「アブラセ・ラ・ティエラ」
1/26 (火)20時
[出]ホセ・ルイス・オルティス・ヌエボ、〈b〉ヤサライ・ロドリゲス、〈g〉ペドロ・バラガン
[場]セビージャ セントラル劇場サラB
フラメンコの可能性はまだまだある、と強く実感させてくれたのがこの公演。
詩人でフラメンコ研究家、ビエナルの創始者の一人であり、長らくその監督を務めた、ホセ・ルイス・オルティス・ヌエボ。彼がに「死」をテーマに、語る一人芝居を、フラメンコギターと踊りが彩る、というもの。カンテの代わりに語り、ともとれるし、女優のかわりにフラメンコ、ともとれる。うん、面白い。
ホセ・ルイスがかつて聞き書きをしたペリコン・デ・カディスやエンリケ・エル・コホらの話やロルカ、19世紀のフラメンコ歌手殺人事件を報じる新聞記事、死に関するレトラやそれに関する話を語る。その間、ギターはブレリア・アレグリアスにはじまりソレア、タンゴ、タランタ、マラゲーニャ、シギリージャなどフラメンコの海を漕いで行く。
ヤサライはキューバ出身で、キューバ国立バレエ団でフラメンコの専門家だったそうだが、身体はよく動き、バタやマントンの扱いもきちんと基本を押さえているのだが、とくに踊り始めに少し外す感じがあったりするし、踊りにニュアンスが感じられず残念。新体操のような、といったら新体操に失礼だろうけれど、はい、右いって次左、っていう感じの踊りで、手をのばした先に、そこにないなにかがみえてくるようなことはない。動きに心の動きがうつされていない、というのかな。うーむ。なんで、彼女が踊っていてもホセ・ルイスが話しているときはそっちばっかりみていた私である。
「どこの国でも死は終わりだ。そのときがきて幕が閉まる。スペインではそうじゃない。スペインでは幕が上がる。多くの人日は死ぬまで塀と塀の間に生きている。そこから出て陽の目をみるのだ。スペインの死人は世界中のどこよりも生き生きとしている。En todos los países la muerte es un fin. Llega y se corren las cortinas. En España, no. En España se levantan. Muchas gentes viven allí entre muros hasta el día en que mueren y los sacan al sol. Un muerto en España está más vivo como muerto que en ningún sitio del
mundo」という言葉はロルカのもので、この作品でも、もうずいぶん前のハビエル・バロンの作品「ディメ」でもつかわれていたが、本当にその通り。スペインの死は生き生きとしている。
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