先週の木曜にアンドレス・マリンの「ドン・キホーテ」で始まったこのフェスティバルも終盤でございます。
マルセイユ空港から劇場に直行して聴いたのは二人の歌い手によるカンテ・リサイタル。
第1部はルイス・モネオ。日本にもここ数年何度かやってきているヘレスの歌い手。
昨年末亡くなったマヌエル・モネオやトルタの弟で、もともとはギタリストだった。
トナーに始まり、アレグリアス/カンティーニャス、ソレア、シギリージャ、そしてブレリア。
© Jean-Louis Duzert |
声質のせいか兄たちよりもフェルナンド・デ・ラ・モレーナを思い起こさせる歌いっぷり。アレグリアスの軽快なコンパス感が楽しい。シギリージャもいい。でも兄たちの暗い深みのようなものはあまり見えないようにも思う。
ギターは息子のフアン・マヌエル。まだ若いが、確実に上達しているし、ヘレスらしいひねりもあるので将来が楽しみだ。
第2部はアントニオ・レジェス。チクラナ出身のカマロンとマイレーナの影響を強く受けた歌い手で、ここ最近頭角を現してきた。
こちらはカラコール風サンブラに始まり、アレグリアス、タンゴス、ソレア、シギリージャ、ブレリア、そしてアンコールのファンダンゴ。
構成がそっくりというのは偶然だろうけど、うーん、なんとかできないのかなあ。
で、アントニオは声もいいし、音程もいいのだけど、後ろ髪を引っ張られるような歌い方とでも言うのだろうか、とにかく、後ろに引っ張ってゆっくりゆっくり歌うのだ。
ソレアやシギリージャならともかく、アレグリアスやタンゴにも軽快さのかけらもない。
ゆっくり歌う方が難しい、とも言うし、いい歌い手であることに間違いはないけれど、これじゃ全部同じに聞こえてしまう。タンゴやアレグリアス、ブレリアはもう少しスピードを上げて、変化をつけた方がいいのでは? うまい人だけに残念。
あれじゃ踊りなら倒れちゃうよ。
© Jean-Louis Duzert |
ギターはディエゴ・アマジャ。トマティートのそっくりさんだが、演奏は遠く及ばない。
0 件のコメント:
コメントを投稿