12月19日、マドリードのサルスエラ劇場で開催されたマリエンマへのオマージュ・ガラ。
マリエンマは1917年バジャドリードのイスカル村に生まれ、2歳で家族と共に移住したパリで育ち、そこで舞踊を学び、初舞台を踏んだ。1940年にスペインに帰国してからは、マドリードのテアトロ・エスパニョールを始め、スペイン国内はもとより、ヨーロッパ、アメリカなど世界各国で公演したスペイン舞踊家。マドリードの王立演劇舞踊学校の校長を務め、スペイン舞踊をエスクエラ・ボレーラ、民族舞踊、ダンサ・エスティリサーダ、フラメンコの4ジャンルに分類するなど、教授/勉強法を確立した。2008年に亡くなったが、現在、王立舞踊学校にもその名を残す、スペイン舞踊の歴史を語る上で欠かせない存在。
スペイン国立バレエに振り付けた「ダンサ・イ・トロニオ」はかつて日本で上演されたこともあるのでそれを覚えている人もいるかもしれない。
この公演は彼女の生誕100周年を記念するもので、国立バレエによる「ダンサ・イ・トロニオ」再演に加え、マドリードの二つの舞踊学校の生徒たちによるものを加えて、マリエンマの振り付けを改めて見ようという試み。
最初は「ファンダンゴ」。マリア・デ・アビラ舞踊学校生徒6人によるものだが、もともとはスペイン国立バレエのために振り付けされたもので、いにしえのファンダンゴのパソをなぞってもいる、ダンサ・エスティリサーダの作品。
続いてバレエ団のサラ・アレバロによる「アンダルーサ」、ピアノ伴奏でのダンサ・エスティリサーダの小品。佳作。スペイン人舞踊家として初めて日本を訪れたアルヘンティーナも、ピアノ伴奏での公演だった。かつてのスペイン舞踊のエッセンスを感じさせる。
3曲目は国立の第一舞踊手エドゥアルド・マルティネスによる「ボレロ1830」。この作品はマリエンマが2002年、彼のために振り付けた、マリエンマ最後の振り付け作品。見事なボレーラのテクニックで魅せる。巨匠の振り付け意欲をかきつけたダンサーだけに、さすがの出来。
そして最後は、王立マリエンマ舞踊学の生徒たちによる「イベリカ」。ラベルの「ボレロ」に振り付けた1964年の作品。これが素晴らしかった。イビサやアストゥリアスなど、スペイン各地の民族舞踊に始まり、ボレーラ、フラメンコ、エスティリサーダへと進んでいく。さながら、スペイン舞踊の歴史を見るような、振り付け。エスティリサーダでは国立バレエのクリスティーナ・アギレラも出演。
日本でおなじみのホセ・グラネーロの振り付けにヒントを与えただろう振りもそこかしこに。
休憩を挟んでの第2部は国立バレエによる、「ダンサ・イ・トロニオ」
ボレーラ、エスティリサーダ、フラメンコ。スペイン舞踊のエッセンスを美しく表現している。
歴史あってのスペイン舞踊。スペイン舞踊の歴史を振り返る一夜だったと言えるだろう。
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