのブレリアの後に見せたアレグリアスでも、
二部でのソレアでもそうなのだけど、一つ一つの動きにセンティード、意味がきちんとある。うわべだけを真似しているのではなく、ここはこういう気持ちを込めて、ここはこのレトラ、このメロディに反応して、これ、っていう感じがあるのだ。
彼女は振り付けをなぞっているのではなく、フラメンコを踊っている。
自分のフラメンコなんだよね。
それは彼女が歌う事と無縁ではないだろう。
細かいことを言えば、正面向くとき、少しはすに構えた方が奥行きが出て、もっとかっこよくなるとか、前半、髪がほどけてざんばらになっちゃったのはちょっと残念、とか、ソレアの衣装で胸元締めすぎて首が短く見えるのは損、とかあるけれど、そんなことは些細なことで、肝心要の大元がちゃんとしている。でもだからこそ、細部を色々気をつけるともっともっとよくなると思う。
今度はスペインで踊りも是非!
2018年10月10日水曜日
プレミオナショナルはオルガ・ペリセとアントニオ・ルス
2018年のプレミオ・ナショナル・デ・ラ・ダンサは、クリエーター部門がアントニオ・ルス、演者部門がオルガ・ペリセに決定した。
アントニオ・ルスは1976年コルドバ生まれ。コルドバでフラメンコ、スペイン舞踊、クラシックバレエを学び、92年にマドリードに上京。ビクトル・ウジャテのバレエ団を経て、2001年からはジュネーヴやリヨンのバレエ団で活躍。06年にスペインに戻り、国立ダンスカンパニーに在籍した。
フラメンコ好きなら、「春の祭典」など、ラファエル・エステベス&ナニ・パーニョのカンパニーへの協力、客演などで知っているかもしれないが、コンテンポラリーのダンスカンパニーとの共演や、自らのカンパニーでの公演で活躍中の新進気鋭のダンサー/振付家なのである。
昨年初演したスペイン国立バレエ団の「エレクトラ」の振り付けでも知られる。
その「エレクトラ」のフラメンコパートで、アントニオをサポートしたオルガ・ペリセは1975年コルドバ生まれ。コルドバの専門舞踊学院でスペイン舞踊を学び、後、マドリードに出て、ラファエル・アマルゴやラファエラ・カラスコ、ヌエボ・バレエ・エスパニョールなどで活躍。またマヌエル・リニャンやマルコ・フローレス、ダニエル・ドーニャらと組んで、作品を作るなどした。
2010年には、ベレン・マジャと共演した「バイレス・アレグレス・パラ・ペルソナス・トゥリステス」でヘレスのフェスティバルの新人賞を受賞。翌年には初のソロ作品を発表しMAX賞にもノミネートされた。
コルドバのほぼ同級生、おめでとう!
アントニオ・ルスは1976年コルドバ生まれ。コルドバでフラメンコ、スペイン舞踊、クラシックバレエを学び、92年にマドリードに上京。ビクトル・ウジャテのバレエ団を経て、2001年からはジュネーヴやリヨンのバレエ団で活躍。06年にスペインに戻り、国立ダンスカンパニーに在籍した。
フラメンコ好きなら、「春の祭典」など、ラファエル・エステベス&ナニ・パーニョのカンパニーへの協力、客演などで知っているかもしれないが、コンテンポラリーのダンスカンパニーとの共演や、自らのカンパニーでの公演で活躍中の新進気鋭のダンサー/振付家なのである。
昨年初演したスペイン国立バレエ団の「エレクトラ」の振り付けでも知られる。
その「エレクトラ」のフラメンコパートで、アントニオをサポートしたオルガ・ペリセは1975年コルドバ生まれ。コルドバの専門舞踊学院でスペイン舞踊を学び、後、マドリードに出て、ラファエル・アマルゴやラファエラ・カラスコ、ヌエボ・バレエ・エスパニョールなどで活躍。またマヌエル・リニャンやマルコ・フローレス、ダニエル・ドーニャらと組んで、作品を作るなどした。
2010年には、ベレン・マジャと共演した「バイレス・アレグレス・パラ・ペルソナス・トゥリステス」でヘレスのフェスティバルの新人賞を受賞。翌年には初のソロ作品を発表しMAX賞にもノミネートされた。
Bienal Oscar Romero |
コルドバのほぼ同級生、おめでとう!
2018年10月4日木曜日
マヌエル・リオス・ルイス逝く
10月3日、詩人でフラメンコ研究家のマヌエル・リオス・ルイスがマドリードの病院で亡くなった。
1934年ヘレス生まれ。
1972年に国家文学賞を受賞するなど、詩人として名高いが、アフィシオナードたちにとっては、フラメンコ百科事典の共著者としてや、ラジオ番組の司会、ABCやディアリオ・デ・セビージャでのコラムなどでおなじみだった。ヘレスのフラメンコ学会の創設メンバーでもある。
温厚で暖かい人柄で、個人的にも、最初に買ったフラメンコの本が、彼のカンテ入門という本だったということもあり、ヘレスのフェスティバルでもいつも、ニコニコ接してくれた。
ご冥福を祈ります。
1934年ヘレス生まれ。
1972年に国家文学賞を受賞するなど、詩人として名高いが、アフィシオナードたちにとっては、フラメンコ百科事典の共著者としてや、ラジオ番組の司会、ABCやディアリオ・デ・セビージャでのコラムなどでおなじみだった。ヘレスのフラメンコ学会の創設メンバーでもある。
温厚で暖かい人柄で、個人的にも、最初に買ったフラメンコの本が、彼のカンテ入門という本だったということもあり、ヘレスのフェスティバルでもいつも、ニコニコ接してくれた。
ご冥福を祈ります。
ビエナル総括記者会見
「次回のビエナルは2020年9月4日から10月4日まで」
30日間!
記者会見の最後に、アントニオ・ソイド監督続投とともにその発表があった瞬間、ため息をついたのは私だけだろうか。
24日間にわたる公演で述べ42725人の観客を集め、85.26%の動員率。798450ユーロの売り上げを記録したというビエナル。
2年後はより良いフェスティバルでありますように。
2018年10月3日水曜日
ビエナル2018総括33の公演から
なんかちょっといつもと違うビエナルだった。
イサベル・バジョンといい公演が続いたのが嬉しい。
一曲あげるなら、ラフィの公演に出てたハビエル・バロンのソレア!コンセプトや物語も何もない、普通のフラメンコだけど、それをすごくよく踊っている。結局、これが一番かも。
25日間、全61公演のうち、33公演を見ただけだけど、疲れました。
いいものも観ることができたし、楽しかった瞬間もいろいろ。
前半は割と平板で、
パコ・ハラーナ、アルフレド・ラゴスのギターソロは良かったしいい企画だけど、
前半終わって一番良かったのがレブリーハのオテル・トリアーナでの公演って、個人的にも意外。
でもその後はロシオ・モリーナ、トマス・エル・ペラーテで盛り返す。
両方とも問題作で、ロシオの、自分の妊娠をテーマにした公演は賛否両論だったけど、私には女性全体へのオマージュのようにも見えて高評価。トマスも現代音楽のパーカッション奏者との共演に拒否反応を示す批評もあったけど、いや、よかったです。元の歌も、絡む方もしっかりしているからだな。これに限らず、フラメンコも現代アートだなあ、と思わせる公演。そういえば、サンプラーやパソコンも今やすっかりフラメンコの楽器の一つでございます。
Bienal Oscar Romero |
前半終わって一番良かったのがレブリーハのオテル・トリアーナでの公演って、個人的にも意外。
Bienal Oscar Romero |
でもその後はロシオ・モリーナ、トマス・エル・ペラーテで盛り返す。
両方とも問題作で、ロシオの、自分の妊娠をテーマにした公演は賛否両論だったけど、私には女性全体へのオマージュのようにも見えて高評価。トマスも現代音楽のパーカッション奏者との共演に拒否反応を示す批評もあったけど、いや、よかったです。元の歌も、絡む方もしっかりしているからだな。これに限らず、フラメンコも現代アートだなあ、と思わせる公演。そういえば、サンプラーやパソコンも今やすっかりフラメンコの楽器の一つでございます。
もう一個の超問題作、ニーニョ・デ・エルチェも、
音域広いし、音程もコンパスもいいし、フラメンコにおふざけは許せない、という人以外は楽しめたのではないかと。いろんなフラメンコ、あっていいじゃん?
後半はラファエラ・カラスコ、
アナ・モラーレス、
エバ・ジェルバブエナ、
音域広いし、音程もコンパスもいいし、フラメンコにおふざけは許せない、という人以外は楽しめたのではないかと。いろんなフラメンコ、あっていいじゃん?
後半はラファエラ・カラスコ、
Bienal Oscar Romero |
アナ・モラーレス、
Bienal Oscar Romero |
Bienal Oscar Romero |
Bienal Oscar Romero |
一曲あげるなら、ラフィの公演に出てたハビエル・バロンのソレア!コンセプトや物語も何もない、普通のフラメンコだけど、それをすごくよく踊っている。結局、これが一番かも。
他にも立ち上がって歌い踊るしかないトマシートの公演、ソロギターならではの凄みのある音を聞かせてくれたヘラルド・ヌニェス、
ソリストではないけど熱いギターを聞かせてくれたラファエル・ロドリゲス(ロシオ・モリーナとのグアヒーラの素晴らしかったこと!)とギターも充実。
歌では、イスラエル公演でのダビ・ラゴス、トマティート公演でのドゥケンデ、ランカピーノ・チーコらが印象に残る。
Bienal Oscar Romero |
ソリストではないけど熱いギターを聞かせてくれたラファエル・ロドリゲス(ロシオ・モリーナとのグアヒーラの素晴らしかったこと!)とギターも充実。
Bienal Oscar Romero |
歌では、イスラエル公演でのダビ・ラゴス、トマティート公演でのドゥケンデ、ランカピーノ・チーコらが印象に残る。
しかし疲れました。
年のせいももちろんあるだろうけど、うーん、まず開演時間設定に無理がある。
19時、20時半、23時。で会場から会場までが徒歩圏とはいえない。
なので、19時からのギターリサイタルを最後まで見ると、20時半からには間に合わない。
なので、グリロやグラナイーノはパス。
20時半のを見るときはアンコールも見ずに走ってタクシー確保。ふう。
28日は市民ナイトマラソンが開催されていたので劇場から劇場まで徒歩40分。ありえん。
ちなみにヘレスのフェスティバルだと19時、21時、24時で会場は徒歩圏。その気になれば3本はしごも可能です。
監督が、前回、前々回のクリストバルから、初代監督のホセ・ルイス・オルティス・ヌエボへと変わったかと思うとまた直前にアントニオ・ソイドに変わり、バタバタしたこともあったのか、プログラムに一貫性やポリシーは感じられない。とっちらかってる感じ。
次回は監督も変わるだろうから変わるかな?
どういう形にせよ、結果にせよ、フラメンコの故郷、セビージャで世界最大のフラメンコ祭が開催されるの意味がある。願わくば、量だけではなく質も最高となりますように。
2018年10月1日月曜日
ドランテス「ラ・ロダ・デル・ティエンポ」
ビエナル最終日はセビージャ港でのコンサート。
セビージャ港?
はい、セビージャにも港があるのです。町はずれに税関もある港が。
なんでトリアーナ地区のはずれにある地下鉄駅から特別運行されるバスに入場券見せて乗って、10分ほど。
コンテナやクレーンが並ぶ殺風景なところで、川も見えない。
クレーン使って作った舞台は面白いけどね。フラメンコと言う感じじゃないけど。
こんなところでなぜ?と思って聞いてみたら、マゼランの世界一周の出発が1519年セビージャからだったことで、その500周年記念を兼ねて、とのことだった。ふーん。
当時の港ここじゃなかったろうけどね。
で、ドランテス。
そのコンサートもテーマになるのはマゼランの航海で、航海の準備、大西洋横断、反乱、太平洋横断とマゼランの死、帰着という5つのパートからなる大曲で、オーケストラにコーラス、ドラムとパーカッション、という大編成。
ソロに始まり、パーカッション奏者によるコンテナ叩いての演奏やコーラスが入ってのタンギージョ、オーケストラとの共演、アレグリアス、シギリージャ、ブレリア…
叔父レブリハーノの、大陸発見500周年記念アルバム「ティエラ」を思い出させる、フラメンコ叙事詩。
でもコーラスによる歌詞は言葉として一向に聞こえてこないのでもやもや。
と言いつつ、これでビエナルはおしまい。疲れました。
セビージャ港?
はい、セビージャにも港があるのです。町はずれに税関もある港が。
なんでトリアーナ地区のはずれにある地下鉄駅から特別運行されるバスに入場券見せて乗って、10分ほど。
Bienal Óscar Romero |
クレーン使って作った舞台は面白いけどね。フラメンコと言う感じじゃないけど。
こんなところでなぜ?と思って聞いてみたら、マゼランの世界一周の出発が1519年セビージャからだったことで、その500周年記念を兼ねて、とのことだった。ふーん。
当時の港ここじゃなかったろうけどね。
で、ドランテス。
Bienal Óscar Romero |
ソロに始まり、パーカッション奏者によるコンテナ叩いての演奏やコーラスが入ってのタンギージョ、オーケストラとの共演、アレグリアス、シギリージャ、ブレリア…
Bienal Óscar Romero |
叔父レブリハーノの、大陸発見500周年記念アルバム「ティエラ」を思い出させる、フラメンコ叙事詩。
でもコーラスによる歌詞は言葉として一向に聞こえてこないのでもやもや。
Bienal Óscar Romero |
2018年9月30日日曜日
イサベル・バジョン「ジョ・ソイ」
23時からセントラル劇場ではイサベル・バジョン。
祖母、母、自分と3世代の女の人生を描く。
爆弾が落ちる音がして幕が開く。
子守唄、バストンを鉄砲のように使い暗い時代を表現したビデオ。
ファンダンゴ、アバンドラオ。
黒いバタでのペテネーラ。
ラジオのコンクールに出演が決まった、という話の後、サンドラ・カラスコが歌う「ドス・ガルデニアス」。昔風の衣装と髪型、上から降りてくるマイク。
サンドラが素晴らしい! 昨年の国立バレエの時も
セビジャーナス。タンギージョ風ラップ、ラップ風タンギージョ?を歌い踊るイサベル。
ソレア。マイレーナ?の録音でのブレリア。
「ピラールの肘、頭は位置にきちんとして、カンティーニャのブラソ、ソレアのブラソ、腰、腰」と、マティルデも教えを繰り返してからのタンゴ。
黄色い帽子がいくつも飛んで出て、ガロティン。
帽子つながりでマイケル・ジャクソンからのマンサニータやパコが出てくるルンバ、タンゴ。
とにかくセンスよく、ユーモアたっぷりにフラメンコづけにしてくれた。
ユーモアもフラメンコの大切な要素。しかめっつらだけがフラメンコじゃないんだよね。
踊りはどれもそつなく、バタのあしらいでもなんでも楽々としているから、そお凄さ見えないかも。でもやっぱりタンゴの色気が一番かも。
体は細いがエネルギーいっぱい。
演出家の助けをえて、シンプルにフラメンコをうまく生かした舞台を作ってくれた。
最高!
エバといい、イサベルといい、昨日のアナといい、今年のビエナルは後半がよかった、と言えるような。
祖母、母、自分と3世代の女の人生を描く。
Bienal Óscar Romero |
爆弾が落ちる音がして幕が開く。
子守唄、バストンを鉄砲のように使い暗い時代を表現したビデオ。
ファンダンゴ、アバンドラオ。
黒いバタでのペテネーラ。
ラジオのコンクールに出演が決まった、という話の後、サンドラ・カラスコが歌う「ドス・ガルデニアス」。昔風の衣装と髪型、上から降りてくるマイク。
サンドラが素晴らしい! 昨年の国立バレエの時も
セビジャーナス。タンギージョ風ラップ、ラップ風タンギージョ?を歌い踊るイサベル。
ソレア。マイレーナ?の録音でのブレリア。
Bienal Óscar Romero |
黄色い帽子がいくつも飛んで出て、ガロティン。
帽子つながりでマイケル・ジャクソンからのマンサニータやパコが出てくるルンバ、タンゴ。
とにかくセンスよく、ユーモアたっぷりにフラメンコづけにしてくれた。
ユーモアもフラメンコの大切な要素。しかめっつらだけがフラメンコじゃないんだよね。
踊りはどれもそつなく、バタのあしらいでもなんでも楽々としているから、そお凄さ見えないかも。でもやっぱりタンゴの色気が一番かも。
体は細いがエネルギーいっぱい。
演出家の助けをえて、シンプルにフラメンコをうまく生かした舞台を作ってくれた。
最高!
エバといい、イサベルといい、昨日のアナといい、今年のビエナルは後半がよかった、と言えるような。
説Bienal Óscar Romero |
エバ・ジェルバブエナ「クエントス・デ・アスーカル」
エバが日本から奄美の島唄の歌い手、里アンナを招いて、作り上げた作品「クエントス・デ・アスーカル」、砂糖の物語。
なぜ?という疑問は瞬く間に消えていった。里の澄んだ、天から降りてくるような歌声は、心に直接響くのだ。心が動かされ、エバとアンナの物語が始まったのに違いない。
黒い衣装のエバが、黒子のように後ろに控えるフェルナンド・ヒメネスと二人羽織のようにして踊る幕あき。前作「アパリエンシアス」からの流れを感じる。
そこに黒留袖のように、裾に絵が入った黒いガウンを来た里が姿を見せ歌うのは奄美の子守唄。
奄美の言葉で歌っているので、ほとんど意味はわからないのだが、心にしみる。
エバのバタ・デ・コーラでのカーニャ。見事。
バタを開いたり閉じたり、なども面白い。
里の送り節。切ない感じ。踊るようにして袖に入っていく。
なぜ?という疑問は瞬く間に消えていった。里の澄んだ、天から降りてくるような歌声は、心に直接響くのだ。心が動かされ、エバとアンナの物語が始まったのに違いない。
黒い衣装のエバが、黒子のように後ろに控えるフェルナンド・ヒメネスと二人羽織のようにして踊る幕あき。前作「アパリエンシアス」からの流れを感じる。
そこに黒留袖のように、裾に絵が入った黒いガウンを来た里が姿を見せ歌うのは奄美の子守唄。
奄美の言葉で歌っているので、ほとんど意味はわからないのだが、心にしみる。
エバのバタ・デ・コーラでのカーニャ。見事。
バタを開いたり閉じたり、なども面白い。
Bienal Oscar Romero |
体操じみたブラソの印象的なカルタヘネーラは、フェルナンドとのデュオにつながり、
フェルナンドのソロに。そこをお魚の風船を持って歌いながら横切る里。
それまで並べられていた、円を縁取る銀色の飾りを蹴散らすフェルナンド。
やがて島唄はタンゴと交わりアレグリアスでのフィエスタに
最後はエバとアンナがお茶?お酒を酌み交わし終わる。
遠くて近い二つの世界が出会い、一つに溶け込んでいく。
テンポがいいので、最後まで息をつかせずに展開していく感じ。
この作品のため、エバは夫でギタリストのパコ・ハラーナと奄美まで行っていろいろ研究したというだけのことはある。
異文化への敬愛によって生まれた美しい作品。
日本でもぜひ見られますように。
それまで並べられていた、円を縁取る銀色の飾りを蹴散らすフェルナンド。
Bienal Oscar Romero |
Bienal Oscar Romero |
遠くて近い二つの世界が出会い、一つに溶け込んでいく。
テンポがいいので、最後まで息をつかせずに展開していく感じ。
この作品のため、エバは夫でギタリストのパコ・ハラーナと奄美まで行っていろいろ研究したというだけのことはある。
異文化への敬愛によって生まれた美しい作品。
日本でもぜひ見られますように。